軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

122、アンリエット・ド・ゼマティスと親衛隊 ※

私と姉上が対戦後、和やかに話していたら上級貴族オーラを漂わせた女の子が現れた。

「また決闘でもしてたの? 全くエリザベスは……シャルロットも一緒なのね。」

「違うわよ。ちょっと弟に稽古をつけてあげようとしたらコテンパンに負けただけよ。」

「弟? じゃあカース君ね? 私はシャルロットの姉アンリエットよ。よろしくね。」

「初めまして。エリザベスの弟、カース・ド・マーティンです。昼前にゼマティス家に顔を出したところです。」

シャルロットお姉ちゃんと比べて少しおっとり系かな? 顔はほぼそっくりだが。取り巻きの男を何人も連れて……モテモテなんだな。

「どうしたエリザベス? いつもあれだけ調子コイてるくせに」

「弟に負けたって? 虐殺エリザベスも大したことないんだな」

「これに懲りたらアンリ様に逆らうなよ?」

何だこいつら?

いきなり姉上に何言ってんだ? ムカつくな。

「ねぇねぇお兄さん達ってやっぱり姉上より強いの? すごいんだね!」

「え、あぁまあな」

「僕らはアンリ様の親衛隊だからな」

「アンリ様に鍛えていただいてるしな」

「凄ーい! 羨ましいなー! 僕も鍛えて欲しい!」

「ちょっとカース、さすがにあざといわよ! エリ姉をバカにされて悔しいのは分かるけど。」

ちっ、余計なことを。この手のタイプの野郎ってのはワンパターンだからな。ああやっておだてれば簡単に引っかかるところなのに。

「おっ? お姉ちゃんをバカにされて悔しいのか?」

「悔しいんだったら相手をしてやろうか?」

「いい勉強になるかもな」

こいつはラッキー! わざわざ向こうから乗ってくれるとは!

「ありがとうお兄さん達! 度量が大きいんだね! 僕嬉しいよ!」

そして位置に着く私と見知らぬ兄ちゃん。コーちゃんは姉上のところに行ってもらった。「ピュイピュイ」

お姉ちゃんが合図をしてくれるようだ。面倒見がいいね。

「双方構え! 始め!」

『風弾』『風弾』『風弾』

先手は譲ってみた。私は自動防御のみでボケーっと待っている。その間も色んな魔法を撃っているようだが私の防御が破られる気配はない。そんな実力でよくもまあ姉上に向かってあんな口を叩けたもんだな。

「くそっ、どうなってやがる!」

「どうしたの? お兄さんってもしかして弱いの?」

姉上はニヤニヤしながら見ている。趣味が悪いぞ。お姉ちゃんはハラハラしているようだ。私がやり過ぎるのが心配なのか?

「くらいやがれ!」『豪炎』

おお、上級魔法か。しかしここは我が家じゃないから全然構わない。私の自動防御は優秀だ、直撃はおろか余熱すら通さないんだから。

では終わりといこうか。『落雷』

「なはぬっ」

気絶で済む程度の威力のはずだ。大丈夫だよな?

「ちょっとカース、ダメじゃない。もっと手加減してやりなさいよ。」

姉上も相当ムカついていたようだな。ここぞとばかりに反撃している。じゃあ私も。

「親衛隊って弱いんだね。これじゃあ稽古にならないね。帰ろうかお姉ちゃん。」

シャルロットお姉ちゃんは自分を巻き込むなって顔をしている。

『落雷』

私目掛けて雷が落ちてきた。貴族にしては不意打ちとは珍しい。誰だ?

「次は僕だ!」

やってから言うなよ。効いてないけど。

『 雷雲(かみなりぐも) 』

おお! 上空に黒い雲が集まって来た! 天候系は難しいのによく頑張るな。

「くらうがいい!」

『 百雷(びゃくらい) 』

「まだまだぁ!」

『 千代雷(ちよみかずち) 』

これはすごい! 絶え間なく、そして同時にいくつも雷が落ちてくる。ダメージはないが何も見えない。視界は真っ白だ。そもそも私に雷は効かないが、この隙に他の魔法を使われたら困るから自動防御は解かない。

上空に雷雲があるから雷を落とし放題なのか。

ん? それってもしかして……

『落雷』

私も使ってみたら、いつもの三倍ぐらいの威力になっていた。そりゃそうなるわな。

しかし効いてない。さては『避雷』を使っているな?

ならば実験をしてみよう。避雷は本物の雷でさえ遮断する優れた魔法だ。ならば本物より強力だったら防ぎきれるのだろうか?

確か雷は数万アンペアの数億ボルトぐらいだったはず。先日グリフォンに落として効かなかった落雷がそのぐらいだったか。ではまずはそのぐらいからやってみよう。『落雷』

やはり効いていない。周りに多少被害は出ているが、ここは広いから構わんだろう。

では三倍でいってみよう。『落雷』

「なかなかやるじゃないか。しかし僕に雷系は効かないよ?」

すごい。まだまだいけるな。十倍で『落雷』

これはだめだな。ただでさえうるさい落雷がさらにうるさくなってしまった。消音とセットで使おう。

彼は無事だが周囲は焦げている。なのに焦げ臭いのとも違う変な匂いだ。

「……ふ、ふふ、き、効かないよ……」

じゃあ二十倍でいこうか。そろそろ雲がなくなりそうだ。『落雷』

砂埃が晴れるとお兄さんは……

気絶していた。なぜだ?

彼に近付いてみると、その周辺がかなり熱かった。雷は防げても熱までは防げないってことか。ついでに三人目の兄ちゃんにも軽く落としておこう。『落雷』

魔法学院生なんだからあれぐらいで死ぬなんてことはないだろう。ただのアンリエットお姉さんの威を借る狐ってこともないだろうし。

思うに私の魔法の使い方だが、やはり効率がよくないようだ。確かに魔力を込めればいくらでも威力は上がるが、二倍の威力にするのに消費した魔力が四倍ぐらいありそうなのだ。最後の二十倍の落雷なんて四百倍ぐらい消費したように思える。普通の落雷を四百回落とした方がよっぽど効果がありそうな気がするのだが、どうなのだろうか。

「ね、ねえ姉上、カースの魔力ってかなり高いみたいね……そろそろ夕方だし帰ろうよ。」

「そうね……彼らもいい薬になったんじゃないかしら? エリザベス、あなたはどうする? たまには夕食ぐらい食べに来ない?」

「そうね。半年ぐらい顔を出してなかったことだし。たまにはお邪魔しようかしら。」

年上の女性ばかり三人。これで馬車に乗れば天国なのか地獄なのか。