軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

145、凱旋

そして昼前。全員がゼマティス家を出ようとしている。

私、アレク、コーちゃん、カムイ。

母上、アステロイドクラッシャーの皆さん。

オディ兄、マリー。

スティード君、セルジュ君。おまけにラグナ。

色々あったけど楽しい夏だったな。ゼマティス家が総出で私達を見送っている。いや、ギュスターヴ君がいないか。あの子も変わってるよな。一体何を考えてるんだろう?

セルジュ君とスティード君はサンドラちゃんと別れを惜しんでいる。実は私も心残りがあったりするが……

ちなみにキアラはまだ戻って来てない。そのためオディ兄とマリーが帰りを待つことになった。キアラのやつ……

私達は簡単に挨拶を済ませて第一城壁の外まで歩く。今のゼマティス家には馬車が一台しかないためだ。

「カースよお、よくヒュドラなんか仕留めたもんだよなあ。俺なんか見たことすらないぜ?」

「大変だったんですよ? 魔法は効かないしミスリルの装備は失くすし。」

アステロイドさんと話すのは少し久々な気がする。

「で、どうやって仕留めたんだ?」

「降り注ぐ氷塊を落としまくったんですよ。それはもうめちゃくちゃに。」

「そんな魔法でか……やはりお前は違うな……」

そんな話をしていたらもう第一城壁の外に出た。もう少し王都から離れたら飛ぶとしよう。

『鉄塊』

歩きながら鉄ボードの体積を増やしている。何せ人数が多いからな。それを『点火』と『金操』で成形する。およそ六畳の鉄ボードが出来上がった。

「じゃあ皆さん乗って乗って。」

ゾロゾロとみんなを乗せたら出発だ。

空の上、みんなワイワイとお喋りをしている。

「それにしてもカース。今回はいい判断をしたわね。よく私達を呼びに来てくれたわ。」

「いやー、手が足りなくて困ってさ。フェルナンド先生がいればいいのに、って思ったとき母上達のことを思い出したんだよ。」

「魔女様も俺達に声をかけてくださったしな。ありがたいことだぜ。おかげで俺達パーティーは全員勲章持ちだぁ。」

冒険者で勲章持ちってたぶん珍しいよな。何勲章だったっけ?

「アステロイドさん達にも助けていただきましたよね。オディ兄ともどもお世話になりました。」

「オディロンなあ。あいつも大した男だ。王都の五等星なんかを相手にしても一歩も退かなくてよお。五、六人の膝を一瞬で砕くんだからよ。」

おお、さすがオディ兄。圧縮魔法がえげつない威力になっている。

さて、クタナツ南の城門へと到着だ。

「もうクタナツかよ……」

「行った時もそうだったが……どうなってんだ?」

「一時間ぐらいか?」

「魔物にも全然遭わなかったしな……」

「おうカース、今回はありがとな。これからのクタナツを頼むぜ。」

アステロイドさんの期待が重いような気もするが……

「できる限りは。アステロイドさん達も今回はありがとうございました。これはほんの気持ちです。」

「これは……ヒュドラの牙か? ありがたく貰っとくぜ。お前が気にすることじゃないんだがよ。」

ちょうど五本ほど残っていたのでアステロイドクラッシャーにちょうどいい。

「アステロイド、私からも礼を言います。ありがとう。もし今後怪我をすることがあれば、必ず私を訪ねて来なさい。分かったわね?」

「ま、魔女様! 訪ねます! 必ず伺います!」

おお、これは冒険者にとってはありがたいよな。母上ほどの治癒魔法使いがいつでも診てくれるとは。これが聖女と呼ばれる由縁か……

「カース、お疲れだったわね。あなたにも貴族の自覚が出てきたようで嬉しいわ。でもアランも言ったように好きに生きなさい。陛下がおっしゃった新しい街、あんなことがあったからと言って行動を抑えようなんて思わないようにね。」

「うん、母上もありがとう。本当に助かったよ。アレクにも言われたからね、好きに生きるよ。」

「まあ、アレックスちゃんたら。男なんて自由にさせておけばいいの。その上であなたの元へ帰って来たくなるような女になりなさい。」

「は、はいお義母様!」

おおお、アレクが母上を憧れの眼で見ている。そんなアレクもかわいいぞ。

さあ残ったメンバーで領都へ向かおう。

到着。いつもの事務的な騎士さんに挨拶をして城壁内へと入る。

「カース君、今回はありがとう。おかげでかなり充実した夏休みになったよ。姉上一家も無事だったしね。」

「本当だね。騎士の強さ、冒険者の強さ。強くなる方法は一つじゃないよね。あ、兄上一家は無事だったよ。」

セルジュ君もスティード君も家族が無事で何よりだ。

「みんな無事でよかったよ。じゃあ二人ともまたね。」

そしてついにアレクと二人きり。コーちゃんとカムイ、ラグナもいるけど。

しばらく歩いて魔法学校の寮に到着。

「じゃあねカース。楽しい夏休みをありがとう。」

アレクはそう言って私の唇を奪った。悪い子だ。

「じゃあまたね。いつものように再来週のケルニャの日、放課後に迎えに来るね。」

「楽しみにしてるわ。コーちゃん、カムイ、またね。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」

そしてアレクは寮へと入っていった。

さて、我が家へ帰ろうか。ラグナを連れて来たことで思わぬ効果が生まれるかも知れないな。