軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

伝説は捏造(つく)れる。

「それでケーマ、次は何を調べるの?」

「うーん、どうしようかなぁ」

魔道具を解析し終わった俺達は、次に何を調べるかと考えることにした。

……ちなみにナリキン達からも報告が上がっており、効果範囲もばっちり分かっている。こちらの魔道具分解調査ではセットした魔石の出力任せの、言い換えれば『効果範囲:可能な限り全力全開』みたいなことしかわからなかった。効果範囲を切り替えるレバーではそれぞれ大中小の大きさに加工された魔石を切り替えるだけのようだったし。

「ていうか、別に何か調べる必要はないんじゃないか? もう諸々ハクさんに任せて、ナリキン達も好きに観光させて、俺達はぐーたら寝てるだけで。ダンジョンの改装もぼちぼちやっていけばいいし……ふぁぁ、眠くなってきた」

「えー、でもそれだと私がつまらないし。何かしてないと落ち着かないっていうか」

「……ロクコがつまらないっていうなら仕方ないなー」

俺が寝ていたいのと同レベルに、まっとうな理由である。

「ケーマの【超変身】について調べるっていうのもアリよね?」

「と、いうと?」

「【超変身】したときに死ぬと復活するんでしょ? どこで復活するのか、どのくらいで目を覚ますのか、とか?」

確かに知っておいて損はない情報だけども、そのためにいちいち変身して死ぬのも怖いなぁ。

「将来的には、飴玉に変身したケーマを私が舐め溶かして食べたらどうなっちゃうのか、とか気になるわね!」

「おい。そんな色んな意味で怖い実験はやめてくれよ?」

下手したらロクコのお腹突き破っちゃう。そんなどこぞの宇宙人みたいな登場はしたくない……! かといって、実際に別のところで試したら復活直後に死ぬ可能性もあって、そうなったら一発アウト。気軽に試せることじゃない。

「大丈夫よ、当然いきなり自分では試せないわ。……かといってケーマをゴブリンに舐めさせるのも嫌ね、どうしましょう」

「当面はそっち方面の調査はやめておこう。な!」

「むぅ、仕方ないわねー」

残念そうに言うロクコ。まったく、どういう性癖だよこいつめ。

仕方ないといいつつもまだやりたそうな雰囲気を感じたので、別の方向に話を誘導することにする。

「そうだ、何か調査するんじゃなくて、村の方で何か仕事を探してみるとかどうだ?」

「村の仕事。といっても、宿のオーナーとしてはちゃんと仕事してるわよ私……あ、そうね! 村長(ケーマ) の奥様としてね!? ふふふん、それは確かに有意義な時間の過ごし方だわ」

「んん? そうなる、のかな?……まぁいいや。俺は寝てるから」

「ええ。ケーマの寝てる間に村をもっともっとより良くしちゃうんだから。そうね、聖王国を見習ってデートスポットになりそうな公園でも作らせようかしら」

ロクコがなにかウキウキと計画し始めた。よし、これでついでに俺も惰眠をむさぼれるってなもんだ。

「2人で共同作業のコア割り、みたいな名物を作りたいわ。ケーマ、何かアイディアはあるかしら」

「そこを俺にふるのか。ちょっとまて考える」

日本にいたころ、デートとか特にそういうのに興味なかったからその手の定番がよくわからない。……いっそダイードでレオナが作ってた何かしらを参考にするべきか。いや、ここはゲームやアニメを参考にする方が良いか。

「……定番だと、特定のある日、伝説の樹の下で告白して生まれた恋人はとても幸せになれる、とか、どこどこで告白すれば必ずカップルになれるとか、そういう感じかな」

「伝説の樹……ほほう、それはいいわね。作りましょう! その樹の下で告白されたら必ずカップルになれるとかそういうので!」

作っちゃうんだ? 伝説。

「ふふふ、そもそも伝説ってのは人が作るものよ? だから完成したら手始めにケーマが私に告白してよね」

「……おいまて、なんでそうなる」

「このゴレーヌ村の代表が率先してこそ、伝説が捗るってなもんじゃないの。安心して、絶対に断ったりしないから。ね?」

それはそれで、やらせじゃねぇか!? と思わなくもない。

「大丈夫よ。告白した、カップルになった。その2つの事実がちょーっと前後するだけ。……あ、ネルネもワタルへ告白させてみる? まず断らないでしょあの勇者」

「そこは本人たちの好きにさせよう? な?……とはいえ、逆にワタルが伝説の告白スポットで告白したとして、そこでフラれたら確実に縁起悪いな」

「じゃあケーマがアドバイスしてあげなさいよ。ネルネなら絶対に断らないような素敵な告白を!」

「むしろそれこそネルネに事情を話しておいて、断るつもりならあらかじめそこでは告白させないようにした方がいいんじゃないかなって……」

「なるほど……誘ってOKされたらその時点で告白成功が確定するわけね。あれ?」

首をかしげるロクコ。

「……もしかして、告白される側が『必ずカップルになる』って伝説を知っていたら、そもそも呼び出しに応じないんじゃない? だって、行ったらカップルになっちゃうんだもの。結果、『そもそも告白が成立する』場合は『告白も成功する』ってことに……?」

「……なんか逆説的だけどこれも話が前後してるなぁ。けど、そういうことになるのか」

案外伝説ってのはそういう事なのだろう。伝説って言うくらいだから広く知られているんだろうし。

「なんか、パズルみたいになっちゃったわね。その場所に呼び出す時点ですでに告白ってことじゃないの」

「けどまぁ、そういうクッション的な場所が1カ所くらいあっても良いんじゃないか? こう、告白に断られた、っていうより心理的ダメージは軽いだろうし」

「そうね、そういうのもアリね。……よし! それじゃあ伝説の樹のある公園を作る計画をたてましょうか!」

あ、結局作るんだね。伝説……

「ケーマも協力してよね? 約束よ?」

「……仕方ないなぁ。じゃ、どこに作るかだな」

「やった! ちゃんと告白の文面も考えといてね!」

……ん? これ完成したらロクコに告白しなきゃならんの? と思ったが、ウキウキ顔で地図に書き込みを加えているロクコに、俺が口を挟むことはできなかった。