軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

2、領都ギルドにて

そんな夜を過ごした翌日、アレクとギルドにやってきた。どうやら最近のアレクはスランプらしく、何か取っ掛かりが欲しいそうなのだ。

さすがに領都だけあって建物は大きいし、依頼の数は多い。しかしその内容が雑用にしか見えないのが難点だ。例えば……

・犬の散歩、銅貨二十枚

大きくなりすぎて散歩に連れ出すことができないので、散歩を頼みたい。

・家庭教師、銀貨一枚

このままだと進級できないので魔法を教えて欲しい。

・掃除、銅貨十枚

庭に落ち葉が溜まりすぎて手が出せないので、きれいにして欲しい。

……ロクな依頼がない。

ちなみに私は今まで一件も依頼を受けていないので、未だに十等星だ。アレクは九等星に昇格しているし、オディ兄も八等星になっている。

「何かやりたいのはある?」

「やっぱりカースもいることだし討伐系にするわ。北の山、カスカジーニ山でゴーレムを狙うわよ。」

そう言ってアレクは受付に向かった。

「ねえねえ君もゴーレム狙いなの? 俺達もなんだ。一緒に行こうよ。俺達ってゴーレム狩りには慣れてるし、今後の勉強にもなると思うよ?」

「そうそう新人さんだよね? 勉強しといた方がいいよ〜?」

「ゴーレムは強いよ? 無理しない方がいいと思うけどね」

私は無視か。アレクはかわいいから声をかけられるのも仕方ない。が、許せんな。

「アレク、早く受付を済ませておいで。」

「ええ、待っててね。」

「おいおーい、彼女には俺達が声かけたんだぜ? お前なんかお呼びじゃないぜ?」

「お子様は帰った帰った。ゴーレムはつえーぞ?」

「釣り合いってもんを考えな! お前みたいなガキが連れてっていい女の子じゃねーだろ?」

ひどい言われようだな。明らかに私の連れなのに奪えるとでも思ってるのだろうか。面倒だな。

「お待たせ。行くわよ。」

「よし、行こうか。」

「おい待てよ。せっかく俺達が声かけてやってんだぜ? こんなチャンスないぜー?」

「そうそう。新人さんは素直に勉強させてもらいな」

「無視して行くとは感心しないな。何か一言あってもいいんじゃねーか?」

「あー、用はないから帰っていいよ。お疲れ。」

「ふざけんな! 見ねー顔だがモグリだろ!」

「新人が調子乗ってっと大怪我すんぞ!」

「行きたいんなら俺らを倒して行きなぁ!」

ちなみに私達は冒険者歴三年、さすがに新人ではない。

「いいのか? じゃあ訓練場に行こうか。稽古をつけてくれよ。」

「ほう、いい度胸じゃねぇか。ただじゃ済まんぞ?」

「あーあ大怪我で済んだらいいなぁ?」

「いくら賭けるんだ? 銅貨一枚か? ぷぷっ」

「賭けていいのか? お前ら金持ってんのか? 貧乏そうだが。」

「俺らは七等星だぞ! お前みたいな新人と一緒にすんな!」

「俺がやってやんぞ! 金貨十枚だ! 持ってんのかよ!?」

「いや、俺がやってやらぁ! 有り金出してみやがれ!」

私の有り金は白金貨なんだが……まあいいか。

「ほれ、金貨十枚でいいや。誰からやるんだ? この子に金貨を渡しておきな。」

そう言って訓練場に移動してからアレクに金貨二十枚を持たせる。勝った方の総取りだ。

「俺はカース、お前は?」

「ニルチッサだ! コンツァルトのメンバー、天風のニルチッサだ! 謝るなら今のうちだぞ!」

「分かったから早く来い。」

「舐めんなガキぁ! 死にやがれ!」

ニル何とかは素手で殴りかかってきた。なら私も素手でお相手しよう。

えらく素直に右手で殴りかかってきたものだから右の脇腹がガラ空きだった。左の回し蹴りが見事に命中。いつかのゴモリエールさんのような恐ろしい回し蹴りにはとても及ばないが、蹴りだって磨いているのだ。

加えて私のブーツはサウザンドミヅチ製なので安全靴で蹴るようなもの、一撃で終わりだ。

「まだやるのか? やるなら言え、三、ニ、一……」

「やるに決まって」

頭を蹴り飛ばす。倒れ込んでいるので、ちょうどいい高さに頭があったのだから仕方ない。

「やっと終わったね。さあ行こうか。」

「待てや! 何卑怯な手を使ってんだよ!」

「それでも冒険者かよ! 逃げるってのか?」

「何だ、まだやるのか? 次はどいつだ?」

今のどこに卑怯な要素があったのやら。

「やるんなら金貨十枚出せよ。無いんなら貸してやるがな。」

「俺がやってやらぁ! 風向のヌールズだ!」

金貨十枚をアレクに向かってぶん投げて私に掛かってきた。こいつも素手だ。『風弾』

おっ、魔法を使ってきやがった。しかし辺境伯の六男よりしょぼい魔法だ……防御するまでもなく外れている……

しかも魔法を使うなら近寄って来なくていいのに。わざわざ近寄ってきたので右のローキックが膝に命中、もちろん倒れ込んだので頭を蹴り飛ばして終わりだ。

三人目もやるのかと思ったら、アレクの水壁に囚われていた。まさか人質にでもとろうとしたのか?

「お疲れ。私を狙ってきたから捕まえておいたわ。どうする?」

「やっぱりアレクに油断はないね。えらい! じゃあこいつにも金貨十枚払わせないとね。」

いつも通り頭だけを水壁から出してもらってぶん殴る。

「おい、起きろ。女の子を狙ってあっさり負けるって恥ずかしいな。負けたんだからオメーも金貨十枚払えよ。」

「くっどんな卑怯な手を使いやがった! 俺は認めねーぞ!」

「この状況でよく言えるな。時間の無駄だから……」

殴る。ジャブ、フック、ストレート。水壁があるのでアッパーは無理か。黙々と殴る。何か言っているがよく聞こえない。早くしないと歯が全部なくなるぞ。

「あー疲れた。手が痛いからもう殴らんぞ。払いたくなったか? 次はこれで叩くからな。」

私は虎徹を取り出して見せびらかす。何か言ってるがよく聞き取れない。だから叩く。さすがにかなり手加減している。

「ねぇカース? この人喋れないんじゃないかしら?」

「そうなのかな? おい、何とか言えや。喋れないんなら金貨十枚出せ。そしたら水壁を解いてやるからよ。」

震える手で金貨を取り出した。喋れないんなら喋れないって言えよ。馬鹿が。

「やっと終わったね。この金貨十枚はアレクのだね。貰っておいて。水壁が一段と強力になってる。あれは破れないよね。」

「うふふ、ありがとう。まだ首席とはいかないけどそれなりに頑張ってるのよ。」

三位だって言ってたな。それも僅差で。遅くなったけどゴーレム狩りにいざ出発だ。