軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ダンジョン跡地

とりあえずビニールハウスはなさそうなので、まず間違いなくダンジョンがあるのだろう。……さて、ではダンジョンはどこにあるのかだが。

「マップ機能で多少は調べられないかしら」

「あ、それはいいアイディアだな。まぁ町中にあればだけど」

というわけで、 ロクファ(ロクコ) の意見から早速マップを開いてみる。

ナリキンに憑依した状態でもちゃんとメニューは使える。ナリキンに許可した分に限るが。

で、マップにはサンシターの地図が現れる。

農地が多い。小麦畑、果樹園、

……ダンジョン跡地、と言う場所もあるらしい。そこそこの広場で少し怪しく思ったが、 ナーナ(トイ) 曰く、

「名前の通りダンジョンを破壊した跡地ですね。記念公園みたいなもので、観光スポットですよ」

とのこと。ダンジョンコアを模した白くて丸い壷をカップルで一緒に壊したりできるんだとか。

「光神教の結婚式でも夫婦一同で同じように壷を破壊するそうですよ。奥様、旦那様と一緒に行ってみては?」

「いいわね! 行きましょうケーマ……じゃなくてナリキン!」

「うん、待て? ここに来た目的を忘れてない?」

「今日はもう商業ギルドで色々情報収集したってことで、あとは余暇でいいじゃない」

「奥様、それなら私は個人的に情報収集してきても?」

「いいわよ、私が許可するわ。また夜にね」

「おいロクファ、勝手に許可するんじゃない……まぁ1日くらいいいか」

ナーナ(トイ) が鳥籠に入っていた トラン(ナリキン) と シーバ(ロクファ) を放す。自然の鳥と違い、2羽は素直に俺の肩に止まった。

「では――」

「待てナーナ。一応トランを連れていけ」

「――かしこまりました、旦那様」

さっさと行こうとする ナーナ(トイ) に トラン(ナリキン) を同行させる。さすがに一人自由にはさせられないからな。

「そんじゃ俺達は果樹園に行ってみるか。実際に買った果物と併せて『これはどこで穫れるのか、 生(な) ってるところを見たい』とか聞いたらボロが出そうな感じがする」

「それもいいけど、まずは白い壷を割りに行きましょうよ!」

えぇ……それダンジョンコア模してんだけどお前それでいいのかよ??

ともあれ、ロクコの強い希望により、ダンジョン跡地に向かうことになった。

……まぁ一応情報収集も兼ねてだ。

* * *

さて、ダンジョン跡地公園。ここには以前、ダンジョンがあった。

ではそれはどんなダンジョンだったのかと言うと、小さな丘が入口になっていて全12階層、ダンジョンに出てくる敵は四足動物が主であったとか。

「と、公園入口の看板に親切に書かれているわけだが」

「たぶん私が生まれる前よね」

となると、元々何番コアだったかとかは分からないか。

それにしてもこういう看板、とても記念公園らしいというか立派な観光地というか。ダンジョン入口の洞窟手前には受付があり、入場料(大人:銅貨10枚、子供:銅貨3枚)を払えばダンジョン内も観光できるとのこと。

つまり、元ダンジョンが今やダンジョン攻略の気分を楽しめる人気の観光スポットなわけだ。

「大丈夫かロクコ。ダンジョンコアにとっては死体なんじゃないか?」

「ちょっと、ロクファよ。ナリキンが間違えないでよね」

「おっと、すまん。……で、大丈夫なのか?」

「特にこれと言って思うところは無いわね。コアのかけらだったり倒してすぐならともかく、ここはダンジョンの加護がないただの穴だもの」

そういうもんらしい。

ともかくダンジョン周囲は芝の生えそろった広場な公園だ。さっそく元ダンジョンの受付に行ってみよう。

「いらっしゃいませ、お二人ですか?……そのような軽装で大丈夫ですか? よろしければ、貸し装備などもありますが」

アトラクションかよ。

「不要だ。一応、これでも冒険者だしな。【収納】があってそっちに入れてるからな」

「おおそうでしたか、これは失礼しました。しかし中で軽食がとれる場所や宿泊施設もございますので是非ご利用ください」

「宿泊施設?」

「ええ、なにせ12階層ありますので」

なるほど、言われてみれば『配置』とかも使えないただの穴で、12階層。単純な階段の上り下りだけでなく、1フロアごとに広さもあるのだ。

普通は一日がかりとか泊りがけで遊びに来る場所、と言う感じの場所なのだろうな。

「ねぇ、私壷を割るのがやりたいのだけど」

「ああ、それでしたらここでもできますが、折角ですし最下層の元コアルームがよろしいでしょう。料金はこちらでは銀貨1枚、最下層では銀貨5枚となりますが」

「む、奥だと銀貨4枚分高いのか」

「輸送費がかかりますので」

それもそうか。単純に壊れ物を運ぶのも手間だろうし、それに場所も元コアルームというプレミアがあるわけで。なる程な値段設定とも言えよう。

「ここまできたらそっちよね!」

「ん? ああ、そうだな」

まぁ銀貨4、5枚程度、宿での稼ぎを考えると大した出費でもない。奮発してしまっていいだろう。

「では順路はあちらとなります。ごゆっくりお楽しみください」

とりあえず、入場料に銅貨20枚を支払って元ダンジョンの中へと入っていく。そこは等間隔に並んだ光の魔道具が照らす洞窟系のダンジョン。ただし、所々木の柱やレンガ等で補強が加えられていた。

ダンジョンコアを破壊した影響で壁や床が崩れやすくなる。それを防ぐために補強してあるそうな。入口すぐの壁に掛かってる看板に書いてあった。

「本当に、ダンジョン跡地が観光地になってるのねー」

「順路の看板まであるぞ。……ふむ」

「ケーマ? 奥はこっちらしいわよ」

……おっと、順路はこっちか。

スタッフオンリーな場所も多少は気になるが、今は普通に奥まで行ってみよう。調べるなら、後でこっそりだな。DPで蜘蛛でも召喚して潜り込ませればいいか。

それにしても、結構歩いているのになかなか疲れない。

ゴーレムアシストはしていないのだが、ナリキンの身体が疲労を感じにくいのだろう。なにせ元がリビングアーマーだから。

一方で ロクファ(ロクコ) は中々疲れている様子。

「はぁ、はぁ……休憩しない?」

「……そうだな。丁度いい所に休憩所も作られてるし」

喫茶店になっているようで、軽食も取れるようだ。

安全地帯のような緑色の壁紙が貼られているというにくい演出。ご丁寧だね。

「冒険者くらいの体力があるロクファが丁度疲れる頃合いに喫茶店……こいつは狙い通りなんだろうな。しかも結構人が入っている」

「だとしても、入るわよ。私疲れたもの」

「そうだな」

ロクファ(ロクコ) をつれて喫茶店に入る。

……案外普通に喫茶店になっていて、本当にダンジョン跡地なのだろうかと首をかしげたのはここだけの話だ。