軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

質問タイム

それじゃ、セツナに直接目的を聞いてみようかね。

「まず最初に聞いておこう。目的は何だ? こちらとしては乱暴なことはしたくないが、敵とあらば容赦はしないぞ?」

最初とは言ったが、これがこちらの知りたいことの残りほぼ全てである。

『ボクも敵対はしたくないの。探し物があるからその情報が欲しい、ってとこかな。まぁ冒険者としてモンスター少し狩っちゃったのはゴメンね?』

可愛く手を合わせて謝るセツナ。軽く胸が揺れる。

……なぜか隣のロクコから軽く蹴られた。なぜだ。

冒険者がモンスターを狩るのは当然の事だし、冒険者として、というのであれば全く問題はない……あ、ゴブリンか。ゴブリンを狩ったからか? まったく、ロクコのゴブリンフェチにも困ったものだ。多少は我慢するか、狩られるまでがゴブリンとかいう美学的視点でも持って欲しい。

しかし、情報か。まだちょっと漠然とし過ぎてるかな? 内容によっては敵対もあり得るわけだし。

「……それは構わん、想定内だ。……で、情報が欲しいのか。いいだろう、答えられることなら、対価をよこせば答えてやる」

『対価? ……まさか体で払えとか?』

「ゴーレム相手に何言ってるんだ? それともダンジョンでボスでもやって働く気か?」

『いや、ダンジョンって死体食べるっていうじゃない? 腕とか切り落としてよこせ、ってなったらちょっと嫌かなぁって』

「ああ、それなら気にするな。金でもいいし、物でもいい。もしくは、情報でもな」

『普通だね』

「普通じゃない交渉の方が良いのか? じゃあ足でも」

『いやっ、普通がいいなっ、よかったなー普通でっ!』

セツナは慌てて交渉に同意した。そして俺はロクコにつねられた。

なんだよ、さすがに俺でも足だけとか猟奇的過ぎていらないってば。

『そういえば、ボクの連れは呼ばないの? それとも別の部屋で呼んでるとか?』

「その情報に答えるには……まぁいいか。自己紹介で色々教えてもらったからタダで。他の面々はあの小部屋でじっとしてるよ」

『……人質、ってわけじゃないよね?』

「さぁ? それは対価として銅貨1枚で答えてやろう。そっちから対価を提案してくれてもかまわない」

セツナは銅貨1枚を差し出した。

「別に人質じゃないさ。そもそもあの部屋は安全地帯、こちらからどうこうするもんじゃないね」

『よかったの』

「さて、それじゃあ こういう風にやる(チュート) という説明(リアル) も済んだし、話を進めていこうか」

セツナは頷く。さて、それじゃあ質問を受け付けようじゃないか。

『まず聞きたいんだけど、黒い狼について、何か知ってることがあれば教えて欲しいな』

「黒い狼? 漠然とし過ぎててどういう話か分からないな。もう少し絞り込めないか?」

『んじゃあ、このダンジョンに一時的に間借りしてたっていう黒い狼――っていえば、分かる?』

「分かるぞ。その情報なら、そうだな……」

対価としてはこちらもできるだけ情報を集めておきたいところだけど、これといって聞きたいことが思いつかない。

「……『410番コアがどこにいるか』という情報で俺が知っていることを少し教えよう」

『パパがどこにいるか、って? ……んー、まぁいいか。パヴェーラからワコークへ船が出てるんだけど、そこの途中で寄る島に居るの。確かバニア島って呼ばれてたかな』

バニア島ね。一応覚えとこ。

「それじゃあ俺の知ってることを話そう。あいつは名前を『リン』と名乗った。冬の間このダンジョンでぬくぬく過ごしていったよ。さっきの小部屋の手前の広間。あそこは元々謎解きエリアだったんだがね、それをぶっ壊された。直すのが面倒だから放置してるがね。……春にここを出て行ったよ」

『なるほど……ボクが追ってるのと同じ名前だね』

「もっと詳しい話を知りたいなら、どうしてリンを追ってるのか教えてもらおうか」

『んー。おばあちゃんのペットだから、ちょっと逃げ出したのを捕まえようと……?』

ダンジョンコアの場合はおばあちゃんっていないよな。いるとしたらおじいちゃんで、『父』だろうし。……あ、近所のおばあちゃん、っていう言いまわしもあり得るな。確認しとこう。

「そのおばあちゃん、っていうのは何者だ? セツナの祖母か」

『うん、ボクのおばあちゃん。ママのママなの』

「……ふむ、つまりダンジョンを壊された損害の請求はお前に出せばいいってことか?」

『おばあちゃんに直接お願いします……負の遺産は受け継がなくていいんだもん』

「じゃあそのおばあちゃんはどこにいるんだ。請求を出したい」

『それがわかってたら、ボクらの旅の目的のひとつもすぐ終わるんだけどね』

はぁ、とため息をつくセツナ。何者だそのおばあちゃん。気になってきたぞ。

『で、リンについて残りの情報って?』

「ああ。……弱点、ってほどでもないが、塩が苦手だったかな。マズイらしい。このダンジョンでとれるつるんとした白い皿が好物だ。ちなみに穴を開けても死ななかった。正体はスライム説が濃厚だそうだ。ペットだった、っていうなら、この情報はそっちの方が詳しかったかもな」

『お、おう……思ってたより濃い情報だったの。あくまで飼ってたのはおばあちゃんだからね……』

「そうか、気に入って貰えて何よりだ。ところでそのおばあちゃん、何者かは結局言ってなかったな」

『……んー、それは秘密かな。言うとしても、かなり大きい情報と引き換えじゃなきゃ』

おっと、そう来たか。交渉が分かってきたじゃないか。

「そうか。じゃあ次の質問を言え」

『んー。折角だし、聞いとこうかな。オコメについて、何か知ってる?』

「オコメか。そうだな、お前のおばあちゃんの情報を教えてくれたらいいものをやろう」

『あ、パスで。ボクにとってオコメはそこまで大切なもんじゃないし』

おや残念。種もみでもくれてやろうかと思ったのに。1粒だけ。

「他にはないか?」

『んっと、このダンジョンの前に住んでる黒髪で犬耳の女の子、分かる?』

ニクか。トイがどうの、って言ってたな。

「分かるぞ。そいつがどうした?」

『あの子はダンジョンの方で何か干渉したりしてるの?』

「その返答に対する対価は銅貨5枚でいいぞ」

セツナは銅貨5枚をさっと差し出して来たので受け取る。

「……うむ。答えられないな」

『ええっ、対価の銅貨5枚払ったのに!?』

「答えられない、という情報のための対価だ。安く設定してやったんだからわめくな。そもそも干渉とはどのレベルの話だ? 冒険者にモンスターをけしかけるのも干渉だって言えるだろ」

『……じゃあ、なにかこう、特別な力を授けているとか?』

「おっと、それを含めて答えられない、という事にしておこう。なにか事情があるならまた別かもしれんが?」

『むう。なんか情報引き出されてる気がする』

「そっちが欲しい情報を知らずに情報を伝えられるわけが無いだろう。そうだな、たとえばあの犬耳の女の子についてなら、よく側にいる男のことが大好きだ、とかいう情報とかでもいいのか? どうでもいいだろ」

『……ふむ』

なぜ食いつく。恋バナ好きなのか。

そして隣でもロクコが食いついていた。

「なん……だと? ニクが、ケーマの事大好きですって?」

「おいロクコ。そこ驚くのか」

「……ケーマは私の事が一番好きよね?」

「ああ、うん。お前が一番だよ。指輪もあるだろ?」

「ならよし!」

よくわからんが良いらしい。