軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

帝都へ。

とりあえず早いとこ100GP溜めるか他の方法でハクさんに認めてもらうかしないとな……さて、ミーシャに 賄賂(ハンバーガー) を100個ほど差し入れたし、いくぜ、留学!

「それにしても、ニクやイチカをダンジョンの機能使って移動できるのは便利よね」

「そうだな。奴隷はアイテムだからな」

「そうね!」

という事にしてる。ハクさんもニクやイチカの移動については特に言ってなかったので普通にできるんだろうけど。

アイディ達の移動を頼まなかったあたり、ダンジョンコアは他のコアの『設置』では移動できないんだろうな。ミカンのように配下になれば別かもしれんが。

ちなみに対外的にはハクさんの【転移】によるお迎え(アイディのお迎えとは別途)で、ということになっている。

「んじゃ、いってくるでー」

「こちらは任せました、レイ」

「はい、イチカ教官、ニク先輩! こちらはお任せください! マスター、ロクコ様もどうぞごゆっくり!」

マスタールームにて、びしっと敬礼するレイ以下妖精たち。

レイは早速妖精たちをこき使っ……仕事を割り振っているようだ。

「それじゃあロクコ。頼む」

「はーい」

ロクコがぽちっと操作すると、一瞬で砂浜に移動した。

イソギンチャクのような、にゅるんとした触手を持つピンク色のスライム……テンタクルスライムのテンさんが出迎えてくれた。

にゅるにゅると触手を動かして歓迎している。いや、すぐ帝都行くんだけどね。

テンさんが俺を触手で胴上げのように持ち上げる。

「っておいおいやーめーろーよー。ロクコ達が見てるだろー?」

「(にゅるにゅる♪)」

まるで懐いてる犬のようなテンさんをよしよしと撫でてやる。名残惜しそうに俺を離すテンさん。

俺は『浄化』でテンさんの粘液を落としつつロクコ達の元に戻る。

ん? どうしたロクコ。そんな顔を赤くして。

「ケーマ、まさかテンさんと仲良いの……?」

「え? ああ。まぁテンさんとはたまに遊んでるからなぁ」

たまに砂浜で波の音を聞きつつ昼寝したいときとかはこっちにきて寝ていたのだ。

その時にこう、テンさんとはにゅるにゅる戯れたりウォーターベッドみたいなテンさんの胴体で寝たり、ボールを投げて遊んだりとかしてたからな。

……そう言うと、ニクが羨ましいと言わんばかりにこちらを見て尻尾を揺らしていた。うん、今度ニクとも遊んでやるから。うん。

「まぁ今日はすぐ帝都に行かなきゃならないから、また今度な」

俺がそう言うとテンさんはすこししょんぼりと触手を動かした。

「 愛(う) い奴め。ははは」

「ご主人様はよぅテンさんの言うこと分かるなぁ」

「そうか? 分かりやすいだろ。ニクの尻尾みたいなのが何本もあるんだし」

「……ウチにはにょろにょろ動いてるようにしか見えんのやけど」

そんなこんなでテンさんに挨拶した後、俺達は隣の『白の秘め事』に顔を出す。

砂浜の上に建てられた小屋型ダンジョンという名の、ただのハクさんの別荘だ。

「お待ちしておりました」

管理人であるシルキーが頭を下げる。こちらで馬車を借りて、帝都へ向かうのだ。

さすがに4人分の【転移】は魔力消費がヤバすぎるからな……ハクさんのお迎えがあってもおかしくなかったが、留学にあたっての諸々が忙しくて手が離せないんだとか。

「とりあえず俺達がここに着いたことは、ハクさんにはもう伝わってるかな」

「はい。仕事が忙しく顔を出せないとのことですが。すぐに発ちますか?」

「そうだな。早くハクさんとこに向かおう」

というわけで、俺達は貴族用の箱馬車に乗って帝都へ向かった。

……いや、これ皇族用かな? 凄い乗り心地いいし。横になって寝たいくらいだ。

