軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

126、ムリーマ山脈にて遭遇せり

コーちゃんを連れて自宅に戻った。

「ただいま。さて、王都に行こうか。みんな準備はいい?」

「カース君、僕らも連れてってくれない?」

「どうせ九月までには領都に戻るんだよね?」

セルジュ君にスティード君。行きたいのか。

「もちろんいいよ。慰霊祭とかで退屈かも知れないけど。」

「カース、それも貴族の義務よ。それにしても、どんな筋書きになるのかしらね?」

そうだよな。まさか王都民にエルフの仕業とは言えないよな。言っても信じるかどうかも怪しいし。国王のお手並み拝見かな。

「じゃあリリス、行ってくる。僕が留守の間は適当に過ごせばいいから。」

「行ってらっしゃいませ。どうぞお気をつけて。」

今ふと思ったが、この屋敷ってかなり無防備だよな。盗まれて困るものは湯船ぐらいだが、もしもリリスやマーリンが襲われたら大変だ。私も身に覚えがいくらでもあるからな。うーん、どうしよう。よし、これも宿題だ。くそ、どんどん溜まっていく……

今日のルートはムリーマ山脈越えだ。領都から王都まで一直線に向かう。別に急いでいるわけではないのだが、気になることが二つあるのだ。

一つ目は虫歯ドラゴンゾンビがいた所。あそこが現在どうなっているのか。

二つ目は伯父さんだ。ガスパール兄さんとラグナ、セグノを連れてムリーマ山脈のどこかで修行をしているらしいので見つかるものなら寄ってみたいだけなのだ。

そして現在はすでに山脈の南側。まずは虫歯ドラゴンが夢の跡へと行ってみよう。かなり焼き尽くしたのだが、変化はあるだろうか。

なんと!

こいつは偶然。

伯父さん発見!

「おーい伯父さーん! ガスパール兄さーん!」

「ん? カース君か? どうしてここに?」

「え? カース君!?」

「いやー、伯母様からムリーマ山脈にいるとは聞いていたんですが、まさかここに居るとは。ここはですね……」

ドラゴンゾンビの牙を見せながら説明する。いつか話した虫歯ドラゴンの成れの果て……たぶん私のせいなんだよな。まあ知ったことではないが。

「王都では大事件が起こったらしいね。最近知ったよ。」

「え!? どうやってですか!?」

こんな所で一体どうやって?

「マルグリットの召喚獣さ。手紙を届けてくれたってわけさ。君達だけの秘密だよ? こんな所にいるのに連絡をとる方法があるなんて知られたら修行なんかできやしないからね。なあガスパール?」

「そうだよね。父上の言う通り。せっかくの休みを潰されてたまるかって話だよ。」

それでお家や王都が壊滅したら元も子もないが。むしろ最近知ったってことは伯母さんはほぼ解決してから手紙を出したのか。まあ最中は召喚獣に使う魔力がなかったんだろうしね。

「せっかくの休みを潰されるなんて最悪ですよね! 僕だってたまたま王都にいたせいで夏休みを一週間潰されたんですよ。くそ、教団め。」

まあ私の夏休みではないが。

「ははは、せっかく来たんだ。ガスパールに稽古をつけてやっておくれよ。君達もぜひ。」

「喜んで。お久しぶりですね、ガスパールお兄さん。」

「やあ、アレックスちゃん。少し見ない間にますます綺麗になったね。」

ふふふ、当然だ。

「では僕はゼマティス卿に稽古をお願いしたいです。申し遅れました、セルジュ・ド・ミシャロンと申します。」

おお、セルジュ君が珍しくやる気だ。見ていたいな……

サンドラちゃんとスティード君は傍観か。スティード君にしてはこれまた珍しい。

「久しぶりだねぇボスぅ。」

「おおラグナ。悪かったな、だいぶ待たせてしまってさ。もう大丈夫、約束が果たせるようになったぞ。」

「そいつぁよかった。せっかく裏稼業から抜け出して真人間になろうってんだ。ゼマティス家は闇ギルドよりキツいからねぇ。」

やっぱそうなの? 知りたくなーい。だから聞かなーい。

「でもセグノはさぁ。どうすんだぃ?」

「あの、ボス、私はゼマティス家に残っちゃダメですか?」

「ん? もちろん構わないけど。それでいいの?」

「はい! あ、ありがとうございます!」

おやおや? 一体何事だぁ? やはり聞かないけどね。

「よーし、カース君。氷弾で攻撃をしてきてくれる? 少しずつ数と速度を上げてさ。」

「よーし、行きますよー!」

『氷弾』

うそ!? 魔力感誘!?

さすがはゼマティス家の跡取り息子……やるなぁ。

「どんどん行きますよ。」

『氷弾』

二発ずつ、三発ずつ。

四連射、八連射。

八連射三連、十斉射四連。

すごいぞ兄さん。危なげあるけど何とか魔力感誘を使っている。もう少しやってみよう。

十六連射、十六斉射六連。

必殺五十連射ぁー!

さすがにやりすぎたか。

「ぜぇ、はぁ、はぁ……さすがカース君……め、めちゃくちゃだな……」

「いやいやお兄さんこそ。最後のやつ以外はあらかた順調だったんじゃないですか?」

「いやぁ、まだまださ……」

「じゃあ次はお兄さんの番ですよ。その状態のままアレクに氷弾を撃ってくださいね。」

「あぁ、やるとも……」『氷弾』

うーん、アレクの魔力感誘もまあまあ見事だな。さすがにお兄さんほどではないけど。

少し離れた所では伯父さんとセルジュ君が対戦形式で稽古をしているな。

「ボスさぁ、ゼマティス家も怖いけどさぁアタシぁやっぱボスの方が怖いよぉ。何であれだけの魔法を撃ってケロっとしてるのさぁ……」

それはヒュドラと戦った時に連射に慣れたからだろうな。あの時は『鉄塊』も使う必要があったが、今回はただの『氷弾』だけ。

魔力制御で頭が痛くなることもない。

「ちょっとな。面白い経験をしたからかな。今度話してやるよ。お土産付きでな。」

ラグナにもヒュドラを食わせてやろう。驚く顔が楽しみだ。

結局、夕方近くまでここで稽古に付き合ってしまった。今からなら城門が閉まるまでには王都に着けるだろう。

「伯父さんどうします? ついでだから一緒に帰りますか?」

「そうしたいところだが、残念だ。歩いて帰るのも修行のうちなんだよ。」

うわー、ストイックだな。

「じゃあラグナだけ貰っていきますね。セグノはゼマティス家に残りたいそうなので。」

「セグノ、お前……」

「旦那様……」

はっはーん。そういうことね。私は知らないぞ。伯母さんには内緒にしとくけど、後でどうなることか……

その点うちの父上はどうなってんだ? 母上も当然のようにベレンガリアさんを受け入れてるし。世の中に変人って多いんだろうな。あれ? アレクもか?