軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

228、デルヌモンテ伯爵家

騎士団詰所に到着。道中でこいつにはきっちり契約魔法をかけてある。余罪も含めて洗いざらい吐くんだな。

「お務めご苦労様です。罪人を連行してきました。」

「うむ、ん? そやつは!」

「ご存知ですか? なら話が早い。きっちり取り調べをお願いします。」

「うむ、協力感謝する。一応そちらで話を聞かせてくれぬか?」

「いいですよ。」

ちっ、面倒だな。これがクタナツや領都ならば『任せた』『オッケー』で終わるのに。

「……といった感じです。奴隷落ちでいいですよ。殺す気はないもので。」

「あい分かった。明日また来てくれるか? 売却代金を渡すゆえ。」

「ギルドに入金はダメですか?」

さすがにそれは面倒いぞ。どうせ金貨一、二枚だろ?

「すまんが規則だからな。」

「それなら受け取らなくていいですよ。適当に寄付ってことで。」

「おい……何か後ろ暗いことでもあるのか? 金貨で二枚もの金額なのだぞ?」

「後ろ暗いことがあったら詰所なんかに来てませんよ。面倒なだけです。私の身分証は確認されましたよね?」

当然国王直属を示す身分証を提示してあるからな。

「そ、そうだな。ならば宿泊先を教えておいてくれ。」

「いえ未定です。今からデルヌモンテ伯爵家を訪ねますので、そこに泊まる可能性もあります。」

「な、デルヌモンテ伯爵家か……よろしい。できれば明日来てくれると助かるが……」

「気が向いたら来ることにします。」

なーんか怪しいんだよな。この街の全員が怪しく見えてしまう。いきなり二回も騙されたんだもんな。これって私じゃなければ身包み剥がされてるぞ。こんな街来るんじゃなかったよ。あー面倒。

「すまぬがデルヌモンテ伯爵家まで同行させてもらう。念のためにな。」

「まあ、案内してくれるんならいいんですけどね。」

王都でも似たようなことがあったな。ゼマティス家への道を聞いたら門まで騎士が同行したもんな。あれと似たようなものか。もしかしてよそ者を怪しむ土地柄なのか? これでまたスラム辺りに案内されたら笑うぞ。

騎士団の馬車に揺られること十二、三分。貴族街に着いたようだ。周囲の建物より少しだけ立派なのがデルヌモンテ伯爵家か。

「御免、こちらのカース・ド・マーティン殿がそちらのお家に御用とのことだ。約束はおありかな?」

「……奥様をお呼びして参りますのでお待ちくださいませ」

これで私のことなど知らないと言われたら帰ればいいや。

「お務めご苦労。確かに我が甥エルネストより聞き及んでいる。安心して帰られるがよい。」

エルネスト君の伯母さんかな? 似てないな。

「承知いたした。では某はこれにて。」

「初めまして。クタナツより参りましたカース・ド・マーティンと申します。本日はエルネスト君は?」

「ここまでよく来てくれた。私はエルネストの母の兄の妻、つまり伯母のサリーヌだ。さあ入ってくれ。エルネストはそのうち帰ってくるだろう。まずは旅の疲れを癒して欲しい。」

「お邪魔します。」

エルネスト君は留守か。

「クタナツからエルネストのためにわざわざ来てくれるとは、あいつは幸せ者だな。」

「助けられるかどうかは分かりませんが。」

「早速だが風呂でもどうだ? そちらの蛇と狼も。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」

「申し遅れました。フォーチュンスネイクのコーネリアスとフェンリル狼のカムイです。普通に話していただければ通じます。」

「ほう、それはすごいな。当家へようこそ。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」

カムイは早速風呂に入りたいそうだ。いつからこんなに風呂好きになったんだっけ?

入浴していると、例によって裸の侍女さんが入ってきたので追い出しておいた。貴族の接遇あるあるか? いらないってんだ。

そこそこの広さの浴場から出ると冷たいお茶が用意されていた。これはありがたい。

「どうも、いいお湯でした。」

「ガウガウ」

「カース殿はうぶなのか? 湯女を断ったそうだな。」

「心に決めた女性がいますので。他の女性には興味すらありません。」

エロイーズさんの誘いに抗うぐらいだからな。

「そうか。若いのに欲のないことだ。私が入ろうとも思ったのだがな。」

「はは、ご冗談を。」

あー、この伯母さんも魔力が高そうだもんな。貴族女性あるあるに当てはまってるんだろうな。旦那はどんな人なんだろう。

「それよりカース殿はあの魔王なのだろう? どうだろう、よければ当家の護衛達に稽古をつけてもらえないだろうか?」

「教えるのは苦手ですので模擬戦ってことならいいですよ。王国共通ルールの魔法対戦とか。」

「よし、手の空いている者は庭へ集まれ! あの魔王が手解きをしてくれるそうだ!」

手解(てほど) きではない。ただ対戦するだけだ。ぞろぞろと庭に出てきたのはだいたい十人ほどだった。