御者はシルキーが務めている……帝都に着いたらダンジョン機能でハクさんが送り返せるだろうからな。うん。

「ケーマ、膝枕してあげよっか?」

と、俺とロクコ、ニクとイチカで向き合って4人で座りつつ窓の外を眺めていると、ロクコが不意にそんなことを言い出した。ほう。

「いいのか? じゃあ――あ、いや、これハクさんの馬車だからやめとく」

「気にしなくていいのに……ハグの延長みたいなものでしょ。むしろハグより軽いわ」

「膝枕はハグより上だと思うんだが……イチカ、どう思う?」

「そこでウチに話を振るかぁ。ヘタレやなって思うよ」

そうじゃない。そこじゃないしへたれかどうかとか今は聞いてない。

「ニク先輩はどう思う?」

「ならわたしが抱き枕になれば解決かと」

さすがに椅子で横になるのに抱き枕は狭いなぁ。

「じゃあ間を取って、イチカが膝枕しなさい。私は向かいに座ってケーマの寝顔を眺めてるから。ほらニクこっちきて」

「ええでー。ほらご主人様おいでー?」

「わかりました」

「ごめんちょっとまって。まずどう間を取ったらそうなるのかが分からないし顔を見られながらとか寝られないっていうかこれ決定なの? マジで?」

と言われつつも馬車の中で席を移動し、俺はイチカのふとももに頭を載せることになった。……あ、これいい。思っていた以上に快適だぞイチカの膝枕。

「……なんか気持ちよさそうね」

「いやうん、その、なんというか……いい」

適度な弾力にほどよい体温の温かさ。それになんかいい匂いもする。すこしカレーっぽい感じがしなくもないのはご愛敬。

「ニク、こっちも膝枕よ!」

「わかりました」

と、イチカと向かい合うようにニクが座り、そのふとももに頭を載せるロクコ。

横を向いて寝てる者同士、ばっちり目が合い……ロクコはふにゃっと笑った。

「あー……いいわね、これ。なんかいい匂いするし。ニク、いつも抱き枕にされてるからケーマの匂いが染みついてるのかしら」

「えっ、俺のニオイそんなに? ちゃんと毎日温泉入ったり『浄化』したりしてるんだけど」

「オフトンに染みついてるんだし、抱き枕に染みついててもおかしくないでしょ」

「……そういうもんか。なんかこう、ごめんなニク?」

「ご主人様にマーキングされてむしろ誇らしいですが?」

あ、これ本気でそう思ってるな。尻尾がお尻とイスの間で悶えるように震えてる。

「なぁなぁご主人様。ひとつええかな」

「ん? どうしたイチカ」

顔は見えないがイチカが俺の頭を撫でつつ言う。

「これって添い寝ってことになるんかな? 奴隷は人数に数えないとするなら、ふたりきりで、しかも膝枕で向かい合ってピロートーク的な感じで」

その発想は無かったよ!?

「いや、ちゃんと椅子の分離れてるし!」

「おっとぉ、起きたらあかんでぇ? 馬車は揺れるから急に動いたら危ないやろー?」

あ、頭を抑えられてて起き上がれない……だと……? あ、正面のロクコがにまりと嬉しそうだ。

「うふふ、ケーマと添い寝……♪ イチカぁ、そのまま押さえてなさい」

「かしこまりやでー」

「おいイチカ、お前一応俺の奴隷ってことになってなかったっけか?」

「なら命令したらええやん、ご主人様。……でも本当はご主人様も嫌やないから、そうせんのやろ? ……ウチらが強引にやった、って方が言い訳できるもんなぁ。だからヘタレなんよ……?」

最初以外は俺にだけ聞こえるような、くすぐったいささやき声で言うイチカ。

くっ、反論ができない!

「ま、今はそれでええけどなっ」

「イチカ? 何か言ってた?」

「ん? 特になーんも言っとらんよロクコ様。ただご主人様は恥ずかしがり屋さんやなぁってだけで」

「そ。ふふふ、ケーマと添い寝ー」

「だから添い寝じゃないって……」

……あ、帝都に着く前にはちゃんと起きたよ。