軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

確認と罠

さて、レオナが去ったわけだが、まだ寝るわけにはいかない。

俺は最後の確認をしなければいけないからだ。

というわけで、『白の砂浜』までやってきた。レオナが歩いた足跡はさすがにほぼ消えているが、たしかあちらの方角へ歩いて行ったかな?

俺は森の方へ入っていく。

「ええっと、確かこっちだったな……お、折れた枝発見。こっちみたいだ」

俺はどんどん森の奥へ入る。

……うん? 俺は何をやっているんだ? なんでここまで来たんだっけ。

いや、そうだ。確認をしなきゃいけないんだった。最後の確認だ。そうだ。

俺は、洞窟の前にたどり着いた。ところどころ焦げ跡があり、まだプスプスいっている土もある。おそらく凶悪な魔法により強引に開けられた、即席の洞窟だろう。

そして、その中が目的の場所だ。そうだ、俺は詳しいから分かる。これを確認しにきたんだ。

洞窟の中を覗くと、そこには――レオナが布団を敷いて、座ったまま待っていた。

くそ、早すぎたか! いや、これでいい。……!? 頭の中で GO(実行) と STOP(停止) の意見が同時に発生した。

な、なんだ、なんなんだ。頭が混乱する。

「 待ってた(・・・・) わよ」

「ッ……」

レオナに話しかけられ、俺は頭を押さえる。今日は【超変身】を使っている、大丈夫だ。命のストックは、ある。落ち着け。

「聞きたいこと、あるわよね?」

「……ああ。ある」

「いいわ、 数百年ぶり(・・・・・) に楽しませてくれたお礼に教えてあげるわ。――セツナ達やトイのこと、スキル上げの方法、神の殺し方や欺き方、権能を奪う方法でもなんでも。さあ、なにを最初に聞きたい?」

「レオナは、いつの時代から来た?」

「あら」

いきなり女性の年齢を訪ねるような質問が来るとは思ってなかったわ、とレオナはくすりと笑う。

なに、年齢聞いても17歳なんだから問題ないだろうに。

「そうね……今日の催し物が懐かしく思う程度の時代、と言っておきましょうか。桂馬さんもでしょう?」

「……そうか、気に入って貰えてなによりだよ」

「楽しすぎて、しばらくあそこには居たくなくなるくらい楽しかったわ……」

寂しそうに笑うレオナ。一体何を考えているのか、それは500年を生きていない俺には分からない。

「そんなわけで、これは是非お礼しないとって呼んだのよ、コレで」

と、レオナは布団を撫でた。……神の掛布団。なるほど、そういうことか。

俺は神の布団の神々しさに惹かれてここまで誘き出されたらしい。誘蛾灯にたかる蛾のように。

「じゃ、次はトイについて教えてあげるわ。あの子、ニク・クロイヌだっけ?」

「……知ってたのか? いや、やっぱりニクがそうだったのか」

「わかるわよー。作ったの私だもの……創る、の方が正しいかしら? あの子、セツナと違って 天然モノ(・・・・) じゃないからね」

……ニク、いや、トイは創られた存在……?

「セツナたちとは違うのか? 妹、って言ってたと思ったけど」

「セツナは私の調整が一切入ってない天然モノなのよ。なのにあんなに面白い存在でしょう? たまたま選んだ種が奇跡を起こしたわね。だからナユタとトイ 達(・) も産ませてみたの」

ちょっとまて。今さらりと外道なこと言ったぞ。

それからさらにレオナはこちらの話を聞かず話す。

「セツナの才能値はいわゆる6Vにとても近い、5Vって感じね! あ、分からないかしら? まぁとにかく奇跡的な才能の持ち主ってことよ。ただ頭が少し抜けてるところがあるからナユタは頭がよくなるように調整して、トイは才能値をできる限り上げたらどうなるのか気になって弄りまくったの! 促成栽培したから数が多くて、まとめてトイって呼んでたわ……あ、名前の由来は玩具のトイから来てるの。ま、あまり無理のないように殆ど成分チェックしかしてないナユタはともかくトイの方は失敗も多くてね。やっぱり異なる生物を錬成するのは問題が多くて。最後の方は見た目を変えずに成分だけをいい具合にまぜこぜできるようになったけど。幾多の犠牲の元、ついに5体のトイが完成してトイレンジャー、あ、嘘嘘。さすがにトイレンジャーは無かったわね。トイレでジャーって水を流すみたいになっちゃうわね。まぁ失敗作いっぱいできたのは本当だけど予定の才能値をすべて超えた成功品は3体だけよ。あ、でも安心して! 可愛い孫たちだもの、失敗作も無駄にはしなかったわ。スタッフが美味しくいただきましたというか、素材にしたり餌にしたり家具にしたり……あ、トイレにもしたからトイはそこともかかってるわね! うふふ、私うまい事言った。……ん? でもおかしいわね? ちゃんと鍵のかかるケージに入れてて失敗作もリサイクルしてたはずなんだけど。ちゃんと3体の居場所は把握してるのよ? あれ? ということは4体目ね。しっかり見てなかったけど破棄した中の1体かしら? まぁ些細な問題よね。実験段階で劣悪な環境に置いておけば反動で伸びるかもってスラムに捨てたのを忘れてたとか、そんなとこでしょ。あとはもしかしたらハクちゃんが私の研究成果を盗んでいった可能性もあるわね。あの子なら手駒に勇者も居るし。あとは神の介入という線もあるけど、ま、大した問題じゃないわね。覚えてないってことはどうでも良い事だわ、きっと。あ、話が逸れちゃったわね。まぁようするに――」

