軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三次ダンジョンバトル:開戦(敵視点)

#Side龍王チーム

『はっはっは、みんなやる気十分だね。じゃあ、始めるよ。……5秒前ー、4、3、2、1……3チーム戦ダンジョンバトル、スタート!』

『父』の開始宣言と共に、あらかじめ指定した部屋に、ぶぉんっ! とゲートが2つ開いた。650番コア(大蛇)、651番コア(大蛙)、652番コア(大ナメクジ)は、早速攻めに出ることにした。

「さぁーて、行きなさいバイトスネークたち!」

「ゲコココ、先鋒は650番に任せたよぉ」

「一番俊敏だぁもんねぇー」

ゲートが出るや否や、蛇はゲートの中になだれ込んでいった。

正確には、あらかじめぎっちりと蛇を詰め込んだ部屋にゲートが出たのだ。これで相手の侵入を阻む上にスタートダッシュをかせぐという寸法だ。

「これぞ、5番様に教わった物量作戦よ!」

「ぐぇっぐぇっ、こんなに大量のモンスターを呼べるなんてぇ、DPいっぱいあるとできることがケタ違いだぁ」

「こぉれだけモンスターがいて負けるわけないよぉ」

どばっと敵ダンジョンと溢れる蛇たちを操り、まずは部屋にいる敵兵を片付けにかかる650番コア。帝王チームのダンジョンはゴーレムが、魔王チームのダンジョンはスケルトンがひしめいていた。

おそらくこれらがそれぞれ敵の主力という事だろう。数ならこちらの方が上だし、スケルトンもゴーレムも動きが鈍く、バイトスネークたちの敵ではない。650番たちはそう認識した。

「あーっはっはっは! 私の蛇ちゃんこそが最高なのよ!」

スケルトンに巻き付いて骨をへし折り、土でできたゴーレムを齧って削り倒す。が、敵もさるものながら、蛇を叩き潰したり、踏みつぶしたり、あるいは手に持った武器で切り刻んだりと応戦してくる。

1対1では負けないし、数でもこちらが勝っている。なのにこちらに被害が出ている。

まぁ、相手に与えている被害の方も大きいので今はいいだろう。なにせ、DPはかつてないほど、たっぷり使えるのだから。

――もっとも、そのDPは相手だって同じ量使えるのだが――一見順調に戦闘が進んでいる今、650番たちは深く考えることはしなかった。うまく行っているなら勢いに乗るべきだ、と、5番コアも特に口出しはしない。

と、その時だった。

帝王チームのゲート部屋の扉が勢いよく開かれ、大量の水が溢れだしたのだ。

荒れ狂う水は戦闘中だったバイトスネークを、味方であるはずのゴーレムごと押し流して――どばっと、龍王チームのゲートに逆流してきた。

部屋をモンスターで埋め尽くすことで侵入を防いでいたゲート部屋は、そのままゴバッっと水に押し流されて、中に居た蛇たちごと通路に侵入される。

「な、な、なによコレぇ?! ちょ、ちょ、止まらないっ! ど、どうしたらいいのぉ?!」

「なッ……!? くそ、89番のやつこんな卑怯な手を!」

「知っているんですかぁ、第5番ダンジョンコア様ぁ!」

651番コア(大蛙)が5番コアに尋ねる。

「こいつは水攻めだ! ため込んだ水を使って敵を押し流す戦法だ、水をどうにかしろ!」

「ど、どうにかしろって、どうすればいいんですかぁっ!?」

「650番は落ちつけ! 蛇は水の中も泳げる、こっちに流れ込んできた敵を止めてさっさと片付けるんだ! 651番、652番、お前らは回収できるところから水を回収してダンジョンの外に捨てろっ! 敵が居ないところはただの水だから回収できる、急げ! 水攻めは基本的にため込んだ水が尽きるまで耐えれば終わる、使い捨ての策のはずだ! 再度やるにしても水が溜まるまで時間が稼げるからな!」

5番コアの意見に従い、下位コアたちは動く。ものすごい勢いで流れ込んでくる水、そして敵、敵、敵。

背中に木箱を背負ったクレイゴーレム――既に残骸となっている――が流されてきて、蛇の何匹かを巻き添えに壁に激突した。

背中の木箱が壊れると、中から敵性反応のある何かが大量に飛び出した。

「ちょ、ちょっとこれ、どうなってんの?! 魚、え、魚? 魚ァ?!」

「おちつけ! 651番っ、お前もいけっ、カエルで魚を食っちまえ! 敵がいると水も回収できぬぞ! くそ、なんて奴だ、なんて奴だ89番ッ! ガァアアアアア! これが我の戦であったなら、これしきの水、ドラゴンブレスで蒸発させてやるものを!!」

仮にこれが5番コアのダンジョンであれば、ドラゴンを並べて、水に潜む中身の敵ごと蒸発させていただろう。

だが今回は 下位コア(こうはい) たちの戦いで、50万DPという(5番コアにとっては)非常に少量のチマチマした戦いだ。ドラゴンの1体も召喚できないとか、そもそも戦いと言えるだろうか。50万程度で呼べるのはせいぜいレッサードラゴンとかいう動物並みのできそこないだ。

「第5番ダンジョンコア様ぁ! 水、多すぎてぇ、どうしようもできません~!」

「いいから続けろ! お前が水を片付けなきゃダンジョンが水で埋まるぞ!」

5番コアの指示に652番は必死で水を回収し、ダンジョンの外に水を排出する。

が、もはやフロアの殆どが水で埋まってしまっている。第2フロアまで水がたどり着いており、それに合わせて敵の魚だけでなく、スケルトンとゴーレムまでもが流れ込んでいる。

……水を排水するのは難しそうだ。

#Side魔王チーム

『はっはっは、みんなやる気十分だね。じゃあ、始めるよ。……5秒前ー、4、3、2、1……3チーム戦ダンジョンバトル、スタート!』

『父』の開始宣言と共に、あらかじめ指定した部屋にゲートが2つ開いた。

どさどさと流れ込む蛇。そして不気味に沈黙を守っているもう1つのゲート。

蛇は適当にスケルトンに任せよう。

「骨共。進め、 蹂躙(じゅうりん) せよ」

スケルトンに命令を飛ばし、しばらく様子を見る666番コア。

蛇が溢れる龍王チームのゲートにはまだ入れそうにないが、時間の問題だろう。帝王チームの先にはゴーレムが居た。

戦闘中、何匹かの蛇がゲートの部屋から奥へ行けるチャンスがあったにもかかわらずスケルトンに襲い掛かっていた。

おそらく、操作している650番たちが何も考えていない無能なんだろう。チャンスがあれば奥へ行くのが先発隊の役目だというのに。

……しかし、いまだに帝王チームは攻め込んでこない。こちらはこちらで何か企んでいるのだろう。

楽しみに思っていると、帝王チームのゲートから水が溢れてきた。洪水、いや大洪水だ。

ゴーレムと蛇がどばっとダンジョンに流れ込む。……スケルトンの囲いは、あっさりと突破され、ダンジョンに敵が入り込んでいく。

「はは、やるじゃない。695番ッ! これでこそ我が 宿敵(ライバル) に 相応(ふさわ) しいッ」

自らのダンジョンが水に侵されるのを見て、666番コアは楽しそうに笑った。

ではこちらも本気を出すとしよう。

……まずは【サモンスケルトン】で減ったスケルトンを補充だ。

666番コアは楽しそうに詠唱を口ずさんだ。