軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョンバトルの準備(4)

これより導かれる結論は、すなわち――求められるのは堂々たる前線突破、単騎突撃する突出した戦闘能力。あらゆるものを粉砕し、突破していく突進力こそが解である。

ダンジョンバトルでそれも他のダンジョンコアも混じっての戦争である。

単に戦争であれば足並みをそろえて戦う方が強いのだが、いわば戦功の争奪戦。 大安売り(バーゲン) のときの主婦よりも先に進撃すべきだ。

単騎駆けは敵に囲まれてしまうので危険。火力と共に防御力も必要。

足の速さは、それなり以上。あまり速すぎる必要はないが、遅すぎては話にならない。

予算は50万DP。しかしこれはできるだけ安い方が良いだろう。なにせケーマはケチ――もとい、倹約家であるし。安く済ませられれば褒めてくれるに違いない。

そうしてレイはカタログとにらめっこし、それらの要件を満たす素晴らしいモンスターを見つけ出した。

* * *

「というわけで、こちらをご用意いたしました。ご覧ください!」

お披露目のために闘技場に呼び出された俺の前に、ダンジョン機能で用意されたモンスターが転送されてくる。地面から生えるようにして現れたレイが用意したモンスター。それは――

――大型モンスター。ジャイアント黒鋼ゴーレムだった。

身長14m、巨大ロボといっても差し支えない存在だ。ずんぐりむっくりした体型の普通のゴーレムと異なり逆三角形の細身ボディで素材が節約されていそうだ。お披露目にとレイに呼び出されたこの闘技場で端に逃げてもゴーレムが手を伸ばせば届いてきそうな威圧感がある。

素材の黒鋼は文字通り黒い鋼。加工難度はただの鋼より高く、つまりは敵からの攻撃への耐性が高い。マナ保持量も多く、つまりはHPや運動性が高い。

単純に強い。それが黒鋼を素材としたジャイアントゴーレムである。

「ジャイアントゴーレム、それも黒鋼かぁ。こんなんあったんだなぁ……」

「はい! ボス級の一品です。これの中身をくりぬいておき、【収納】持ちの操縦モンスターを入れておくのです。そして、ゴーレムが傷ついたら中からコッソリとマスターが修復! 継戦能力もバッチリです!」

……うん、まぁ普通にそれなりのモンスターを数体用意してもらえればよかったんだが。

ジャイアント黒鋼ゴーレムは両腕を上げてポーズをとる。……中に入ってたらすごい揺れそうだなぁコレ。

「ちなみにいくらかかった?」

「はい! 黒鋼のジャイアントで、およそ10万DPかかりました! で、この上にさらにオリハルコンでメッキしていただければもう完璧かと!」

「流石にオリハルコンメッキは悪目立ちが過ぎる。手の内を晒しすぎだしな」

でも、それを抜きにしてもなぁ。レイは色々と残念というかなんというか。

「ゴーレムなら、言ってくれりゃ俺が作れただろうに」

「あっ」

「……それに、こいつには大変な欠点があるぞ」

「ええ!? な、なんでしょうか!?」

確かに、目立つ。戦功をあげるなら悪くはない見た目だし、実際強いだろう。

黒鋼の塊であるこの巨体ならば、敵陣に飛び込んで駄々っ子の如くゴロゴロ転がり暴れるだけでも陣形を崩壊させ、轢死体を量産するだろう。一目で強いし厄介だ。

しかし。

「攻める先はダンジョン、つまり室内だ。……通路、通れるかコレ?」

「!?」

野外や、闘技場のような非常に大きく作ってある部屋であれば問題はない。が、ダンジョンの通路ではつっかえて道を塞ぎそうだった。レイに言い忘れていた点であったが、侵攻側は、あくまで「大柄な人間」程度にモンスターのサイズを抑えられなければ攻略に支障をきたすのである。

……現に、この闘技場から出せそうにないぞ。この巨大ゴーレム。

「……じゅ、10番のダンジョンともなればきっと立派なので通れますとも!」

「うん、言い切るのは良いが現実を見ような」

「うう、盲点でした……」

「まぁこれはこれで、立派な戦力になりそうだしこのダンジョンで使える。ボススポーンに一度登録して一体分複製しておけばデカい黒鋼素材として有用だし、無駄にはならないさ」

しょぼくれるレイをフォローしつつ、そろそろ手を出そうかと思っていた鉄の上位素材のコピー元を手に入れたと思えばむしろいい機会だったといえよう。

それに、素材として使う他にも良い事を思いついた。

「レイ。デカいモンスターで圧倒する案、採用だ」

「えっ? あ、いや、しかし、通路が通れないのでは?」

「俺にいい考えがある。まぁ任せろ――いや、手伝ってもらうけどな?」

「……は、はい! お手伝いいたします!」

俺は早速ゴーレムをボススポーンに登録し、レイと共に黒鋼ゴーレムを素材に使ってダンジョンバトルの秘密兵器を作り始めた。

――コンセプトはそう、『合体ロボ』である。