軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

196、王妃襲来 2

昼食の用意が整ったらしく、マルグリット伯母さんが応接室に呼びに来た。

「王妃殿下、ご挨拶が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。本日は我が家で昼食をお召し上がりいただけるよし、厚く御礼申し上げます。」

「マルグリットちゃん、久しぶりね。グレゴリウスちゃんと仲良くしてる?」

「殿下のおかげをもちまして。」

「グレゴリウスちゃんもそのうちゼマティス家の当主だもんね。大変とは思うけどしっかりね。」

「暖かいお心遣いありがとうございます。主人にもしかと伝えておきます。」

王妃と伯母さんが話しながら前を歩く。私達はその後ろを付いて歩く。食堂ではない、どこに向かってるんだ?

「本日は晴天に恵まれましたので、庭にしつらえてございます。天も王妃殿下のご行幸を祝福していること疑いありません。」

護衛の騎士だけで軽く三十人はいるから、食堂には入りきれないよな。ゼマティス家って貴族にしては家が狭い方だったりするし。

庭には立食形式の食事が用意されていた。ただし王妃の分だけは別に除けられている。しかも椅子付きだ。

「はぁ、みんなと同じものが食べたかったのだけど。これもしきたりよね。」

少し悲しそうな顔を見せる。それでも和やかに昼食は進んでいく。

「ねえカースちゃん。いつか私もエデンに連れて行ってくれる?」

「えっ? いや、僕の一存では……警備とか、ルートとかその……」

無茶言うな……物理的に連れて行くのは簡単だけどさ。側近マジで止めろよ。

「いつか都市型結界魔法陣を実装するんでしょ? 私が行かないと大変よぉ?」

マジか! あれは王族の仕事なのか!? そりゃ白金貨が百枚単位でかかるわ!

「王妃様が自らされるんですか!?」

「私一人じゃないけどね。あれができるのは王族と一部の宮廷魔導士だけなのよ。ああ、もちろんアントニウスさんとグレゴリウスちゃんもできるわよ。」

すごい! さすがおじいちゃんと伯父さん!

「クタナツの半分ぐらいの広さでしたら何人で何日ぐらいかかるものですか?」

「そうねぇ、私を含めれば十人で一ヶ月ね。」

マジかよ……白金貨が何百枚いるんだ?

「ちなみに費用はいかほどで……」

「行ってみないと分からないけど、たぶん五、六百枚あれば足りるわよ。」

軽く言ってくれるな。実際軽い金額なんだろうな。ローランド王国の国家予算っていくらなんだ?

「ありがとうございます。いつかお金が貯まったらお願いしたいと思います。」

建物の百倍か。そう考えると安いな。それに十人ならギリギリ今のミスリルボードでも乗れそうだ。でも王妃をギチギチに詰め込むわけにもいかないか。自前でドラゴンにでも乗るのかな?

それにしても、すっかり懐柔されてしまったな。まあ王族とパイプができたと思えばいいか。

「今日は楽しかったわ。陛下に無理を言って来てよかったわ。アンヌロールさんも突然驚かせてごめんなさいね。」

「またのご行幸をお待ちしております。」

「これはあなた達へ。私からの気持ちよ。」

王妃から渡されたのは指輪だった。

「おっ、王妃殿下! それは!」

おばあちゃんが慌てている。珍しいものなのかな?

「ただの指輪よ。公式行事の時にでも着けておくといいわよ。」

しかも五つある。セルジュ君のこともリサーチ済み、当然か。ますますこの王妃が好きになってしまったな。

「ピュイピュイ」

おっ、コーちゃんもかい? さっきまで空気を読んで隠れてたのに。王妃が帰る段になって姿を現した。なるほど、ラグナのとこにいたんだね。

それから王妃一行は帰っていった。まるで台風一過だな。おばあちゃんも放心状態だ。さぞかし疲れたことだろう。通常国王などの行幸と言えば数ヶ月前には決まっており、入念に準備しておくものだよな? そしてすごいのはマルグリット伯母さんだ。おばあちゃんは王妃に付きっ切りだったからな。王妃を応接室に案内する前、一瞬だけ二人の視線が交錯したように見えた。その一瞬で打ち合わせを済ませたのだろう。私は王妃殿下を歓待します、だからあなたは昼食の采配をしなさいと。

王族の昼食を大胆に庭で行うなど、思いついてもそうそう実行できるものではない。それこそ入念に準備をした園遊会ではないのだから。今さらながら貴族とは……大変だ。