軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

チート発覚

「そういえばイチカは包丁を武器として使ってたんだったか?」

「短剣とか槍、罠も結構つこーてたけど、メインは包丁やったね」

包丁、包丁ね。……うん、作れそうだな。

「イチカ。木の枝を拾って来てくれ」

「わかったわ。けど、木の枝で何するん?」

「ちょっとイチカの武器を作る」

「……木の枝で? ぜーたくは言わんけど、ウチ、木刀や棍棒はそんな得意やないで?」

「木の枝も使う、ってだけだ。ああ、大きいのじゃなくてもいいぞ。柄にするだけだから」

「ん、すぐ持ってくるわ」

イチカが木の枝を拾いに行っている間に、俺は【収納】から鉄インゴットを取り出した。

ここで、【クリエイトゴーレム】ですよ奥さん。今回は鉄インゴットから包丁の刃ゴーレムを作りますよ? まぁポンッとすぐできるんだコレが。

で、その間にイチカが木の枝を持って戻ってくる。

木の枝に生活魔法の『乾燥』をかけて水分をとばし、こねてまとめてから包丁の柄ゴーレムを作って、最後にその二つを組み合わせてゴーレム包丁にする。尚、三徳包丁型だ。

最後に、魔力流したら前後に超高速振動するゴーレムブレード仕様にして……完成、魔剣ゴーレム包丁。

我ながら実にいい出来だ。惚れ惚れしちゃうね。

「よし、包丁、これでいいか?」

「え、あ、うん」

途中から作業を見ていたイチカは、口をあんぐりあけたままゴーレム包丁を受け取る。

「は? え? 何したん? コレ」

「クックック、これぞ我が魔法、【メイカー】……! あらゆる物体を加工できる魔法だ! この魔法を使えばこの程度の包丁を作るなど容易いことよ!」

「んなっ、聞いたことも無いッ……ユニークスキルやてぇ?!」

おおっと、悪ふざけで言ってみたが、イチカは本気で信じてしまったようだ。普通に驚いてる。

俺はそれを見て慌てて訂正した。

「ごめんごめん、ちょっと格好つけただけだ。本当は【クリエイトゴーレム】の応用だよ」

「はぁ?! ちょっと待ちぃや、【クリエイトゴーレム】でこんなんできるわけないやろ?! あれはゴーレムを作る魔法やで!」

おかしい、訂正したのにますます驚かれた。

そして、さすがのイチカも、理解できる許容範囲をオーバーしたらしいな。ついに「こんなの出来るわけがない」が出た。

つまり、俺は常識からだいぶかけ離れたことしてるってことだ。

「え? だからそれ、ゴーレムだよ? 包丁型してるけど」

「あ、あのなご主人様。ゴーレムちゅーんは、人型で……手と脚と頭と胴体があって……ええと……ああもう分けわからん……常識を知らないっちゅーてたけど、ここまでとは……!」

普通はスキルの応用とかしないのかな、結構考えそうなもんだけど。

「することはある……けど、せいぜい使い方の話や。【ファイアボール】を水に撃ってお湯をつくったり、ってとこやな。……スキル自体を応用して別モンにするっちゅーんは、魔導師っちゅー、スキル研究専門の奴らしかできんことや。しかも、1つのスキルを生み出すのに下手をすれば一生を費やすっちゅー……うん、ご主人様、悪いことは言わん、【クリエイトゴーレム】っちゅーのはやめて、【メイカー】って名乗るべきやな。そうすれば一族に伝わる秘儀とかそんな感じのユニークスキルで通せるわ」

あれ? でもそうなると詠唱って変わるんじゃないか?

今一応『土塊よ、姿を変え、従者となりて我に従え、【クリエイトゴーレム】』って詠唱なんだけど。あ、土塊のところは対象が土の場合の話ね。木や石や鉄でそれぞれ微妙に変えてる。

素材が混ざってたら面倒だから塊よで済ませてるけど、正しく対象を言えると魔力の消費が少なくていいって感じかな。さすがに石に「木の枝よ」って詠唱すると異様に消費デカくなるけど。

……ああ、そうか、つまりちょっとくらい換えてもいいんだから、変えてもいいのか。ためしてみよう。

「木の枝よ、姿を変え、我に従え、【メイカー】」

お、いけそうだ。魔力を流して形を変える。木の皮は適当に紐にして腰に下げられるようにしよう。

で、木の枝から鞘(鞘ゴーレム)を作り出すことに成功した。

「魔法って割と自由だなぁ……あ、でも最後は【クリエイトゴーレム】のほうが魔力消費少なくて楽だから普段はそっちでいいかな? 慣れの問題かもしれないけど」

「いやいやいや、【メイカー】名乗れっちゅーたけど詠唱やキーワードまで変えろとは言っとらんで?! ちゅーか、なんで変えられるん?! こんな 意味不明な呪文(・・・・・・・) !」

ん?

