軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

『憤怒』ギミック

ちなみにDPカタログにも『サキュバスの体液』は薬として載っており、しかも結構高かった。……『暴食』ギミックに混ぜたら魅了効果で中毒性上がるのでは……いややめとこう。単に精力剤になる未来が見えた。

「さてと。それじゃあ次は『憤怒』かな」

俺は先日従業員休憩室にて、レイとニクに『憤怒』ギミックについて意見を聞いてみたときのことを思い出す。

「『憤怒』では怒らせて足止めをするようなトラップが欲しいんだが。何かいい案は無いか?」

「よくわからないです。レイはどう思います?」

「え、ニク先輩そこで私に振るんですか。……うーん、逆に、どうしたら怒らせられるかから考えるべきでは?」

なるほど、さすがレイ。堅実な意見だ。まず相手を怒らせなければ足止め以前の問題か。

「そんじゃ、例えばレイが怒るとしたらどういう場面だ?」

「……マスターを馬鹿にされたら怒りますね」

「わたしも完全に同意です……ですがこれはダンジョンのトラップにはできないですね」

「そうだなぁ」

……うーん、これはコンセプトからして見直す必要があるかもしれない。

なんか吸ったら怒りを増長するような怪しいガスでもあれば話は別かもしれないが、怒る要因とは人それぞれだ。どうすっかなぁ。

「マスターはどのようなことをされたら怒りますか?」

「ん? 俺ってそんな怒ったりしないからな……」

「ご主人様はわたしたちやロクコ様に手を出されたら、すごく怒りますよ?」

即答して「むふん」と鼻息を吹いて得意げなニク。……え、俺そんな怒ってたっけ?

「相手はダンジョンでけちょんけちょんです。新人狩りの人とか殺してましたし」

「……そういえばそんなこともあったな」

うーん、よく覚えてたな。俺はちょっと忘れてたよ。

「共通点を纏めると、大事なものに手を出されたら怒る、って感じですね? ではそれを実現する案ですが……すみません私には思いつきません」

「俺もすぐには思いつかん。けど、参考になったよ。ありがとうな、レイ。ニク」

冒険者が怒る罠……大事なもの……お宝?

なら消えるお宝とか? いやまぁどうやって実現するかだけどな。色水で作った氷の宝石とか? ……触ったら即バレするなぁ。冷たいだろうし。

「あ。消えるお宝なら心当たりがあります」

「え、本当かニク」

「はい。先日イチカがそんなことを言っていました。あれは――」

というわけで、『憤怒』ギミックにイチカの大好きなあるモノを流用してみた。

「それがこちらだ」

「スロットやん!」

スロットだよ。ま、元々ダンジョンのドロップ品として見つけたという触れ込みなわけだし、ダンジョン内にあってもなんら不自然がないというのもいい。

「てか、またウチがテストするんかいな」

「いちいち適任なんだよ……『色欲』のテストも頼むかもしれない。理由は消去法」

「あー……」

というか、ダンジョンの身内で唯一と言っていいまともな人間だからな、イチカって。

俺は異世界人でダンジョンマスターだし、ニクはニクでなんかあれらしいし。モンスター娘たちは人間と感情や感覚が様々な点で異なる。

そう考えると、『ただの人間』であるイチカは貴重な仲間なんだよなぁ。ホント。

「まぁそうなるわなぁ……ええで。最近すっかり忘れてたけどウチってご主人様の奴隷やしなー。命令には絶対服従やし?」

「ま、そういうことで部屋の扉を閉めてスロットを回してみてくれ」

「了解やー」

イチカはそう言って席に着き、扉を閉める。扉と連動して硬貨を入れる穴が開いた。

早速手持ちの銅貨(今回はこちらで用意し、イチカに渡したもの)を入れてもらう。

「ひゃっほう! 早速当たりがキタぁ! なんやこれ設定甘いんちゃう?」

「おー、おーおー、当たる当たる……っしゃあ!」

そして、イチカの儲けがある程度膨らんだとき、そのギミックは発動した。

「ん? なんやこれ。絵柄が揃ったのになんも出ぇへんで? 壊れた?」

仕方ないので、改めて銅貨をスロットに入れる。が、反応がない。

「ん? あれ、どないなってん……ご主人様ー、スロット壊れ――」

そうして振り向いたイチカは、背中の扉に絵と文字でとあることが書かれていることに気が付いた。

『扉ロック中。解除まであと銅貨214枚』

「……は?」

イチカは一瞬あっけにとられた。だがそんな警告、無視してしまえば問題ない話だ。イチカは部屋を出ようとし――当然、閉じ込められていた。

「お、おいぃ!? どないなっとんの!? ご主人様ぁ!」

「あー、うん。ハズレ当たりを引くと、儲けた金額がそのまま罰金に代わるんだ」

「ふざっ、ふざけんなやぁああ!? こんなん詐欺や詐欺ぃ!」

ガンガンと扉をたたくイチカ。うーん、『憤怒』させるのは成功したが、これは扉やスロット本体をかなり頑丈に作る必要がありそうである。

「あー、でもあれだな……途中で離席しちゃうとリセットになるか……金額は引き継ぎ、だと前の人の分が払いきれず出られず詰むケースも出ちゃうし、どうするかなー」

「うぉおおおー、出せぇ、出すんやぁ!」

「イチカー、ちゃんと銅貨をスロットに入れたら出られるぞー」

「いやぁああー! ご主人様の鬼ぃー!」

儲けた分は全額没収、だと今度は単に初見だけの罠になってしまう。しかもダンジョン奥で怪しいスロットに金を入れるという酔狂が前提の。

「……折角作ったけど、没かな!」

まぁ、一応どこかに置いておくくらいはアリかもしれない。次のアイディアを考えよう。