軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

125、ヘビーガールズトーク

屋敷内に戻ってみても相変わらずおじいちゃんはご機嫌だった。おじいちゃんと一緒に酒を飲んでいるコーちゃんもご機嫌だ。だから私もご機嫌だ。

「ちょっとカース、どこ行ってたのよ!」

「姉上と散歩かな。姉上はこのまま帰るからみんなによろしくって。それよりお風呂に入りたいんだけどいいかな?」

「エリ姉帰ったんだ。お風呂ね、いいわよ! 私が案内してあげる!」

メイドさんの仕事を奪うのは感心しないな。

案内された風呂は少し高級な温泉宿のようだった。石造りで十人ぐらいなら同時に入れそうだ。少しいい香りがするな、柑橘系か。

「いい香りがするでしょ。うちではたまにこうやって果物を入れるのよ。」

「これはいいね! お姉ちゃんありがと。じゃあ入るとするよ。」

「ピュイピュイ」

コーちゃんはシレッとこっちに来たが、まさかおじいちゃんが乱入してくることもあるまい。のんびり浸かろう。ちなみに魔力はまだ空っぽだ。わずかに回復した分を先ほど姉上と使ってしまったからな。ちょっと気分がよくない。

ここの風呂は普段私が魔力庫に入れっぱなしにしてあるマギトレントの湯船より小さい。しかしそれはそれで風情があっていいってもんだ。アレクも今頃お風呂かな? 明日が楽しみだ。

その頃、ゼマティス家の他の面々は各々自由に過ごしていた。

祖父アントニウスは書斎にて調べ物。カースのせいで余計な仕事が発生してしまったのだが楽しそうだ。

祖母アンヌロール、イザベルの兄嫁マルグリット、そしてその長女アンリエットはティータイム。やはり話題はカースとエリザベスのようだ。二女シャルロットも同席しているが、内心ではどうやって風呂に突撃しようかとソワソワしていた。

二男ギュスターヴは自室から出ていない。そのまま寝るのだろうか。

「ねぇ姉上……カースの落雷、覚えてるわよね……どう思った?」

「そうね、すごい威力だと思うわ。ホリゴルが避雷を使ってるのを分かった上で段々威力を上げていってたし。実験でもしてたのかしら?」

「避雷は避雷なんだから何度撃っても効かないのにね。バカなヤツよね。」

「そうかしら? 愚直な男って素敵じゃない。ねえ母上?」

「どうかしらね。結局カース君は勝ったのよね? ならそれが全てじゃないかしら? 優雅な敗者と愚直な勝者。どちらが優れてるのかしらね?」

「で、でもでもあいつ小さいしあざといし……」

「シャルロット、心配しなくても取ったりしないわよ? 今私が欲しいのはウリエンさんだけ。カース君が欲しいなら頑張ってみれば? まさに今なんかチャンスじゃないの?」

「姉上っ! 私は、そんな……」

「はいはい、そこまでよ。あなた達はゼマティス家の女なんですから。欲しい男がいるのなら勝ち取りなさい。本当は孫同士で戦って欲しくなんかないんですけどねぇ。全くこの子達は……」

「でもおばあちゃん、私だってイザベル叔母様みたいに名をあげたいもの。だったらエリザベスぐらい勝てなきゃね。」

「エリちゃんは強いわよ? 約束の日まで半年と少し。勝ち目は見えたの?」

「母上……それがあんまり……でも諦めないわ。あんなイカれた女にウリエンさんは渡さないんだから。」

「アンリエット。甘えたこと言ってるんじゃないわよ? 勝ち目がないなら作りなさい。罠に人質、それから毒……は効かないわね。どんな手でも使いなさい。貴族とは勝者のことを言うのよ。敗者、それはもう貴族ではないわ。ですわよね、お義母様?」

「その通りよ。ゼマティス家の名で勝負する以上、負けは許されないの。勝ち目がなければ逃げなさい。」

シャルロットはなぜこんな話になったのかと思案しながら青い顔で聞いていた。ヘビーなガールズトークである。