軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

伝書鳩ケーマ

「奴の正体は、10番コアとか言う奴で、アンデッド型コアだよ」

あっさりと教皇の正体が判明したところで、俺は目を覚ました。

「……10番、アンデッド型コアか」

なんか強引に起こされた感があってフラッと軽く眩暈がする。二度寝、する前にちゃんとメモるなりロクコに伝えるなりしなければ。

「ケーマ、大丈夫? なんかうなされてたけど」

「って、ロクコ。……いたのか」

「居たわよ、私が貸した掛布団がここにあるんだから、私がいても何にもおかしくないわよね?」

うん、その言い分は正しい。……正しいかな? ここ俺の部屋なんだけど……いや、正しいか。『神の掛布団』自体が貴重品だし、そこに光の神が何かしてきた可能性を考えて控えておくのは正しい判断だ。うん。

……掛布団といえば、何かロクコに問い詰めないといけないことがあったような……?

うっ、なんだろう。記憶が夢を見た後のように曖昧な感じに……

「それはさておきケーマ。10番、アンデッド型コアって?」

「ん? ああ。光神が言ってたんだ、教皇の正体だって。10番コアだと」

「それはハク姉さまに伝えておいた方が良いわね」

そう言ってロクコがメニューを操作してメール機能を呼び出す。ここは書くのをロクコに任せて俺は思い出すのに注力した方が良いだろう。

……光神にもっと聞きたい事があったんだが、あまり多く情報を聞いていたら大事な所を思い出せなくなっていただろう。だからぶった切られたのかもしれない。

「……あっ、そうそう。一応確定情報じゃなくて、光神がそういっていた、ってちゃんと言うんだぞ。神様が嘘ついてる可能性もあるんだから」

「おっと、それはそうね。分かったわケーマ」

危ない危ない。大事なことを忘れるところだった。えーっと、教皇の正体の他には、何て言ってたっけ……

「ああ。10番コアの目的は、闇神――お父様に成り代わる事だって言ってたな」

「!! それは大事な情報ね。ちゃんと伝えておくわ」

「それと、ダンジョンコア集会の会場や料理はお父様が手作りしてるらしい」

「それは知ってるわ」

知ってたのか。えーっと、他には……他には……

「4番コアはスライムだ、と自称していたんだそうだ?」

「へぇ、スライム型コアなのね」

「あ、いや、ちがう。10番コアが光神にそう言ってたんだと」

「なんだ。それは別にどうでもよさそうね。正体は分かってるんだし」

「それもそうだな……」

とりあえず大事なところは思い出して伝えられたか?

「4番コアは、初代聖女の勇者を奪った存在って言ってたな」

「? それって、初代聖女が勇者なの? それとも、初代聖女のパートナーが勇者だったのを奪ったのかしら」

「多分前者だ。……そんでもって、そいつがレオナなんじゃないか?」

「辻褄は合いそうね。他に勇者でダンジョンな奴がいれば別だけど。……一応それも姉様へのメールに書いときましょ」

このあたりは 初期(ファースト) ロットのハクさんなら精査できる情報だと思われる。聞いておくだけ聞いておいていいだろう。

「……うん、光神から得た情報はこのくらいかな」

「了解。ハク姉様にメールしておくわね」

何か大事なことを忘れている気がする……いやまて。

……そもそも聞きたい事があったら、光神にメールすれば聞けるじゃないか。光神、なんで直接会おうとしたんだ?……盗聴を警戒したのかな? レオナの。

「ロクコ。追加で4番コア――レオナが敵に回ってる可能性があると書いてくれ」

「え? うん、分かっ……いやまって。それだとメールに色々書くのは不味くない?」

「……そうだな。というか、メールで送るんじゃなくて直接会って話さないとダメだな」

「じゃ、今書いてるのはメモに留めておくわ。……そうね、姉様に送るメールはお茶会の催促にでもしておくわね」

光神がレオナの盗聴を警戒してくれていたなら、ここで俺達がハクさんにメールで報告するのは悪手でしかない。危うく気遣い(してくれていたのかは分からないが)を無駄にするところだった。

「でも、光神はレオナがメールを盗聴できるかもって知ってるの?」

「闇神にウザ絡みで押し付けられつつ自慢されたって言ってたし、知ってるかもしれないな」

「……父様と光神、案外仲がいいのね?」

「なんかお互い創造神に頼まれた仕事をしてるらしいぞ」

「創造神? 古代オフトン教の?……あ、そういえば父様も創造神様に目覚まし時計壊されたっていってたわね。その繋がりかぁ」

なるほどね、とロクコが頷く。

とりあえず伝えたいことは思い出し終わったし、そろそろ二度寝しようかな……

と、ここで俺は『神の掛布団』を見て思い出した。

光神から、掛布団の効果を教えてもらったことを。

「……ロクコ」

「ん、なぁにケーマ?」

「ちょっと『神の掛布団』の効果について、話を聞きたいんだけど、いいかな?」

ロクコの頬が赤くなりつつ、ひくっとひきつった。

その後ロクコが犯行を認めたところでハクさんからのお茶会への召喚メールが飛んできた。返事が早いが、今すぐ来てもいいと対応も超速すぎる。

「ロクコ。夢の中で俺に何をしたのか、あとでたっぷり話してもらうからな」

「えっ! や、その、えっと……うん……」

ロクコは恥ずかしそうに頷いた……うん、ロクコにしっかり問いただすのはハクさんとのお茶会の後として、ハクさんにも光神から聞いたあれこれを報告するのが先だな。

そんなわけで、俺達はダンジョン機能で『白の砂浜』へと移動し、ハクさんの居城へと【転移】で向かった。

そして、ハクさんと顔を合わせた時点で未だにロクコの顔が真っ赤なままだったため、開口一番に槍を突き付けられる俺。ロクコ、俺が悪くない点の弁解よろしく頼むよ!?

「……なるほど、事情は分かりました」

ロクコから耳打ちで説明してもらい、頷くハクさん。

「ええ、ロクコから手を出してきてたので俺は不可抗力というか」

「10番コアが教皇というのは恐らく正しいかと。まさかメール機能で光神を呼び出すとは相変わらずケーマさんも無茶苦茶ですね」

おっと、そっちか。

「……ロクコちゃんの件は、働きで 贖(あがな) ってください」

「働きで、ですか。分かりました」

藪蛇気味にそう言われてしまった。

いままでも随分と働いてる気がするが、ここで逆らっても仕方ない。

「姉様、私のやったことなんだから、私が働くわよ?」

「……ケーマさんを働かせておけばいいわ。早速、ケーマさんのおかげで仕事もできましたしね」

ハクさんはこめかみを押さえつつ、その仕事の内容を言う。

「反逆者である10番コアにダンジョンバトルを仕掛けてもらいます。いいですね?」

……ハクさん。流石にこれは……死ねと仰っておられます?