軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

お手紙書いた。

ハクさんへの報告を終え、俺達はダンジョンに戻った。

新しく仕事を頼まれる事も無かったので、久しぶりにのんびりできそうだ。

「……って、ケーマ別に仕事があってものんびりしてたじゃないの」

「気持ちの問題だよ。なにかやることがある状態だと、あんまり休んでる気がしないんだ」

「そういうもんなの?」

「なの。根が真面目なもんでね」

なるほど、とロクコは頷く。……否定しないんだな? 意外だ。

「お姉様に預けた『神のナイトキャップ』はいつ届くの?」

「近々、ってとこだな。届いたらお父様に使い方でも聞いてみようか」

「……ケーマ、今更だけど集会でもないのにお父様と連絡とれるのって結構凄い事よ?」

「闇神様だもんな」

まぁメニューにあるGPの項目でお父様へのお問合せフォームみたいなものもあるし、ハクさんだって好きに連絡が取れる。メール機能が実装されるまではこれくらいしか手段がなかったけど、ハクさんならできたはずだ。白の女神様だし。

俺はメール機能で話ができてるけど。

……こう考えると、教皇だって光神へのお問合せができるんじゃないかな。

となればやっぱり『存在を消す』なんて初見ハメ殺しは光神の力なんだろうなぁ。

しかし、ダンジョンコアが闇神にお問合せができるなら、勇者の俺が光神へとお問合せ出来てもおかしくない。現状勇者としてのレベルが低いからお問合せができないのか、それとも特別な儀式なりが必要なのかは分からないけど。

「……いやまてよ? 光神にもメールって送れないのかな」

「え?」

俺がそう言うと、ロクコがきょとんとした声をあげた。

「何言ってるのよ。光神にメール?」

「闇神のお父様にメールができるなら、光神にもメールできてもいいだろ?」

「いや、でも、陣営が違うっていうか……ああうん、でも本来勇者のケーマがダンジョンについてるわけだし、できてもおかしくない、のかしら?」

「できるできる。多分。まぁ、試すのはタダだ」

俺はメニューを開き、メール機能を立ち上げる。

宛先に「光神」として、本文は――

『 拝啓、光神様。

お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。

まぁこちらはお陰様で色々と大変な目に遭いつつも、

えぇと、何と言って説明すべきか難しいのですが、

のんびりと異世界ライフを堪能しています。

後、先日光神教のクロマクへ訪れた際、

ろくでなしの教皇が逃亡したという話を聞きました。

にげるような教皇は一体何者で、

いま現在どこにいるのでしょうか?

なので、ご存じでしたら教えていただけると助かります。

以上、よろしくお願いします。』

「っと、これでよし」

「教皇の正体とか居場所、教えてくれるなら手っ取り早いけど……そもそも届くのかしら」

「届かなくても別にいいけどな。闇神から手渡ししてくれるかもしれない」

「父様から手渡しって、それはそれでどういうことよ」

首をかしげるロクコはさておき、俺はメールを送信した。

直後、メールが返って来た……差出人は「光神」。

「……光神にも届くのね」

「……メーラーデーモン、ってわけじゃないみたいだな」

「手紙の悪魔?」

「メールが届かなかったら自動返信してくれるシステムのことをそう言うんだ。まぁ今は関係ないから気にしなくていい」

俺は光神からのメールを開く。ロクコが身を寄せて覗き込んできたので、そのまま一緒に読む。

『今、凄く驚いたよ。まさか闇神の仲間になってるとはね。

度の過ぎた冗談かと思ったけど、闇神からも直接話を聞いた。

ああ、まさか勇者がダンジョンマスターになってるだなんて!

おっと、神界とそっちは時間の流れが違うから。全部聞かせてもらった。

うん、ま、別にいいんだけどね。教皇の正体もダンジョンコアだし。

かってに逃げた教皇は、聖王国にある自分のダンジョンに隠れてるよ。

追伸:ラッキーアイテムは『神の掛布団』!!』

……うん。

あっさりと教皇の正体が分かった。そして居場所も一応。

「え、教皇がダンジョンコア? どういうこと?」

「あー、うん。色々気になるメールだけど……それについてはハクさんにメールしとくか」

闇神から直接聞いたとか、神界は時間の流れが違うとか、そこも非常に気になる点だ。

光神、お父様とホイホイ会って話をする仲なのか? 陣営として敵対してるのに?

ラッキーアイテムが『神の掛布団』って、つまりそれを使えってことなんだろう。

……なんでだ? とは思うけど、これは実際に使ってみれば分かるか。

「ロクコ、『神の掛布団』貸してくれ」

「いいけど……ラッキーアイテムって、光神の言ってる通りにしても大丈夫なの?」

「……まぁ、やらないともっと大変なことになりそうだからな」

「え、どういうこと?」

「どうやら、会ってくれるらしいんだ……そこまで求めてなかったのに」

俺はメールの本文を見直す。メールの内容からして、怒っているようではない。

会わない、先延ばしという選択肢は――それこそ怒りを買いそうだし、無いな。

しかし、実際に会ったら存在を消されるという可能性もある……

……土下座の素振りでもしておくべきだろうか?