軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

受け入れ準備

とりあえず手に余る案件の気配がするから、ハクさんにも報告くらいはしておこう。

お隣さん(イッテツ) に頼んでも対応しきれない相手じゃないかと思うんだ。

俺はロクコに「レオナっていうなんかヤバそうなの来た」という旨の手紙を書いてもらう。

そして手紙をもってこの間ダンジョンバトルで作った『白の浜辺』に転移した。

……このダンジョンの隣には連絡用の『白の迷宮』派生ダンジョンがひとつ、『白の秘め事』(命名ハクさん)という、いわゆるハクさん直通のホットラインのためだけのダンジョンがある。

ダンジョンバトルの後、ハクさんがポンッと小屋を建てた、それだけのダンジョンだ。ぶっちゃけ、ダンジョン機能のあるハクさんの別荘だ。

ここには管理人としてシルキーが1人住んでいる。

小屋の維持というより、ロクコとの連絡のためだけに待機している管理人。贅沢な使い方だが、それができるのがハクさんという存在だ。

こうしてハクさんと迅速かつ簡単に連絡とれる手段ができたのはありがたくもあり、恐ろしくもありってところだな。

緑色のメイド服を着た無口な彼女に手紙を託し、俺は帰還した。

ちなみにこちらの手紙受付係はダンジョンボスのテンタクルスライム、テンさんだ。にゅるり。

ポストに手紙を投函すると、テンさんのところまで手紙が来るようになっている。手紙が来たらテンさんからこっちに連絡がくるって寸法だな。

報告は済んだし、返事もすぐ来るだろう。ハクさんの事だ、遅くとも明日には。

とりあえず、サキュバス達が滞在する寮的なものを作っておこう。……場所は、倉庫エリアの次に作って作りっぱなしの休憩所こと、草原エリアでいいかな。

一部安全地帯にしてたっけかな? サキュバスいるわけだし安全地帯は無しにしとくか。

……というわけで、久しぶりのナリキン仮面である!

「あのさケーマ? それ、いるの? ここダンジョンの奥だしまだだれも人来ないじゃないの」

「こういうのは気分の問題だから。あとナリキンだから」

「気分なら仕方ないわね……で、今回も一瞬でぱぱっと建てちゃうの?」

……いや、あれは事前に準備してそれ出してるだけだからな?

「さすがに今回はウッドゴーレムからモジュールを作らないとならん。というわけで、まずは大量の木材を用意してくれ」

「はいはい、ストックから出すわね」

ロクコはマスタールームの端の方にどっさり積まれている丸太やら枝やらをどさどさと草原エリアに落とす。折れたり割れたりするのだが、どうせ【クリエイトゴーレム】でくっつけるから問題ない。

「んじゃ、いくぞー……【クリエイトゴーレム】っと」

木の山に魔力を流し、浸透させ、掌握する。そして形をこねくり回すように変えて――

まずは整理整頓された木材の出来上がりである。カット済みの板や柱、その他家を建てるのに使う木材だ。

皮は皮で別途取っておいてある。

「もうケーマってこの芸だけで食べていけるんじゃない?」

「芸いうなし。そもそも食うだけなら宿もあるし一切困らないだろ。あと仮面付けてるから今はナリキンな?」

木を木材に加工するだけでも十分儲けにはなるだろうけど、さすがにめんどいし働きたくない。

「じゃ、次は普通のゴーレム出して組み合わせさせて、接着で【クリエイトゴーレム】だな」

「釘いらずよねー」

「一応偽装で使うけどな」

重機のように大きく作ったストーンゴーレムに手伝わせつつ、接着していく。

あっさりと部屋単位のモジュールが12個完成した。1個多いのは偶数の方がスッキリ収まるからである。

で、今回はそれぞれ個別の1部屋で1個のコンテナハウス形式にし、トイレ風呂は共同にする予定だから、ほぼ完成でもある。

家具についてはとりあえずお布団と物入れになる空箱を1つずつ入れておいた。完璧だな。

「というわけで玄関とそれっぽく屋根をくっつければ完成だ。……おっと、トイレと風呂も作らなきゃだが」

並んで6個のコンテナが向かい合っての計12個。

ちょっとした村な感じだ。これが店だったら商店街とでも言った所だけど。

近くに水源を設置し、トイレもどうせダンジョン機能でどうにかできるから適当に作って……あ、そもそもサキュバスってトイレ必要なのか? まぁいいか。風呂も作っとこ。

宿の方で使ってる温泉用水道管がここの近くを通っている。それをちょっと伸ばして、こっちにも入浴場を作る。完全に露天風味だ。

「今度こそ完成だ」

「タイムは1時間40分ね!」

ちらちら時計見てると思ったらタイム計ってたのか。

「……起きてるケーマってほんっと有能だわ」

「よせやい、褒めてもこれ以上仕事しないぞ」

「なんだかんだで2時間かからないのねぇ。普通家を建てるとなったら大工が数人で数日かかるらしいわよ?」

「そこはほら、早く作らないと睡眠時間確保できないからな」

しかし【クリエイトゴーレム】は何でもできて有能だな。

これでサキュバス達を呼ぶ環境が整った。

「……というわけで、できるだけ監視できる環境を用意したわけだが、代わりに相手をダンジョン内に引き込むことになる。あいつら呼んだらコアは宿の方に置いとこうか」

「そうね。あのレオナってやつには特に気を付けた方が良いわよね?」

「ああ」

監視はロクコたちに頑張ってもらおう。俺は寝る。

……サキュバスたちを呼ぶのは明日で良いか。

そして翌日、ハクさんから返事の手紙が来た。

「なんて書いてあるの?」

「……その、なんというか」

ハクさんの手紙には『レオナは機会があれば絶対に殺すこと。逆に殺されることは……たぶん無いだろうけど、無理はしないように。それとロクコちゃんはレオナに姿を見られないで、 穢(けが) れるから』と書いてあった。

「何、レオナってハク姉様と知り合いなの? それも恨まれてる系の」

「……ってことだろうか。何者だよホント」

長生きしてる実力者。ハクさんに目を付けられるか、目を付けたかは分からないが……とりあえずハクさんから『殺されることは無い』というお墨付きのようなものを貰えたのはデカイ。たぶん、と若干あやふやな点はあるが。

ハクさんが慌ててないということは、とりあえず差し迫った命の危機ではないようだ。

とりあえず一安心。……寝れるッ!

……あと、ハクさんの手紙には『ダンジョン側の話はしないように』と書かれており、非常に気まずい。

やべぇ……やべぇよこれ。サキュバスごとダンジョンで雇用してみた、とか正直に言ったらハクさんによる命の危機が……

よし、黙ってよう。

「まぁダンジョンに入れる前に多少は状況が分かってくれて何よりだ。じゃ、ちょっくらウーマでサキュバス達を呼ぶか」

「ところで、サキュバスたちをどうやってダンジョンに入れるの? 入口通ったらさすがにバレるわよね?」

「……忘れてたわ」

ちょっとダンジョンに横穴開けなきゃならんな。

入れ終わったら閉じるか、それとも裏口としておいとくのもいいか。

サキュバス達を呼ぶのは、もう少しあとになった。