軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョンバトルの準備(2)

さて、ウチのダンジョンの準備は丸投げたのでいいとして、次は俺の部下――ミカン達、ウサギダンジョンの方に話を付けておこう。俺は『白の浜辺』に移動し、そこから直接『ウサギの休憩所』の 裏側(バックヤード) へと【転移】した。

「おーい、ミカン、いるか?」

「あ、来たきゅねケーマ。話ってなんきゅか?」

あらかじめメールで行くと伝えていたので、ぴょこぴょことオレンジ色のウサギ型ダンジョンコアことミカンがお出迎えしてくれる。

「ああ。実は今度ハクさんのダンジョンバトルに俺達も参加することになってな」

「へぇー、それは大変っきゅね。頑張るきゅよー」

「ああ。一緒に頑張ろうなミカン」

「……んきゅ?」

こてり、と首をかしげるミカン。

「いや、お前も参加だぞ?」

「ええー!? なんできゅか!? ボクなんて役立たずっきゅよ!」

「胸を張って言うな。とにかく、相手が相手なだけあって人手が多い方が良いからな」

「そんなぁー……うう、ボクは平和に暮らしてたいだけなのに……っ!」

たしったしっと足を踏み鳴らすミカン。

しかしハクさんの庇護があるからこそ、帝都に近く魔王国との間にあるこのウサギダンジョンでも平和に暮らせているわけで。

「派閥に参加してるんだから、参戦は義務だぞ」

「分かってるきゅよぉ、はぁー、仕方ねーっきゅか」

ん? でもよく考えたらミカン達の参戦についての報酬ってどうなるんだっけ。

俺達の準備金、100万DPの中から工面しないといけないのだろうか? まぁいいか。ハクさんに請求して、出ないってんならそれはそれでいい程度のDPを分けておこう。

「そうだな、とりあえず今度10万DP渡すから、それで当日にリスを揃えてくれ」

「んきゅ? リス? それだけでいいんきゅか?」

「前にダンジョンバトルでやっただろ? あれと同じ感じで、探索だけしてくれればいい。あとはハクさんが攻めてくれるだろうさ」

「なるほど、それなら出来そうっきゅよ!」

ミカンはむふー、と鼻を鳴らす。どうやらやる気になってくれたようだ。

と、ここで不意に部屋の外から黒ヤギ――もとい、バフォメット型ダンジョンコア、564番が部屋の中を覗いていることに気が付いた。

「……なぁ、なんか覗いてるんだけど」

「んきゅ? あー、隠れてないで入ってくるきゅよ564番」

「む、呼ばれたからには仕方あるまいな……!」

仕方ないと言いつつ堂々と入ってくる564番。何やらソワソワしているように見えるのだが、気のせいだろうか?

ついでに、お盆にコップが3つ乗せて運んできている。

「ほれ、休憩所で出している野菜ジュースだ。飲むと良い。ウサギたちと戯れる冒険者に人気の商品だぞ?」

「あ、うん、ありがとう?……お、結構美味いな。甘味もある」

「うむ、俺様の発案でな! 丈夫な体を作るには野菜も大事なのだ。甘味は果物をいれているからであるな!」

得意げに語る564番。『ウサギの休憩所』の商品か。ミカン達も工夫してるんだなぁ。

「で! そのダンジョンバトルには! 俺様も参加して良いのだろうな!?」

「ん? ああ、参加していいぞ」

「ふあっははは! 久々に暴れまわることができるぞぉ! 10万DPあれば多少は良い武器を手に入れられる!」

高笑いする564番コア。……参加するとなるとコイツにもDP渡さないといけないのか。うーん、ハクさんが補填してくれない場合を考えて渡せる上限は……あんまり渡したくないなぁ。

「お前には魔剣10本でいいか?」

「むぅ!?……その、魔剣10本はどの程度の代物だ?」

「そうだな、実物を見た方が早いだろ」

俺は【収納】を開けて、ゴーレムブレードを1本取り出し、564番に渡した。

……564番が持つと、少し小さめだろうか?

「ふーむ……切れ味増大の魔剣か。まぁ、悪くない魔剣ではあるが……俺様には物足りないな」

「ほう? 物足りないか」

「ああ。もっとこう……禍々しさのあるデザインと、俺様の体格に合った大きさが欲しいところである。」

「ふむ。……機能的には不満はないのか?」

「俺様は自分の技で戦う戦士だ、武器に頼り切る軟弱者とは違う。魔剣としての機能は切れ味増大くらいで丁度良いというものよ。欲を言えば、頑丈さが欲しいところだが」

なるほど。そういうもんか。……大きさはともかくとして、デザインか。機能的には変わらないがテンションを上げるには重要だろう。

「ちょっと絵に描いてもらえるか? なるべく近い魔剣を用意しようじゃないか」

「む!? よ、良いのか!?」

瞳孔が横向きのヤギ眼をキラキラと輝かせて、564番が嬉しそうに言う。

まぁ、DPじゃなくて剣で良いようだし? 多少は注文を聞いてもいいぞ。

「実は俺様、自作の魔剣デザイン帳をもっているのだ。しばし待て……これだ!」

そう言って564番は【収納】から紐で綴じた紙束を取り出した。そこには『俺様の考えた最強の魔剣』がいくつも書かれている。

「用意が良いな。……なんでこんなもんを持ってるんだお前」

「む? 自分の理想の武具を考えるのはよくある趣味だろう? お主も子供の頃にやらなんだか?」

「あー、うーん。どうだったかな……ところでこのデザイン帳の魔剣には、『決して折れない』とか『振れば斬撃が飛ぶ』とか『炎を纏っている』とかあるんだが……」

「そ、そこは若気の至りというやつだ!! デザインだけを見てくれ!!」

なるほど、魔国の厨二病というやつらしい。

「んきゅ、この鎌のやつとか564番に似合いそうじゃないっきゅか?」

「む? 良いセンスをしているではないかミカン。その大鎌は俺様のデザインでも傑作のひとつよ! 振れば一撃で胴を寸断、魂を狩る大鎌でな」

「ほう。じゃあこのデザインの魔剣を10本用意してやろう」

「おおおお! 本当かケーマよ!! 実は俺様の管理していた町の鍛冶屋に頼んで、形だけは作ってもらったことがあるのだ。参考に貸してやろう」

「そりゃありがたい」

流石に魔剣ではないようだが、魔国の鍛冶屋ではそういう『自分の考えた最強の武具』を再現するのが結構な収入源だとかなんとか。

俺は魔国の鍛冶屋が作ったという黒鋼製の大鎌を受け取り、鉄製でのレプリカ魔剣――魔鎌を作ってやることにした。

預かった黒鋼の大鎌をそのままゴーレム魔剣にすることもできるが、さすがにそこまでしたら俺の手の内がバレちまうからな。

あくまで既存の魔剣を加工して作りました、くらいに言い逃れたい所存だ。