軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

272、二回戦 第二試合

『武舞台の修復も終わりましたので、第二試合を開始します! 一人目はァー! ウリエン・ド「キャアアアァァァー!! ウリエン様ー! 素敵ー! カッコいいー!」始め!』

またもや歓声にかき消され実況が聞こえない。まあ対戦相手はナーサリーさんだと分かってるからいいけど。

ちなみに本日の兄上の武器はただの木刀だ。エビルヒュージトレント製ですらなく、ただの稽古用の木刀だ。しかし飛斬や飛突がスパスパ飛んでいく。

対するナーサリーさんの身のこなしはよくない。たどたどしい足取りで避けつつ防いでいる。

『ウリエン、強くなったじゃないかぁ。強者と戦い、魔物と戦い、盗賊と戦い。色んな経験をしてきたんだろうねぇ?』

『それが何か?』

『足りない経験があるんじゃないかぃ?』

『いくらでもありますよ?』

『ふふ、私をよぉく見てご覧?』

何だ? 幻術でも使ってるのか?

「アレク分かる?」

「分からないわ。お兄さんにだけ使ってるんじゃないかしら?」

あっ! 兄上が木刀を捨てた! マジで幻術とか催眠術とか?

『いい子ね。可愛がってあげるわ。こっちにいらっしゃい。』

これには観客も大騒ぎ。つーかうるさすぎ。

『消音』ありがとアレク。

しかしそんな大音量でも兄上は夢遊病のようにナーサリーさんに向かって歩いて行く。ナーサリーさんは後ろ歩きで武舞台端まで移動している。そのまま兄上を落とそうとしてるのか。

『私はここよ。早くおいで。たっぷり可愛がってあげるからねぇ。』

姉上は今頃ブチ切れてるんじゃないか? 大丈夫か?

場外まで後三歩。こんな負けってアリかよ。アリだよなぁ。

場外負け寸前、兄上は反転してナーサリーさんに飛びかかった。そして素早く組み敷いて唇を奪った。マジ何やってんの?

きっと場内は阿鼻叫喚だろうな。ここは消音のおかげで静かだ。その後ナーサリーさんが降参したようで決着となった。どうせ目がハートになってるんだろ。

『何という鮮やかな決着! 幻術にかかったと見せかけて! 近寄ったところを一気に手篭め! 私もナーサリー選手もメロメロです!』

『ワシのかわいいウリエン選手に腐れ外道アランの血が流れていると思うと複雑じゃがの。あやつのようにならなければよいがの……』

『私はあのような強引な男は嫌いではない。ぜひ私を実力で組み伏せるような男と出会いたいものだ。』

姉上はブチ切れかな……兄上も普通に勝ってくれよ。何でわざわざ会場を煽るような勝ち方をするかなぁ。

「そう言えばカースも少し前に領都の魔法学校で同じことをしてくれたわね。」

「そう言えばそうだね。あの時はアレクがいきなり撃ってきたんだよね。悪い子だったね。」

「でもみんなの前であんなことされて……私すごく……」

恥ずかしがるアレクはかわいいな。でも言われてみれば私も兄上と同じことをしてるのか。兄弟だなぁ。