軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

310、予選

予選の第一試合。私の相手は見た感じ同年代だ。しかも装備までそっくり。見た目だけは……

「なんだ、お前も魔王に憧れてんの? やめとけやめとけ怪我すんぞ?」

「いや……憧れては……ないかな?」

予選は番号でしか呼ばれないもんな。私が本人って気付いてないのか……似た格好の奴って多いもんな。それを思うとヒイズルの奴ら、よく私って特定できたな。

「ぷぷっ、無理すんなって。そんな上から下までよ? むしろ本物より重装備なんじゃねぇ?」

「知らねーよ……」

「俺なんかよ? エビルパイソンのウエストコートにトラウザーズだぜ? 高かったんだからよぉ? お前のは見たことねぇ素材だなぁ? あんま無理すんなって」

エビルパイソン……ヘルデザ砂漠に生息するそこそこ大きい毒蛇だ。こいつが一人で仕留めたってんならそれなりの腕だが……高かったって言ってるしな。

「魔王の服装、素材が何か知ってんのか?」

「あぁ? 当ったり前だろ!? 自ら仕留めたトビクラーから仕立てたって話じゃねぇか。さすがだよなぁ。あのトビクラーだぜ?」

い、いつの話だ……あれって確か私がキアラぐらいの時だよな? タティーシャ村からの帰り道で仕留めた記憶がある。血と火を好む空飛ぶ魔物。あの時は一生物かと思っていたが、あれからすぐにサウザンドミヅチをゲットしたんだもんな。なぜそっちが噂になってないんだ?

あ、あれを仕留めたのは母上ってことになってるからか!? でも素材なんて見る者が見たらすぐ分かりそうなものだが……まあいいや。

「へ、へー……トビクラーなんだ……軟骨が旨いよな……」

「おっ、お前分かってんじゃねぇか! 魔王も軟骨が好きらしいぜ? 意外とクセになるよなぁ! おーし、ちっとぐらい手加減してやんからよぉ! ドーンと来いや!」

「そ、そう……」

『試合開始』

おっと始まった。

「うりゃぁぁああーーー!」

めっちゃ大振り……木刀、いや木剣か。せっかくだからあれこれ試してみよう。避けずに受けてみる。脳天直撃だ。

「へ、へへ、これでも、手加減してやったんだぜ……悪く思うなよ?」

嘘つけ。木剣が折れてるじゃないか。私の方は頭は無事だが、首にダメージありだ。やっぱ頭部に攻撃なんて食らうもんじゃないな。

「次は?」

「は? お、おま、あ、あれを頭にくらって……そんなしょぼい帽子で……」

「いい帽子だろ? 言っとくがトビクラーじゃないぞ。」

「だ、だよな……いくらトビクラーでも……この木剣……トレント材だぞ……」

どうせ普通のトレントだろ?

「魔王は木刀を好むそうだが、材質は知ってるか?」

「ああ!? そんなもんエビルヒュージトレントに決まってんだろ! 俺だって欲しいんだよぉ!」

あ、それは知られてるのね。いつの情報か知らんが、夏の終わりから使ってないんだよな。くそ、偽勇者のせいで……

「それよりもう攻撃しないのか?」

「う、うるせぇ! 殺ってやんよ! 舐めた口ききやがってよぉ!」

いきなりキレた。手加減してくれるんじゃなかったのか。あーあ、ナイフだ。錆びてるし……手入れしてないな。

「死ねやぁぁぁああーーー!」

おお、昨日のアレクと同じ。おどりゃ往生せいやスタイルだ。ご丁寧に刃は上に向けている。よし、実験。

「 殺(と) ったぁ!」

そうでもない。一ミリもウエストコートを通っていない。唖然とするこいつの手ごとナイフを掴み、右肘を内側からチョップ。自分のナイフを味わいな。腹にズブっとな。

「あがゃおあぁーーー! いでぇ、いでぇーよぉぉおーー! は、反則だぁ! こ、こいつナイフ使いやがったぁぁぁあーーーー!」

無理無理。ゴネても無駄無駄ぁ。参加者には契約魔法がかかってんのを忘れたのか? ナイフを抜いた時点でお前の負けは通知されてる。でもアナウンスを無視して襲いかかるのは自由なのね……

あんなナイフを防いだぐらいでは実験と言えないだろうが、今日はこのぐらいにしておこう。あいつのような雑魚でなければ実験する余裕なんかないだろうからな。うっかり負けては堪らん。

そんなこんなで三回戦まで終了した。やはり装備の力は偉大だな。楽勝だった。

そして残りは五人。昨日はここからサドンデス戦をやったのだが。今日は……

『予選の最終試合を始めまーす! 五人のうち一人が勝ち残りとなりまーす! 第五武舞台さーん! 準備はいいですかー? 構え!』

『始め!』

ぬおっ?

私以外の四人が一斉にこちらに!?