軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

172、四回戦

あーよく寝た。やはりアレクの膝枕は最高だ。傍目には私が女の子に囲まれているように見えただろうな。昼休みに女の子に囲まれて弁当を食べてキャイキャイお喋りして膝枕で 高鼾(たかいびき) か。嫉妬で人が殺せたら……なんて呟きが聴こえてくるようだ。別にハーレムというわけではないのだが。

『四回戦を行います! 抽選を行いますので武舞台に集まってください!』

これに勝てば残り十六人、決勝トーナメントだ。

私は三、アレクは六。そろそろ当たってしまいそうだな。

『四回戦第一試合、第二試合を行います! 番号札一から四番の選手は武舞台に集まってください!』

私の相手は四番を引いた選手だ。女の子か。

「貴様のように女を物としか思ってないような男は許せん。成敗してくれる。」

何か言われてしまった。断じて私はそんなことはない。私の心にはアレクしかいないのだ。面倒だから反論はしないが。

「ふん、反論もできぬのか。そのような流行りの服装で勝てるとでも思っておるのか!」

この服装だから勝てるんだよ。まあいいや、対戦すれば分かるだろう。

『第二試合を始めます! 双方構え!』

『始め!』

「先手は譲ろう。好きに撃っ『狙撃』

そりゃ撃つに決まってんだろ。何余裕かましてやがんだ?

ほらほら倒れてないで起き上がれよ。まだ 脛(すね) を撃ち抜いただけだぞ?

でも降参しないのね。ならば『水球』

場外に落としてやろう。

『勝負あり。カース選手の勝利です。』

次はアレクだ。見ておこう。

勝った。一安心。

いよいよ決勝トーナメントか。ここからはいつ当たってもおかしくない。

『四回戦が全て終了いたしました! 勝ち残った十六名が決勝トーナメント進出となります! では一回戦の抽選を行います!』

私は六、アレクは十二だった。まだ私達は当たらない。ドキドキだな。私の出番は第三試合か。

「カース君、私の番号札……五番だったんだ。お手柔らかにね……」

ソルダーヌちゃんか。第三試合まで少し時間があることだし、この際だ。話してみるか……

「ねえ、ソルダーヌちゃんさぁ。本気で側室とか言ってるの? アレクに張り合ってるとかじゃないよね?」

「もちろん本気よ。確かに一目惚れってわけじゃないけど。自分でも分からないわよ! カース君だってドンドン魔力が増えてるんでしょ? なら私の気持ちがドンドン盛り上がってもおかしくないでしょ!?」

何だそれ? 上手いこと言ってるのか?

「それにしたって、王族とか公爵家とかと婚約するって話じゃなかったの?」

「仕方ないじゃない! カース君に比べたらどいつもこいつも物足りないのよ! だってカース君って報復で北の城門を壊したんだよね?」

「あー、まあね。でも確かあの時はお代官様からの依頼だった気もするよ。で、それがどうしたの?」

「アレックスのためならそこまでするんだよね? フランティア騎士団に囲まれても一歩も引かなかったって……」

何か誤解がある気もするが。確かにアレクのためなら誰を敵に回しても引かないだろう。

「とにかく、そんなカース君に比べたらみんな詰まらないの! 昨日だって魔法なしで準優勝だし、今日だっていきなりあんなことしたでしょ?」

「ああ、あれね。何か変な奴らに絡まれたからさ。ついでに周りもぶっ飛ばしてみただけだよ。何でもアリだからね。」

「それよ。そのぶっ飛んだ思考。そこに痺れるの、イカしてるのよ。正直なところ、こうして会っていない間は平気だったの。でももうダメ……アレックスの許可は貰ったし。どうにか第二夫人の座は貰うわよ。」

何だかなぁ〜。そりゃソルダーヌちゃんはアレクほどではないが美人だ。それに四女だから面倒なことも少ないかな? ダミアンの妹ってのはキツいが悪くはない。まあ当分放置だな。