レオナは一息吸ってから続けた。

「――トイは私が創ったのよ! 凄いでしょう!」

「それはもう聞いた」

「あら?」

うん、途中は全然頭に入ってこなかったが、とりあえず大概ひどいことをしてたということは分かった。まともに聞いたら精神削れそうだから聞き流したけど。

「ふむ、じゃあ別の話にしましょう。勇者スキルのスキル上げの話なんてどうかしら?」

「……一応聞いておこうか?」

「ダミーコアを破壊すれば+1、ダンジョンコアを破壊すれば新スキルを覚える可能性がある+1ってところね。Lvがカンストしてて覚えられなかったらストックされるわ。――っていうのは、多分桂馬さんもご存じよね?」

いや知らんかったわ。ダンジョンコア壊せばLvが上がるくらいは気付いてたけど。

「だったら、闇神陣営に属していてダンジョンマスターでもある私達ならレベル上げ放題ということは分かるかしら」

……えっ?

「ちょ、ちょっとまって。それ、アリなの?」

「? 何が悪いの?」

だって、ダミーコアといえば5000DPで交換できる代物だ。昔は高いと思っていたが、今なら5000DPくらいあっという間に回収できる。つまり――

「上げ放題じゃないか!」

「上げ放題よ?」

まさに食べ放題のフライドポテトのように、おかわり自由の上げ放題だ。

帰ったら早速【超変身】をスキル上げしよう。

「……あ、でもあんまり勇者スキルを一度にLv上げするのはお勧めしないわ。光神に魂を食われるから」

「は? ちょっとまってくれ。急にどういう話だ」

んふふ、とレオナは微笑んだ。

「勇者スキルのような規格外のスキルがそう簡単に身に付くと思って? 魂の適応と成長が間に合わないわ。よほどの器の持ち主でなきゃ1年に1、2レベル上げるので精いっぱいよ」

そういうもんなのか? というか、魂の適応と成長? スキルってなんなんだ一体。

「で、限界を越えて上げ過ぎると魂を侵食するわけ。それで勇者スキルは光神の領分だから……と、ここまで話せばわかるかしら? そう、がんばってハイペースにレベル上げすれば晴れてあなたも 神の尖兵(・・・・) になれるってワケよ」

……今年1年はレベル上げやめとこう! 多分俺、限度額使い果たしてる。上限ギリギリかアウトだろうな、いきなりLv3とかになってたもん。

「ま、普通は1年に何個もダンジョン攻略できないからダブルスタンダードな私達ならではの不具合よね。仮に他の勇者が頑張ったとしても1年のうちに何個もダンジョン狩るようなのはそもそも立派な神の尖兵だから影響がほぼないし」

「レオナはその、浸食されてるのか?」

「私? いいえ? 私の魂は1人分じゃないから桂馬さんとは比べ物にならないくらいの余裕があるの。これはハクちゃんとの実験で見つけた法則だからね、まぁ、黙ってたからハクちゃんは気付いてないだろうけど」

色々ひどいな。実験も、レオナも、勇者スキルも。

「ああそだ。セツナの事もよろしく頼むわよ? 桂馬さんのハーレムに入れていいわ。でも子供はたくさん作ってね、1人貰うから」

「え? いや、俺は別に従業員に手を出したりする気はないが? あとハーレムも何も、俺は誰にも手を出したりしてない」

「え?」

レオナは赤い目を見開いて驚いた。

「……うわ、本当なの? 信じられないわね、あれだけ可愛いどころが集まってて……え、何? ホモなの? あ、セツナはちんこはえてるわよ? 女の子だけど」

「俺はノーマルだ!」

「なるほど、ヘタレのDTなのね」

「だ、だだだ誰がDTだって証拠だよ!」

「……度胸付けてあげましょうか? 大丈夫、やさしくしてあげるわよ?」

ぽふぽふと神の掛布団を叩きつつ、レオナは服を少しはだけた。鎖骨が露わになり、胸の谷間も良く見える。……が、甘いな。そのポーズでは足が見えない。つまり俺にはあまり効果が無い。

「お断りします」

「あら断られちゃった? おかしいわね、掛布団の効果が効いてないのかしら……いや、ここまで来たなら効いてはいるのよね。何か耐性が……?」

これ以上ここに居るのはヤバそうだな。

「正直その布団には心惹かれまくりだが、俺は帰る!」

「あらそれは困るわね」

気が付けばしゅるりと手に包帯が巻き付いていた。……反対側はレオナの手の中だ。ナンダコレ。外れないんだけど。

「なぁに、天井のシミを数えてるうちに終わるわよー、なんちゃって?」

「な、何をする気だぁやめろォ!?」

そして俺の意識は途切れた。