軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

230、岸壁にて

翌日、エルネスト君と連れ立ってギルドへ向かう。悪いがコーちゃんとカムイはお留守番だ。少しは正体を隠さないとな。

「今日のところは普通に依頼を受ける予定なんだ。ギルドでメンバーを紹介するよ。」

「イメージがまだ固まってないけど、絡まれたらいつも通り対処するね。」

「うん、その辺りは任せるよ。それにしてもそんな格好のカース君を見るのは初めてだね。違和感がすごいよ。」

今日の私はそこらの平民風の小汚い服装なのだ。冒険者にすら見えないだろう。スパラッシュさんとヤコビニを捕まえた時を思い出すな。

「さすがに少し寒いかな。さっさと着替えたいところだね。」

もう十月も終わりだもんな。冬が来るなぁ。ムリーマ山脈で紅葉は見れるだろうか。

そしてギルドに到着。

「おうエルネスト、助っ人ってそいつかよ」

「弱そうじゃないか。大丈夫なのか?」

「そいつのとばっちりを食らうのはごめんだぞ?」

「エルネストが責任とれよな!」

なんだこいつら? 文句があるなら帰ってもいいんだぞ?

「紹介するよ。クタナツからわざわざ来てくれたカース君。彼の腕前は僕よりかなり上だよ。」

「どーも。」

「お前そんな装備で……冒険者舐めてんのか?」

「遊びじゃねーんだぞ?」

「足引っ張んじゃねぇぞ?」

「一応リーダーの顔は立ててやるけどよ」

「では今日の依頼だ。タイクーンを三匹、アジールを可能な限りたくさんだ。張り切って行こう!」

鯛と鯵か。魚の依頼なんて昨日は見なかったがやはりあるんだな。

メンバーの四人はぶつくさ言いながらも現場に到着。名前は聞いたが覚えていない。

どうやって魚を捕るのかと思ったら全員で岩壁から釣りを始めた。冒険者らしくないよな。でも周囲には似たような奴らも多い。この辺りはこれが普通なんだろうな。

「エルネスト君、僕は潜ってるから。昼には戻ってくるよ。」

「も、潜るの? 大丈夫? 魔物が寄ってきたら……」

「慣れてるから大丈夫だよ。釣りの邪魔にならないように沖に行くしね。」

「てめっ、遊んでんじゃねーぞ!」

「分け前やんねぇぞ?」

「俺らの邪魔だけはすんなよ?」

「助けてなんかやんねぇからな!」

エルネスト君はよくこんな奴らとパーティーを組んでるよな。そもそもこいつらのために私を呼んだってのに。まあいいや。私は貝類を狙うもんね。

沖を潜ってみると、ホウアワビやサカエニナだけでなく、知らない貝類がたくさんあった。片っ端から獲っておこう。真珠貝なんかあったりしないかな? アコヤ貝とか国蝶貝とかだよな? 見ても分からないのが問題だが。

おっ、シーオークも寄って来た。いただきだな。おっ、あれはウツボか? 結構大きいな。いただき。

さて、そろそろ昼かな。一旦様子見に上がってみるか。ちょうど絡まれてたりするといいのだが。

絡まれてた。

「おら、釣ったもん見せてみろや?」

「怪我したくねぇだろぉ?」

「さっさと出せや!」

エルネスト君達は五人、相手は三人。体は大きいが大した魔力は感じない。なのになぜあそこまで調子に乗らせてるのやら。

「何やってんの? 昼飯にしようよ。」

「か、カース君……」

「おめぇもさっさと出せ!」

「ちっとは獲ってきたんだろ!」

「やられちまうぞ!」

「俺らまで目ぇ付けられるだろうが!」

「そういうこった。さっさと出すもん出しなぁ?」

こいつら一生タカられながら生きていくつもりなんだろうか。

私は魔力庫からサカエニナをドバドバと出して見せる。

「なっ! サカエニナがこんなに!?」

「へっ、やるじゃねぇか。今日の所はこれで勘弁してやらぁ」

「明日もきっちり獲ってこいやぁ!」

「バカ言ってんじゃねぇぞ? 欲しけりゃ実力で来い。」

「あぁ!? ヒヨッコが舐めた口きいてんじゃねぇぞ!」

「やっちゃあぞコラ!」

「海に叩き落としてやんかオウ!?」

「お、おいお前早く謝れって!」

「この人達マジでやべぇんだって!」

「お、俺は関係ねぇからな!」

「こいつ何てことを……」

「カース君……」

さて、どうしてくれようか。