軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レイドダンジョンバトル(3)

閉じ込められた墓場エリアで、 G(ジャイアント) テストールが大量出現したゾンビやスケルトンを薙ぎ払う。大型の強みを生かした戦い方だ。

「ん?」

しかし、そこにちらほらと倒せていない敵が残っていく。ゴーストだ。

「ゴーレムとスライムで、物理には強いんだが……逆に物理が効かない相手は面倒だな」

「でも、こういう時のための秘密兵器もあるでしょ、ケーマ?」

「ああ。――って、ちょっとまってくれ」

秘密兵器を使うか、と思ったその時、後ろから魔法が飛んできた。

それはGテストールを狙うものではなく、生き残り――アンデッドだけど――のゴーストを狙った絨毯爆撃のような魔法攻撃。

『ゴーレムの。食べ残しはこちらに任せてくれ』

『私達の活躍する余地も残しておいてくださいませ?』

『肉壁の居ないゴーストなんて、ただの動く的だからなぁ』

マイコニド(歩行する巨大キノコ)を操るダンジョンコアと、吸血鬼を操るダンジョンコア、それと犬型モンスターを操るダンジョンコアからそう声を掛けられた。

「おっと。そういや俺達だけじゃなかったな、今回は」

そう。今回のダンジョンバトルは俺達『欲望の洞窟』だけの戦いではない。ハクさんの配下、他のダンジョンも参戦しているのだ。

つまりこれは役割分担。物理の効く敵はこちらが片付け、残りの物理に強く魔法が効く敵は仲間に任せてしまえばいい。これはいい、自分の仕事が明確だ。

「ゾンビとスケルトンは任せてくれ。代わりにゴーストは頼む」

『了解だ』

『というか新入りが活躍しすぎです、先輩に少しは華を持たせてくださいまし』

『ま、それだけデカいと細かい所も苦手だろう。任せろ』

マイコニド達と吸血鬼達が魔法陣を一斉に展開、【ファイアボール】や【アイスランス】といった攻撃魔法が同時に放たれ、ゴーストを掃射する。

ついでに犬モンスターが撃ち漏らしていたスケルトンの骨をばりばり噛み砕いてバラしていた。

「全部やらなくていいってのは楽だなぁホント」

「逆に、これを全部一人で相手しなくちゃいけない10番コアは少し不憫ね」

まぁ今回はそういう戦いだ。

……というか、10番コアは派閥の仲間とかいないのだろうか? 他の 初期生産のコア(ファーストロット) で、 10位以内(テンランカー) は大抵派閥を持っている感じなのだが。ハクさんとか、大魔王とか龍王とか。

「そういえば 不死(アンデッド) 派閥、みたいな事は聞いたことないわね」

「へぇ? そうなのかロクコ。アンデッドとか結構いそうなもんだけどな……。吸血鬼先輩はこっちの味方っぽいが」

「鬼派閥ってのも聞いたことないわね。というか、他のコアの面倒なんて見ないのが普通じゃないかしら? 姉様達が特別なのよ」

一応他にもミカンが所属していたらしい獣王派閥はあるが、こちらはほぼほぼ放置。我が子を千尋の谷に突き落とすライオンが如き志向で、獣王らしさはある。

「次に殺されるのは自分、っていう風に決まってるんならともかく……派閥メンバーが参戦しても戦況を覆せないなら、むしろ見捨てて無関係を装いそうだな。その方が助かりそうだ」

「ケーマ、私は姉様がピンチなら駆け付けるわよ!」

「そうだね、そこまで恩とかがあれば別なんだけど」

少なくとも、10番コアにはそういう仲間がいなかったということだろう。

まぁ、普通に考えると個人の力がすでに集団なのがダンジョンだ。そこから更に集団にするという意義は薄い。他を育てるくらいなら自分や自分の配下にリソースを割く方が効率的ともいえる。

「……そう考えると、その上でランキングトップ10位に載ってるハク姉様達がとんでもないってことにならないかしら?」

「ああ。実質、ランキング以上に差があるって事だ」

ただでさえランキングで上位なハクさんなのにそこに援軍で他のコア達が参戦してるんだから、この一方的な戦いも当然ともいえる。

この墓場エリアでの戦いも 趨勢(すうせい) はすでに決しており、消化試合の様相を呈していた。

「ケーマ、敵側何か動きがあるわ」

「ああ、さすがにまだあるよな」

そして、墓場エリアの仕上げと言わんばかりに、倒したゾンビやスケルトンの霊魂らしきものが集結していく。そして、キングゴーストという物理攻撃の効かないデカい幽霊が現れた。

『ゴーレムの、下がれ。ゴーストは相性が悪いだろう?』

『大型アンデッド召喚ギミックね。ウチでも使ってみようかしら?』

『恐らく墓場エリアを儀式場とした切り札……さて、後輩にイイトコみせるか』

そう言って前に出ようとする先輩方。

なんと頼もしい。しかし、だ。

「いいえ先輩方。これは俺達の獲物だ!――モードチェンジ、マジックガントレット!」

「了解! マジックガントレット!」

レイが復唱すると、魔力がゴーレムの拳を覆う。そして、キングゴーストを殴り飛ばした。

『物理が効いた!? どういうことだゴーレムの!?』

「ふふふ、これぞ秘密兵器マジックガントレット。短時間ですがスライムが頑張って魔力を放出することでゴーストでも殴れるって寸法です」

『あー、つまり魔力撃ね。ゴーストにも有効になるんだ。やるじゃん後輩』

『……とりあえず詠唱しちゃってた分は援護射撃しとくね』

スライムが疲れちゃうので短時間だけしか使えず、使ったら休息が必要だ。ここぞという所で使う対ゴースト系ボスへの対策で用意した必殺技である。

「インパクトの時にだけ展開できればもっと長持ちするんですが」

「そこまで細かくオンオフを切り替えられないからなぁ、スライム……それに、放出し続けるからこそ、こういうこともできるぞ」

魔力を纏った拳でキングゴーストを捕まえ、羽交い絞めにする。

「いまだ先輩方! 俺が押さえているうちに!」

『あっ、うん。総員魔法攻撃! 雷撃は使うなよ!』

『ゴーレムに当てないように気を付けてね!』

『魔法用意ー、順次撃てー。的はデカいぞー』

俺達の華麗な協力プレイにより、キングゴーストは消滅した。

スライム君、しばらくゴーレムに任せてしっかり休んでくれ。