軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

魔国到着

「というか、帝国の中で魔国に一番近い都市が帝都って、わりと攻め入られてるのでは?」

「逆かしら。なんやかんや魔国とは500年国境線が動いてないだけで、反対方向に国が伸びて行った感じね」

元々コーキーとかドンサマ、そしてツィーアとかは別の国の領土や未開の地だった。

それらを攻め滅ぼしたり取り込んだり開拓したりして今の帝国の領土になっているんだとか。

さりげなく「攻め滅ぼしたり」が入ってるあたりが帝国の帝国たる 所以(ゆえん) か。

そんな雑談もしつつ、昼は基本的に馬車で移動しながら昼寝し、夜はテントで寝るという生活サイクルを一週間ほど続けたあたりで魔国の町にたどり着いた。

あ、野盗の襲撃もあったりしたけど俺達は元気だよ。ハクさんが用意した使節団の面々、みんな武闘派だった。最低限の腕っぷしが無いと魔国には行かせられないそうな。

というか、魔国の野盗は凄いな。露骨に国家レベルの馬車集団に喧嘩吹っ掛けてくるとか……根性あるのか知性が無いのかは分からんけど。

……ああ、戦闘ではウチのニクが一番活躍してた気がする。気が付けば『首刈りわんこ』とか呼ばれてたし。名前の由来は推して知るべし。

「はあ、ようやくテントじゃない所で寝れるな……」

「ケーマ、お疲れね。ケーマも馬車の中で寝ればよかったのに」

「ハクさんとロクコが居るスペースに割り込んでいく度胸はないなぁ」

さすがに敵国となってる国相手の道では宿場町もない(作ろうとしたヤツは皆戦争に巻き込まれて死んだそうな)ようで、かといって快適な寝床を兼ねた馬車は夜中ハクさん達の寝所になる。

男の俺は自然と追い出されるように外で寝るしかなかったのだ。

「はぁ、あのいけ好かない 爺(じじい) にロクコちゃんを預けなきゃならないなんて、憂鬱です」

「アイディ預ける時に6番様も同じように思ったかもですよ?」

「ロクコちゃんは優しいわね……アレは他のコアを駒のように、それこそ孫のように可愛がってても道具として考えてるからそんなことないわよ」

そんなこと言いつつ、到着した町。魔都。魔国の首都である。

……え、こっちも国境に一番近い所が首都なの? 魔国も帝国と同じような感じなんだろうか。

あるいは戦闘狂的に戦場が近いことこそ一等地とかいう可能性もあるか。

町並みについても建材が似てるためか、帝都とそう違いがあるようには見えない。ただし、そこに居る人種が帝都とはどうにも違うように見えた。

具体的にはモンスター味が強いように見える。鎧を着てるリザードマンとか、手紙を運ぶハーピーとか、獣人も全身モフモフタイプが多い感じで。帝国とは違って肌色の多い種族が少ない感じ?

あとやたら好戦的な視線を浴びるのだ、馬車の窓からチラ見しただけでも。特にこの馬車に注がれてるだけなのかもしれないけど。

「……これが魔国かぁ」

「ええ。これが魔国です」

ハクさんは俺の呟きに少し疲れた声で答えた。

俺は返す言葉もなく、苦笑するしかなかった。

馬車を走らせていると、大きな屋敷があった。どうやらそこが目的地らしい。

門をくぐり、コの字になっている屋敷の庭に使節団の馬車を停める。あ、この人たちはお出迎えの人たちですか。取り囲まれてるけど襲撃じゃないですよね? ね?

そしてお出迎えの中には、意外でもなんでもなく、アイディ、そして大魔王こと6番コアが待ち構えていた。

いや、まぁ、こっちも国のトップが出てるわけだから、それを出迎えるためにトップが出てきてもなんもおかしくはないんだけどさ。魔国きて即大魔王というのがなんかちょっとツボに入らなくもない。

「良く来たわねロクコ。待ってたわ」

「アイディ! ええ、来たわよ」

微笑ましくハグをかわすロクコとアイディ。

まぁひとつ言わせてもらうと、国の代表同士の挨拶を無視して友達同士の挨拶してるってところかな。使節団の人たちの目線が刺さる。

「ふん。留学を認める」

「チッ。無事帰しなさいよ」

そしてロクコたちの挨拶を問題視することもなく、むしろ舌打ちを隠さず嫌々握手を交わす国家のトップ二人。少しは隠せと。大人げない。

「さて。よく来たなラヴェリオ帝国の者達よ。せいぜい魔国で学んで行くがいい」

6番コアが上から目線でそう言った。実際大魔王様なのでハクさん並みに上の立場だ。

大魔王の宣言を受けて使節団の面々は頭を下げ、それぞれ案内が付いてどこかへ行く。俺達はどうすればいいんだろうか?

「ああハク様。約束通り通信機能要りますか? 爺様にもお渡ししたので」

「貰うわ。ロクコちゃん、何かあったら絶対すぐ連絡頂戴ね、すぐに駆け付けるわ」

と、アイディがハクさんに通信機能を渡す。……毎日メール送ってきそうな気がするが、きっと気のせいではない。そしてハクさんのことだからガチで駆けつけてくるんだろうな、【転移】とかで。

「で、俺達はどうすればいいんだ?」

「ん? そうね。ロクコ達は私に付いて来なさい、屋敷に部屋を用意したわ」

「分かったわ。それじゃ姉さま、行ってきます!」

「ちゃんと毎日連絡してねロクコちゃん、約束よ?」

さりげなく定時報告を要求してくるハクさん。これ、返事が無かったからという理由でも駆け付けてきそうだな。ロクコにはちゃんと毎日メールしてもらおう。そうしよう。

……しかし、その。俺達が移動するとこの場に残るのはハクさんと大魔王の2人だけになってしまうのだが、この2人を放置していっていいんだろうか? こう、安全的な意味でも、身分的な意味でも。

「気にしなくて良いわロクコのマスター。あの2人は仲良しだもの。ほら、此処は闘技場も兼ねているのよ?」

「……」

見ると、ハクさんは白い槍を、大魔王は黒い剣を抜いていた。うん、まぁ、きっと俺達にはどうしようもないなんやかんやがあるのだろう。肉体言語のトップ会談とか。

さて、それじゃ俺達はアイディについて行こう。いやーいよいよ留学楽しみだー。