軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

護衛ガチャ

暗殺者対策にいいことを思いついた。

ダンジョン管理用に妖精のエレカを出したように、監視・護衛用のモンスターを用意すればいいのだ。

例えばゴースト。陰に隠れて守ってくれる。いざと言う時に壁になれるかは微妙だが。

例えばスパイダー。毒グモなんかにすれば、戦闘だってできなくもない。

影に潜れるシャドウなんてのもいる。

そう、ダンジョンマスターはモンスターという多種多彩な手駒を用意し放題の素晴らしい立場なのだから、これを活用しないという手はない。

というわけで、マスタールームで護衛の候補を考えることにした。

「でも村の中だと、冒険者に察知されるだろうから……テイムした、って言い張れるレベルまでにするのよケーマ」

「あー、そうだな。じゃあシャドウウルフあたりにしてみるか?」

「ゴブリンの方が良いんじゃない。あれ一応精霊の一種だから、魔力があれば食事要らない分食費かからないし」

……そういやゴブ助はパン食ってたけど、別に要らなかったのかアレ。

「んじゃあロクコはシャドウゴブリンにでもするか?」

「なんでもかんでもシャドウってつけたらいいってもんじゃないと思うけど……ああ、でもゴブリンの戦闘力はタカが知れてるし護衛には向いてないわね」

おや意外。ロクコなら嬉々としてゴブリンを選択するかと思ったのに。

というか今ゴブリンを勧めた本人のくせにゴブリンを否定しおったぞ。

「……なにかこう、いかにも精霊って感じの精霊なら『精霊使い』って言い張れるんじゃない?」

「精霊ねぇ」

DPカタログを適当に流して見る。

……あ、ドラゴン。そう言えば俺、ドラゴンテイマーとか言われてるんだからドラゴンを護衛にしても良いのかもしれない。……いや、大分稼げるようになってきたけどドラゴンは高いし目立ちすぎるしやっぱり却下だな。

「『火焔窟』も近いんだし、火の精霊とかどう?」

「イッテツに頼んで出してもらった方が安上がりっぽいな。……いや、ここは信頼性を考えると自分で出すべきか」

イッテツに頼んで出してもらったとしてもモンスターが裏切るとも思えないけど、もし俺だったらどうでも良さそうな情報の横流しくらいさせるところだからな。

「ケーマは地属性魔法が得意なんだしノームとかもいいんじゃない?」

「四大精霊がノーム、ウンディーネ、シルフ、サラマンダーだっけか。……イッテツがサラマンダーで……ノームもあんな感じなんだろうか……?」

と、カタログを見るとノームは帽子を被った小人だった。……護衛としては頼りないかな? あと案外高いぞこれ。さすが四大精霊。

「もっと低級な精霊じゃないとテイムしたって言い訳が通らないんじゃないか?」

「それもそうね。えーっと……ドライアドやニンフ、ジニー、コロボックル、バンシーに……あ、スプリガンなんてよくないかしら」

「どうにもよく分からないな。……なんかこう、精霊を使うならDPの召喚とは別の方法で精霊従えたほうがいい気がしてきた」

ふよふよと飛ぶ光の玉みたいなのもある。エレカが『分化』した時の姿にそっくりだ。

よく考えたら妖精も精霊区分になるのか……

うーん、数が多すぎて訳が分からなくなってきた。

「……ロクコ、ガチャ引いてみるか?」

「え、いいの?」

もうここまでいったらロクコの運に任せた方が良い気がしてきた。ロクコのことだし、またいい感じのなにかを引いてくれるに違いない。ダメならダメで改めてカタログを見て悩めばいいわけで。

「ロクコは護衛になりそうなモンスターも出した実績があるしな。不死鳥とかミミックのパンダとか」

「フェニにパックね。……ダイアも盾になるわよ?」

ああ、ダイヤモンドのジュエルタートルだっけ。確かにあれもアリだな。

ちなみにダイアは魔法使い系なんだとか。……宝石って魔法と親和性高いもんな。

「……とりあえず、10万DPでやってみてくれ。なんでもいいから俺の護衛になりそうなヤツを頼む」

「OK! まかせて、いくわよ10万DPガチャ起動!」

そうしてロクコがガチャる。魔法陣がぶわっと広がった。

キュン、キュンっと大きさが圧縮されていく魔法陣。最終的に、30cmのサイズにまで小さくなった。

そして、ぽてっと、手のひらに乗りそうなサイズの青色のトカゲが床に落ちた。

「……トカゲ?」

「もしかしてドラゴンなんじゃないかしら!?」

「マジか? ……いや、でもロクコならあり得る……」

「青い鱗のドラゴン……ブルードラゴンかしら? それともハイドロドラゴン? ああ、このサイズじゃよく分からないわね。……あ、でも羽ないわ」

青トカゲはひょこっと顔をこちらに向けて、しゃかしゃかと歩いて俺の足元までやってきた。そして足を曲げ、ぺたんと腹を地面につけ、黄色い目を閉じた。

「お、おう、よろしく?」

手を差し出すと、青い舌でちろりと指先をひと舐めし、しゅるりと俺の手に乗った。

なんと人懐っこいトカゲなんだ。

……舌まで青いんだけど、これ毒とかないよね? 大丈夫そうだけど……

「ケーマ、話ができるの?」

「いや、特に言葉は……まぁなんとなく何言いたいか分かる程度だ」

「ふぅん……とりあえず名前はゴンタね」

ロクコが名づけると、ゴンタは嬉しそうに俺の手の上をくるりと回って歩いた。

「なんでゴンタ?」

「いつかドラゴンにつけようと思って考えていた名前候補のひとつよ!」

「……なんでゴンタ?」

ドラゴンのゴンから取ったんだろうか……雄でいいのかな、こいつ。トカゲの雌雄なんて区別付かないんだけども。

「で、ゴンタは護衛として使えるのかどうかだ……どうなの?」

俺がそう聞くと、ゴンタは黄色い目をぱちくりさせる。

「ゴンタ、魔法とかは使えるか?」

チロリと青い舌を出す。

「……うん、分からん。ダンジョンモンスターとしては指示を受けてくれるんだろうけど」

「とりあえず攻撃させてみたらわかるでしょ。カカシ置いとくわね」

と、ロクコがカカシを立たせて置く。お試し部屋とかにも置いてある攻撃練習用のやつだ。

「いけっゴンタ! 攻撃だ!」

俺がカカシを指さして言う。ゴンタはきょろりとそのカカシを見る――次の瞬間、カカシが氷漬けになった。

一瞬だ。目をぱちくりと一回閉じるのと同じ速度でカカシは氷に閉じ込められたのだ。

……

えっ、なにこれ……?

「やるわね……ふふ、さすが私のゴンタ」

「いやまて、ロクコのペット枠に数えてもいいけどコレ今までのペットの中で最強なんじゃないか?」

ゴンタは目をぱちくりさせていた。

……えぇ……結局何だろうコイツ。でもまぁ、護衛としては使えそうなので良いんだけど……

あとでイッテツやレドラに聞いてみようかな。爬虫類繋がりで何かわかるかもしれん。