軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33、天空の拷問

結局ザガートの上役は姿を現さなかったので、本人をそのまま連れて帰った。

「ただいま帰りました。伯母様、相談です。こいつを吐かせて情報を取ることはできますか?」

「誰なの……?」

「こいつは『 聖白絶神教団(せいびゃくぜっしんきょうだん) 』の司教、ザガートって奴です。偽勇者と関わりがあることが分かりましたので、連行しました。ここに連れて来たことを知ってる者はアレクとサンドラちゃんだけです。」

「そう……残念だけど、それはゼマティス家の秘伝なの。私には使えないわ。偽勇者関係なら騎士団に届けるのが一番かしら……」

なるほど。ゼマティス家の血を引く者でないと使えないってことだな。

「分かりました! ありがとうございます。じゃあ連れて行きますね。」

今さらだが、サンドラちゃんを連れているのにこんなことをしてよかったのか……よかったに決まってるな。サンドラちゃんは自分で来ることを選択したんだ。だから何が起ころうと泣き言を言うはずがない。彼女だってクタナツの女なんだから。

庭に出た私はミスリルボードを出してみんなを乗せた。もちろんザガートもだ。そして上昇へ。天空の精霊と出会えそうなほど高く。

ここで拷問だ。さて、循環阻止の首輪を着けておいてやろう。これでも喋れるかな?

「起きろ。」

頭を蹴飛ばしながら起こす。中々起きないな。起きるまで蹴り続けよう。

「うっ、ううぅ……」

おっ、やっと起きたか。

「よおザガート。おはよう。ここに白金貨がある。これと拷問どっちがいい?」

「こ、ここは……」

「見りゃ分かるだろ? 上空だよ。魔法が使えないお前は落ちたら死ぬな。」

あの広い王都が指で作った輪っかに収まってしまうぐらい高い。

「魔法が使えないだと? 何をバカな……なっ!?」

「使えないだろ? では時間切れだ。どっちにする?」

「くっ! 見くびるな! 何も話すことなどない! それより私にこのようなことをしてタダで済むと思っているのか!」

「じゃあ拷問で。」『浮身』『風操』

さらに上空を遊泳してもらおう。雲の中にも突っ込ませてやろう。地球は何色だ? 地球じゃないか。この世界は何て名前なんだ?

さすがに天動説は主流ではないが、地動説も立証されていない。どうでもいいや。

「空の旅は気持ちいいだろ? 途中で魔力が切れたら落ちてしまうけど、仕方ないな。さあもう一回行ってみようか。」

「や、やめっど」

何か言ってるが、聞こえんな。雲の上まで行ってこい。

「昔カース君が空に連れてってくれた時よりだいぶ高いわね。足が竦むわ。」

「私はもう慣れちゃった。もう少し高い所に行ったら天空の精霊がいるのかしら?」

「たぶんそうだね。奴を吐かせたら天空の精霊にも会いたいね。」

さて、そろそろ戻そうか。天空遊覧飛行は楽しかったか?

「そろそろ話す気になったか? それともまだ空の観光を楽しむか?」

「は、話す、白金貨は……」

「では約束だ。正直に話せば白金貨一枚だ。いいな?」

「白金貨を一枚、私にくれるんだな……?」

ちっ、仕方ない。

「そうだ。くれてやる。」

「なら、ああっうぉ、話す……」

よし、かかった!

「では質問だ。偽勇者と教団の関係を言え。」

「詳しくは知らない……ただ、自分をムラサキ・イチローと思い込んでいるのは偽勇者だけではない……」

何だそれ? 意味が分からん。

「あの鎧は何で出来てる?」

「分からん……ローランド王国では不可能な製法だと聞いた……魔法が一切効かず、ミスリルの剣ですら傷が付かないとか……」

「偽勇者と関わりがあるってことは魔蠍とも関わりがあったのか?」

「分からん……禁術の毒がどうとか聞いたことがある……」

禁術の毒? その言い方って……

「総代教主ってどんな奴?」

「そ、総代教主様は……私では知ることなどできない……」

あー、そのパターンね。やっぱりこいつ下っ端かよ。それならもういいか。後は騎士団に任せるかな。

「おい、これは約束の白金貨一枚だ。大事にしとけよ。」

「あ、ああ……」

よし、受け取ったな。『永眠』

「よーし、お待たせ。やっぱり教団は黒だったね。じゃあもう少し上に行くよ。」

「ピュイピュイ」

おっ、コーちゃんは楽しみにしてたのか? 精霊仲間だもんな。よーし行ってみよう。

雲を突き抜けファーアウェイ! 上昇だ。

『何用だ……』

「お久しぶりです。用はないんですが、魔力は要りませんか?」

『そなたか……さらに魔力が芳醇になっている。では半分いただくがよいな?』

「いいですよ。どうぞ。」

『ふむ……天界の甘露……成長しておるな……どのような祝福を望むか……』

「では、いかなる毒も効かないようにできますか? 神殺しの猛毒でさえも。」

『無理だ……かの猛毒は本当に神すら殺す猛毒……我程度ではどうにもならぬ……』

「ならできる限りの毒に対する耐性と解毒ができるようにできますか? ついでにこの二人も。」

『いいだろう……もう少し魔力を貰うぞ……もっともそなたの魔力の前には……かの猛毒以外は効かないであろう……』

そんなものか。まあ解毒の効き目が強くなるならいいか。さて、騎士団本部に行くとしようか。

「ピュイピュイ」

ん? コーちゃんどうした?