軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

335、秋の大会3

学問部門の試験会場からキアラがやってきた。私達に気付くとまたもや手をブンブンと振ってくる。愛すべき妹だ。

「では、位置についてください。」

「はーい!」

まずは標的射撃からか。

「始め!」

『さんだん』

げっ、キアラのやつ……無茶苦茶しやがる……

全ての的が穴だらけになってるじゃないか……容赦ないなあ……真ん中だろうが端っこだろうがお構いなしだ。

たった一撃、あっという間の出来事。観客も騒ついている。

次は標的破壊だ。

「始め!」

『すないぷ』

まずは木の立方体を貫通。

『すないぷ』

岩の立方体も楽々貫通。

『火球』

『火球』

『火球』

さすがのキアラも鉄を溶かすほどの温度は出せないようだ。せいぜい赤く焼けている程度だ。

『すないぷ』

『すないぷ』

『すないぷ』

おお、見事なワンホールショット。深くはないが、確実に穴が穿たれていくではないか。

これからどうするんだ?

『氷結』

おおっ!?

金属にヒビが!

温度差を利用したってのか!? しかも形を多少崩しておくことで効果を高めたのか? キアラはそんな知識を一体どこで!?

『すないぷ』

うお! ついに割れたぞ! 真っ二つ……?

ん、いや? なんだあれ? 割れたと思ったのは外側だけだ。内部にはもう一回り小さい立方体が……ミスリルか!

なんてこった……ただの金属と見せかけて芯にミスリルを入れてやがったのか。

あ! それであの時アレクは金属を割ることを挑戦せずにやめたってのか?

それにしてもさすがにミスリルだ。あれほどの温度差にもびくともしていない。

「最後は魔法受撃です。位置についてください。」

淡々と進めるのね。

「はーい!」

あれだけの魔法を使ってもまだまだ余裕。当たり前か。

「ではいきますよ。」

十発目までは何事もなく自動防御で防いでいる。このまま自動防御で防げるのだろうか……

十五発目を受けて自動防御が解けた。いや、自ら解いたのか。

そして十六発目……ナウム先生の氷弾がキアラを避けた……

そうだった。

キアラのやつ、魔力感誘が使えるんだった……熟練すればほとんど魔力を使わずに相手の魔法を逸らすことができるという母上の常套手段。

十七、十八、十九。危なげなくクリアしていく。

そして最後。岩をも貫通する氷弾がキアラを逸れて明後日の方へと飛んでいき……

後ろからキアラを襲った。

「いったーい!」

氷弾はキアラの二の腕を抉った……が、キアラは微動だにしていないし、傷はもう治っている。

「最後の油断はいただけませんが、倒れませんでしたので記録は二十発です。まだまだ魔力感誘の習熟が甘いですね。」

なるほど。母上の魔力感誘なら私の数百発のホーミング榴弾ですら無効にしてしまう。まるで支配権までも奪うかのように。しかしキアラはまだそこまでは達していないんだ。だからナウム先生は外れた氷弾を制御することができたってわけだな。

これで秋の大会も終わりか。キアラの学問部門の成績が気になるが……

「カー兄ー! 見ててくれたあー?」

「おう見てたぞ。キアラの魔力感誘はすごいなあ。僕も頑張らないといけないよ。」

「カースには難しいかもね。でも、頑張りなさい?」

「押忍母上!」

回復系の魔法はさすがに諦めたが魔力感誘は諦めんからな。

おっと、校長による結果発表が行われる。

「皆さん、長らくお待たせいたしました。結果を発表いたします。

学問部門、優勝はクタナツ校、キアラ・マーティンさん!

剣術部門、優勝はクタナツ校、キアラ・マーティンさん!

魔法部門、優勝はクタナツ校、キアラ・マーティンさん!

よって総合優勝は、クタナツ校です!」

凄すぎる……

キアラのやつ、たった一人でやり抜きやがった……それも疲れた顔一つ見せずに……

魔法部門は同点にも思えるが傷の深さで判断するとキアラの勝ちってことか。

「それでは優勝校を代表してマーティンさん、一言ご挨拶をお願いいたします。」

代表も何もキアラしかいないしな。今度はどんな挨拶をするのかな?

「キアラ・マーティンです! 次はカー兄に勝てるよう頑張ります!」

くっ、キアラめ。何てことを。私はキアラと対戦なんかしたくないぞ。

「す、素敵な挨拶をありがとうございました。それでは以上を持ちましてフランティア秋の大会を終了いたします! 続きましてクタナツの英雄の表彰式を行います! まだ帰らないでください!」

英雄って言われてしまった。照れるな。