軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

そんでもって。

とりあえず、トイの扱いだが…… 一応宿のメンバーへの紹介もあっさり済ませ、バイトとして扱うことにした。ゴーレム関係は極力秘密だ。

寝床についてはレイ達が寝起きしてる社員寮に1室追加だ。尚、ニクの方は村長邸に部屋があるので扱いが上、ということになるのだろうか。まぁたとえトイが勝ってたとしても村長邸に置きたくはなかったからこうなっただろう。

「オフトン教の教会に住み込みでも良かったのですが?」

いやないわ。レオナ関連でまとめたくない。そういう点を踏まえた上でも最適なのが従業員寮である。

「それで、私は何をすれば良いのでしょう? 魔法局局長を務めておりましたし、大抵のことはできますよ、ケーマ様」

「うん、宿の受付と食堂の給仕だな」

「はい?」

「宿の受付と食堂の給仕だな」

「……この私をそんなことに使うのですか。贅沢ですね?」

だってしょうがないじゃん。ダンジョンの業務は手が足りてるし他にさせる事がないんだよ! ってか余計な事をさせたくないしだからハクさんに押し付けようと思ってたんだし……

「もっと私の能力を活用できる仕事が良いと思うのですが」

「といってもなぁ。何ができる?」

「暗殺、拷問、拉致、流言、調査、扇動、物資強奪、破壊活動等ができますよ?」

忍者かよ。

……あれ、そう考えると結構使い道がある気がしてきたぞ?

「それじゃあ……俺を狙う暗殺者の素性調査とか」

「捕獲と拷問ですね? お任せあれ。ちょっと捕まえてきますね」

トイはシュバッと跳躍して姿を消した。え、今? と思っていると、すぐにシュタっと戻ってきた。その右腕に気絶した男を捕まえて。

「お待たせいたしました。拷問室をお借りしても? ないのであれば倉庫等でも構いませんが」

「あ、うん。そこの井戸から地下室にいけるから……」

「素晴らしい! ちゃんとそういう部屋があるのですね、素敵です。抱いてください。ああ、抱き枕にしてくださいと言っておくべきでしたか?」

「間に合ってるから」

「あら残念」

トイの誘いを断ると、トイは気絶した男の襟首をつかんで井戸に入った……井戸から頭をちょいと出して、にこっと微笑む。

「成果に対してはご褒美を要求します。あと、空いた時間は、ケーマ様の仰る通り宿の受付と食堂の給仕をして暇を潰しますね」

そう言って、トイは今度こそ井戸の中に入って行った。

ご褒美……まぁ、ハンバーガーで良いだろうか? 良いだろうな。良いという事にする。

トイの処遇もまぁ大体きまったところで、ロクコが俺ににっこりと笑いかける。妙にご機嫌だ。

「ケーマ、賭けは私の負けね。というわけでデートしましょう」

「あれ、俺が命令できる側じゃなかったっけ?」

正確には勝った方のお願いをひとつ聞くって話だったはずだけど。

「ケーマのお願いを聞くにしても、デート中とかデートの最後とかが良いと思うのよ。ええうん、私ってば空気の読めるダンジョンコアだから、そういう事で」

「……え? デート中とかデートの最後に恥じらいながら脱ぎたて靴下くれるって?」

「ケーマ?」

「冗談だ冗談。お願い事がキス固定みたいな言い回しだったからからかいたくなっただけだ」

ロクコの冷ややかな視線に、冗談半分で言ったお願いを取り下げる。俺は空気の読めるダンジョンマスターだから。

「むぅ、その言い方だとケーマは私とちゅーしたくないみたいじゃないの!」

「したくないというより、したらハクさんが怖いというか……ドルチェさんがいつ見てくるか分からないのがな? 特にデート中とか絶対監視の目があるだろ。200%あるだろ」

「むむむ」

ドルチェさんゴーストタイプだから、手下にもゴーストがいてしかも霊感の無い俺には見えないとかありそうで怖い。見えない自動追尾式監視カメラとかヤバい。

「じゃあダンジョンデートね。『欲望の洞窟』内ならドルチェでも簡単には壁抜けできないし侵入者はハッキリわかるわ。だからいいのよちゅーしても!」

「ダンジョン内はダンジョン内でレイやエレカ達ダンジョン管理用モンスターの目が」

「んなもん私の権限で見せないようにすればいいでしょ!」

「……あと別にデートするような面白味のある場所でもなくない? ダンジョンだぞ?」

「……わ、私の身体に魅力がないみたいなこと言わないでくれるかしら!?」

ああ、ロクコにとっては自分自身だもんなダンジョン。そうなるのか。

「うー……なら面白味のある設備を作ればいいんでしょ!? いいわよ作ってあげるわよ、見てなさい、レオナの作ったデートスポットより素敵な場所を作ってぎゃふんといわせてあげるんだから!」

「まてロクコ。方向性。方向性を見失ってる。元々『欲望の洞窟』はデートスポットじゃないんだからデートする面白味がなくて当然だ。やめなされ? 貴重なお願い権をロクコの暴走を止めるのに使いたくないんだけど?」

「むむぅぅー」

頬を膨らませて不機嫌を表明するロクコ。

だが俺の言ってることも分かってくれたようでデートスポット作成は諦めてくれたようだ。

……さて、ここからが問題だ。この保留したお願い権をどう使えば角が立たないか。

ノリでロクコの賭けに乗ってしまったが、よくよく考えたら特に使い道がないんだよなぁ……いっそニクが負けてくれた方がよかったかもしれない。いやそれはそれでトイの扱いが面倒なことになってただろうけど。

だって、ロクコってなんだかんだ俺のお願い普通に聞いてくれるもの。

絶対命令権は当然使ってないのにもかかわらずだよ。

まぁ大したお願いはしてないってのもあるだろうけど。

かといってキスとかそこら辺を要求すると今度はハクさんに話が飛ぶので、そっち方面の要求は難しい。絶妙に使い勝手が悪いぞお願い権。適当にそこのアレとってくれくらいの内容じゃロクコが納得しないだろうし。

そこそこのお願い……んんー。

「……あー。ロクコ。じゃあお願いなんだけど」

「ん、こ、ここで? いいけど?」

モジモジするロクコ。ちがうぞ、キスじゃないぞ?

「今度ダンジョンコアを湯たんぽ替わりに使わせてくれ。実はずっと気になってたんだ」

「…………ちょ、ちょっとケーマ。そ、そうくるかぁ……う、うん、いい、わよ?」

顔を赤らめて頷くロクコ。よし、どうやらほど良く丁度いいお願いができたようだ。ふぅ。乗り切ったぜ。