「意味不明って、……詠唱の意味って、普通に分からないのか?」

「い、一応は古代魔法文明時代語、っちゅー話は聞いたことあるけど、詠唱のどこがどういう意味なのかっちゅーのは全然やな」

あ。ああ、なるほど、そうか。そういうことか。

どうやら、俺には普通の言葉に聞こえるけど、これも翻訳機能さんががんばってくれているらしい。

かつ、俺が詠唱として唱えるとちゃんと意味のある呪文に翻訳してくれるってことか。

やべぇ、神様からもらった「言葉が分かる」能力、チートだったわ。

……これだけで十分食っていけるんじゃないか? いや、ダンジョンマスターなんだから下手に目立ったらダメなんだった、却下却下。このチートは自分の為だけに使おう。

「あ、それで包丁の方はどうだ? 持ちやすさとか調整できるぞ」

「……何もしとらんのに柄のデコボコがいい感じに手に馴染むわ。なんなんコレ、名人技? すごいわぁ」

適当に記憶中の包丁を再現したけど、人間工学がどうたら、とかいう売り文句のあった柄はとても持ちやすかったようだ。(こっちの世界の包丁や剣は、基本丸い柄に革を巻いて調整するらしい)

「あ、それと魔力流してこの枝を切ってみてくれ」

「え? 魔力……まさかこれ、魔剣なんか?!」

イチカが驚愕の声を上げた。

え、違うよ? 魔剣(自称)だよ?

イチカが魔力を流し、ゴーレム包丁が起動する。

俺が構えた直径2センチほどの木の枝に、イチカはすっと包丁を近づけて、そのままゆったりとした動きで振りぬいた。

「うわっ、抵抗ほとんど感じなかったで今」

「よし、もう一回だ。今度は3本な」

1本の枝なら簡単に切れるが、3本の枝なら……魔力を通したゴーレム包丁の前にはトウフの如しであった。

「これは……完全に魔剣やなぁ」

「そうなのか?」

「魔力を流すと特別な効果がある武器のことを『魔剣』っちゅーんや。で、その中には『切れ味が増す』っていうのもあってな……前にみたことあるけど、それでもこんなに切れ味よくなったりはせんよ?」

なんという事でしょう、魔剣ゴーレムブレードは、紛う事なき魔剣だったようです。自称がとれたぜ、やったね。

「魔剣って、案外簡単に作れるもんだなぁ……」

「だぁあああああ! んなワケあるかいッ! 普通の魔剣はダンジョンで手に入れるもんや! 人造の魔剣ってのもあるけど、効果がだいぶ落ちる上に、腕利きの鍛冶師と魔導士が何日もかけて作り上げるもんなんや! 断じてちょっと手が空いた時間にパパッと作るような代物やないんよ!?」

うわぁ、なんかその、ごめんなさい。

「うう、もしCランクの時にこの包丁があったら、ウチBランクいけてたわぁ……コレ売って金に換えてもかなりの値が付くと思うで? 間違いなくウチより高いわ、金貨何枚かってとこやろ」

それはいいことを聞いた。タダ同然の代物が大金に化けるわけだ。

……ダンジョンのお宝として配置してもいいなぁ。

自分で売っても……あ、だめだ。さすがに一人で何本も持ち込んだら目立つな。

ちなみに普通の魔剣をDPカタログで探して見たところ、1万DPからだった。

効果は色々バラつきがありそうだけど、ゴーレムブレードと同じくらいなら2万DPくらいか。

……DPで交換できる魔剣の中ではそれほどグレードが高いわけでもない、これなら結構な数出しても問題になりにくそうじゃないかな?

はっ、ゴーレムブレードの他にゴーレムシールドなんてのもいいかもしれない。常に振動することで……えーっと、多分うまいこと力が逸らせるように……なるんだろうか……? よくわからない。だめそうだな。

なんにせよ、目玉商品を自前で用意できるってのはかなり美味しいな。

できればもっと他の機能とかも使えればいいんだけど……魔法使えるようにしたり。

今度ゴーレムに魔法を使わせることができるかどうか試してみるかな。うん、今度。そのうち。忘れないうちにやりたいな。

……かなりの値打ちって言ってたけど、実際幾らくらいになるんだろうか。まだゴーレムブレードには何かしらの欠点がありそうで怖いけど、気になるところでもあるな。