「言い分は分かった。実はアレクが卒業したらあちこち旅に出るつもりだから、結婚とかはその後だね。いつ帰ってくるかも分からないしね。」

「ちょっと何よそれ! どこに行くの!? 私だって行きたいわよ!」

「行き先は未定だよ。南の大陸とか、北の山岳地帯とか。色々行くつもりだけど。」

「それよ! そのぶっ飛び具合よ! まともじゃないわよ! 本気でアレックスが羨ましいわ。」

そう言われてもな。旅は二人きりがベスト。実際にはコーちゃんとカムイも連れて行くけど。

『第三試合を始めます。武舞台に集まってください。』

「行こうか。僕にはアレクしか見えてないけど、戦い次第で変わるかも知れないよ。」

そんなことはないと思うが。

『双方構え!』

『始め!』

まずは様子見だ。先手を譲ろう。

『燎原の火』

いきなり上級魔法かよ。武舞台上が火の海になっている。ならば真面目に対処しよう。『水球』私の周辺だけ消火する。次は何だ?

『闇雲』

『風斬』

ほう。武舞台を闇雲で覆ってから風斬乱れ撃ちか。先制にはいいかも。せっかくだからしばらく動かず待ってみよう。他にどんな攻撃をしてくるんだろう?

『火矢』

おお、雨のように火の魔法が降ってくる。お互い暗闇の中だから無差別攻撃ってわけか。面白いな。

私は魔力探査でソルダーヌちゃんの居場所が分かっているが、向こうはどうするつもりなんだろう? だいたいの居場所には当たりを付けているようだが。

うん? こっちに近寄っているようだが……

『燎原の火』

また上級魔法か。私の周囲には水壁を張っているから影響はない。何をするつもりなんだ? せっかくの闇雲が散ってしまうぞ?

なっ! 突然彼女の反応が三つに増えた!? 私を取り囲むように同じ魔力の反応が、私の居場所を把握しているかのように突っ込んでくる。そのうち一つは水壁前で止まっているが残り二つが水壁内にまで入ってきた! 少し気が引けるが虎徹でぶん殴る。

なっ! すり抜けた? 闇雲の中だから目測を誤った? そんなはずがない。あれだけの魔力なんだから間違うはずがない。

『風斬』

『風斬』

この距離で左右から攻撃か。厄介なことを……

自動防御は反応している。少し焦ったぞ。むっ、正面からも来た。

『豪炎』

杖だけ水壁を通してそこから魔法を撃ってきたのか。またまた上級魔法か。こんな狭い範囲に使うとは、左右の二人ごと焼き尽くすつもりか?

いや、左右の二人も同じ魔法を使っている。豪炎を三つ、一ヶ所に集中させるなんて……火力だけならアレクより上か。

「これでもダメなのね……」

もちろん自動防御できっちり防いでいる。

「いい攻撃だったと思うよ。どうやって三方から攻撃したのか分からないけど。」

「もう魔力がないわ……私の負け……」

そう言って倒れこむソルダーヌちゃん。仕方ない、肩ぐらい貸してやるか。戦いが終わったらノーサイドだからな。その前に闇雲を散らしておこう。『風操』

「さあ、降りようか。捕まって。」

「肩だけ? どうせならしっかり抱き上げて欲しいものだわ。」

そんなことを言いつつも素直にもたれかかってくる。そして武舞台の端辺りで……

「ごめんね。」

私を武舞台下へ突き飛ばした。さすがソルダーヌちゃん。最後まで諦めてない。下に落ちそうになった私は落ち着いて『風操』やや浮かび上がってさらに『風操』

ソルダーヌちゃんを場外へ運ぶ。

『勝負あり!』

いくら負けを認めても、それは闇雲内での話。審判、はいないけど、実況が勝敗を宣言していないのだから勝負は終わってない。だから私は肩を貸して端まで運び、そこで場外へ突き落とすつもりだったのだ。同じことを考えているとは……少し見直した。

アレクは服が何ヶ所か破れており、苦戦したようだが、勝っていた。

さて、いよいよ決勝トーナメントだ。