軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

レイドダンジョンバトル(2)

「 G(ジャイアント) テストール、各パーツ発進!」

バラした各パーツが自走し、通路を駆け抜けていく。

胴体は複数に分かれ、それぞれ手足が生えたり単体の盾鎧としてスライム君がえっさほいさと運んだりしている。

手足については頑丈さを重視しており変形はせず、ホイールを取り付けて自走できるようにしていた。(スライムが中でシーソートロッコ形式で動かしている、というように見せてはいる)

……頭はドローンの要領で単体で飛べる。だがコクピット入りの脱出機構というわけでもなく、メインカメラというわけでもない。……重いので偵察にも向かない、ただの飾りだ。なんなら胴体担当のスライム君が抱えて運ぶ。

「おっと、通路にスケルトン発見。テストールパンチだ!」

「了解、テストールパンチ!」

レイの掛け声と共に、ぎゅいん、と通路を走っている右腕が加速。そのまま敵スケルトンを拳で轢いて砕いた。そのままドリフトで横を向き道をいっぱいに塞いで後続の敵も壁に押し潰す。べきぼきばきぱきぽき、と軽快に乾いた骨の折れる音。

うーん、これもひとつのロケットパンチというやつだろうか。車輪式だけど。

『ほう。攻城戦で使う破城槌のようですね……いい攻撃力です』

「お褒めに与り光栄です、ハクさん」

「ふふん、でしょう姉様! なにせウチのレイが思いついて、ケーマが仕上げたモンスターなんだから!」

『そうね、さすがロクコちゃん』

なぜかとても得意げなロクコ。あとハクさん、その流れ一切ロクコ関わってないんだが? ダンジョンの功績はダンジョンコアの功績でもある? まぁダンジョン=ロクコだしそれもそうか。

「ねぇケーマ、他の 所(コア) のモンスターがテストールの後ついてきてるんだけど」

「まぁ、前に居たら轢き殺されかねないし、後ろは安全だからなぁ」

効率を考えたらGテストールパーツの後ろに隠れて進むほうが安全だ。

特に俺達は小動物に斥候させたマップを見ての進軍に慣れている。Gテストールの足が遅くない事も踏まえると、先頭を走るのが俺達になるのも当然だった。

「どうしますかマスター。いっそ振り切ります?」

「いいや、そのままでいいよレイ。仲間なんだし付いてきてもらえ。それに、俺達が先頭ってことは、戦闘で活躍もできるって事じゃないか。折角作ったGテストール、使いたいだろ? な、ネルネ」

「はいー、色々練習もしましたしねー」

味方も楽が出来て、俺達もGテストールでいっぱい遊べる。Win-Winだね。

……おっと、遊びじゃなくてダンジョンバトル、仕事だった。

「マスター。仕事は楽しむとより良い成果が得られます。遊びのようにできるなら、つまり遊びということでも良いのでは?」

「キヌエさんは仕事が趣味みたいなもんだし、説得力があるな」

「恐縮です」

では、目いっぱい巨大ロボごっこを楽しむとしよう。

Gテストールの各パーツを進めていると大型の環境部屋が出てきた。夕暮れの墓場のようだ。十字架やサビた剣が床に刺さっている。先行したミカンの斥候リス部隊によればただの広間だが……

うん、相手がアンデッドなら、これで何も出ないという事はないだろう。

「広めな場所に出た。マップでは敵は見えないが合体しておこう」

「了解ですマスター。Gテストール、合体シークエンス承認!!」

次は合体だ。レイの掛け声で各パーツを走らせる。連結機をガチャンガチャンと組み合わせると、すぐさま寝た状態の巨大黒鋼ゴーレムに早変わりした。

早変わり……ではあるが、流石に所要時間は30秒程、と少々かかってしまうな。敵がいた場合は蹴散らしながら合体するか、同行している他のモンスターに守ってもらおう。

「やりましたご主人様。新記録、28秒です」

「おう、見てたぞニク。足場が悪かったのに練習を超えてきたな」

頭を撫でると、ニクがむふーっと得意げに尻尾をパタパタさせた。ちなみにニクの担当は胴体。連結器で全部のパーツを繋ぐ一番難しい所だ。ゴーレムで補正は利くが、ある程度連結器を角度を揃えて近づけるところは人力操作だった。

これの自動化については、その……今少しの時間と予算があれば……!

開催日に間に合わせて可能な限り品質の高いゴーレムは用意したが、やはりオリハルコンをもっと使えていれば……まぁいい。運用で頑張ってもらおう。ニクとレイあたりはむしろ手間な方が仕事ができて生き生きしてるのが良く分かるし。

「Gテストール、再発進!」

「ねぇ、敵と遭遇するまではバラバラで進んでた方がよくない?」

「大丈夫だロクコ。こういう場所には、出るから」

「え、お化けが?」

「いや敵が――って、アンデッドだからあながちお化けってのも間違っちゃいないな」

と、後続の部隊が入ってきたところで、墓場エリアが封鎖され、墓からスケルトンやアンデッドが這い出てきた。敵を始末するためのトラップだったらしい。

だが、この程度の小型モンスター……Gテストールの良いカモだ。ま、大型が出てきたその時はGテストールに丁度いい相手ってなるんだけど。

「掬い上げて、まとめて倒してやれ」

「了解です!」

Gテストールが湧き出たアンデッドをザァっとかき集める様に捕まえて、そのまま別の敵に向かってザパァッと水をぶっかけるように投げつける。スケルトンは散弾のように拡散してゾンビたちを破損させていった。

「はっはっは、まるで敵が玩具だな。デカいのはそれだけで強い」

「これぞ大型の戦い方って感じね、ケーマ」

薙ぎ払えー、とか言いたくなるな……いや、普通に薙ぎ払ってるな。腕でこう、ガーッって。爽快だねぇ。いっそ巨大な敵……ガシャドクロとか出てきてもいいぞー?

ちなみに、小腹が空いたスライム君がゾンビたちをつまみ食いしていた。

……いや、関節狙いで攻撃してきたのを返り討ちにしたのか。地味にえぐいぞこれ。