軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

女神の審判

そして俺とロクコ、ソトの3人は『白の砂浜』へとやってきた。

「……来ましたか、ケーマさん」

そこには白の女神と呼ばれる魔王が待っていた。

来たくなかった。とても来たくなかったよ。その黒いオーラは何なん?

「姉様、おはようございますっ!」

「おはようロクコちゃん。今日も可愛いわね」

ロクコに対してはコロリと態度を変えるハクさん。器用なことにロクコを避けて殺気が飛んでくるようなそんな感じ。吐きそう。

ロクコにハグして頭を撫でた後、今度はソトににこりと笑いかけるハクさん。

「……で、その子が話にあった番外コア?」

「は、は、初めまして、ハクおば様!」

「おば様……ふむ、確かにロクコちゃんの娘なら伯母になるものね。名前は何かしら」

「は、はい! ソトと申します! な、なにとぞ、なにとぞよろしくお願いしますっ」

「……なぜドゲザしてるのかしら?」

あっ、ズルいぞソト! 先行ドゲザされたら俺が頭を下げるタイミングを逃してしまうじゃないか! ここはソトに 連動(チェーン) して俺もドゲザを発動……

「立ちなさい。私の姪でしょう? ならばその頭は簡単に下げていい程安くないわ」

「は、はひっ!!」

バネ仕掛けの玩具のようにビンッと勢いよく立ち上がるソト。

それを見て、くすりと笑うハクさん……ゆ、許され……あ、ソトだけっすね? 殺気で主張しないでください、死んでしまいます。

「おいで」

「は、はい、おば様」

ソトは手招きされ、ロクコとハクさんの間に挟まった。わぁ良い匂いしそう。そこ代われとは間違っても言えないけれど。

「ふふ、目元がロクコちゃんそっくりね。可愛い子」

「うわぁぁすっごい美人……ああ、やば、好き……この人の靴下になりたい……!」

「髪の毛はケーマに似て真っ黒ですよ」

「んんー、そこは減点ポイントかしら」

「なんと! ならば染めます! 赤でも青でも白でも金でも! パパ、そういうアイテムありますよね!?」

おいこら、親から貰った髪色だぞもっと大切にして!

「…… パパ(・・) 、そう、 パパ(・・) ね。……ケーマ、さん?」

ニコォ……と、背筋の凍る笑みを遂にこちらに向けてきたハクさん。

……よし、先程はタイミングを逃してしまったが、今度こそドゲザをだな。

「ケーマさん。事情を説明、しなさい?」

「……えーっと、不慮の事故が発生しましたというか、ええっと」

「なるほど。避妊に失敗したと? ミーシャやドルチェの目を掻い潜り、ロクコちゃんを穢して孕ませた罪――さて、如何程かしら?」

ひぃいいい!? 殺気がますます濃く! 触れたら具体的な殺し方がじわりじわりと伝わってきちゃう感じの幻覚を伴うオーラがハクさんから放たれて……!

「まって姉様。孕むってなんですか?」

「あら。おなかで子を作り、育てる事よ? この子、ソトが……ここに居たのでしょう?」

「ひゃっ、くすぐったいです姉様」

と、ハクさんがロクコのおなかを撫でる。

「それなら孕んだのはケーマですよ姉様。おなかというか【収納】でですが」

「ん?? ケーマさんが父親なのでしょう?」

あら? と首をかしげるハクさん。

「おば様! パパはニンゲンだからニンゲン基準で男をパパと呼ぶようにって言ってました! なので本当はママなんです」

「……ん? あら?」

こてり、と首をかしげるハクさん。……そして。

「ロクコちゃん。この子どうやって作ったか教えてくれる?」

「え? えーっと、前にケーマがお父様に貰ったダンジョンコア。あれをケーマがずっと温めてて……」

そして、ロクコの説明を一通り聞いているうちに、殺気は鳴りを潜めて行った。

「……あっ、そうよね。ニンゲンとしてだと、いきなりこんな大きい子供にはなりませんか。……前に教えた通りの作り方で……なるほど」

「ニンゲンだと子供の作り方が違うんですか?」

「知らなくてもいい事よロクコちゃん。もう子供作ったでしょ? ね?」

なるほど。どうやらソトに俺をパパと呼ばせたのは失敗だったらしい。

ロクコのメールで俺が『父親』だとハクさんは認識し、『俺は神ではないので』人間の作り方で子供を作ったのだと。婚姻するために通す筋を飛ばして事に及んだのだと、そう考えてしまった。

「なるほど……ケーマさんは神の子供の作り方を知らなかったのですね?」

「知りませんでした」

「嘘検知にも反応なし。分かりました、今回は許しましょう……ソトちゃんに免じて」

許された! 許されたよ、五体満足で生き延びた……!

ありがとうソト。あとでイチカの靴下をあげよう! キヌエさんのもつけてやる!

「ハッ、ありがとうございます!」

「折角用意した拷問器具が無駄になりましたね」

「ハ、ハハ」

と、ハクさんは【収納】からどさどさと痛そうな武器やらなにやらを砂の上に落とす。わざわざ見せてくるあたり、次は無いぞという警告だろう。

「わっ、美味しそうですね。ハクおば様、これ食べても良いですか?」

「えっ。……食べ物じゃないけれど……別にいいわよ?」

「わーい、いただきまーす!」

そう言ってソトは、ハクさんが出した拷問器具を【収納】にぽいぽい入れた。

「おぉ……やっぱり魔法付き! 味わい深い……エネルギー満ちるぅっ」

「ほう、それが【収納】のダンジョン。……中はどうなっているの?」

「入りたいですか? ふふふ、ハクおば様であれば、特別にご招待してあげましょう! あ、入場料は今履いている靴下……そのタイツで結構ですよ」

「え、タイツ?」

おいいいソト!? 失礼な事をするんじゃない、親の責任とか言って吊るされたらどうする!?

「そういうお遊び? ふむ。ちょっと待ってなさい…………はい、これで良いの?」

しかし何と、ハクさんはごそごそと服のスリットから指を突っ込んで、恥じらうことなく俺たちの目の前で黒タイツを脱ぎ脱ぎして、ソトに手渡した!

「……わ、わきゃぁあああ!? まじですか! 女神級レジェンドレア! 殿堂入り確定! ありがとうございます、ありがとうございます! 家宝にします!」

「な、なんかルールが良く分からないけど……お邪魔していいのかしら?」

「はい! はい、どうぞ、どうぞお楽しみください! 何もない狭いダンジョンですが!」

「じゃあ、入らせてもらうわね」

ハクさんが【収納】に入り込む。ソトはハクさんの目が離れたすきに、がぶっとタイツを口に放り込み、一気食いした。

【ちょい複製】のあるソトは 食べ物(・・・) を我慢する必要がない。むしろ一度食べてしまえば、後でいくらでも複製で楽しめるのだ。

「~~ッ! っぷぁあ、お、美味しすぎるっ! 美味しすぎて、こ、腰、腰が抜けちゃうっ! 抜けたっ! 立ってらんない! ママ、つかまらせて!」

「えぇ? もー、まったく。ケーマの子らしいわね」

何俺に原因を押し付けてるんだ。お前の娘だぞロクコ。

「……というか、ハクさん止まったりしないのか? 普通に入ってったから大丈夫なんだろうけど」

「あ、そういえば普通に動いてますね? 時間止めたままなのに。ニクお姉ちゃんは昨日中で止まってたんだけどなぁ」

おい、俺が寝てる間に何してたんだ。