軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

340、反撃のクタナツ人

無事クタナツに帰り着いた私達は急いでアレク宅まで走った。さすがに街の中を飛ぶのはやめておいた。

我が家にはメイドさんに行ってもらった。母上か父上を呼んでもらうのだ。

珍しくアレクサンドル家には両親が揃っていた。

私は頭を下げる。

「お嬢さんを領都まで連れ出した挙句、危険な目に遭わせてしまいました。申し訳ありません。」

「違うわ! カースは私を守ってくれたのよ! 私は傷一つ付いてないわ!」

アレクママはため息をつきながら発言する。

「あらあら、勘違いしているようね? アレックスが欲しいならあげると私は言ったわね? そしてあなたは欲しくなったと言った。つまりアレックスはすでに私の娘であって娘でない、あなたのものよ。あなたが守ったのならそれでいいわ。」

「お、おいアルベルティーヌ? それはさすがに……そもそも今回の問題は……」

アレクパパは困惑気味かな。

「ええ、分かっておりますわ。辺境伯家はクタナツの発展が目障りとでも言いたいのかしら? 短慮ね。ヤコビニ派も片付かぬうちに気が早いことだわ。」

なるほど。クタナツの発展がうなぎ登りだから楔を打っておきたいのか。アレクをゲットすれば女婿として五男でも六男でも送り込めるってことだな。ついでにアレクサンドル家とも縁続きになって万々歳ってか。こんな当たり前のことも考えず呑気に……私は……

「今回の件はお代官様にも伝えておく。正式に縁談を申し込んでくるならともかくこのやり方は宣戦布告に等しい。人数では領都が圧倒的だが、練度・強さではこちらが上だ。あっさり負けることはないだろうが、厳しい戦いになりそうだ。」

戦うのは確定かよ……

そのような話をしていると母上が到着した。

「夜分に恐れ入ります。大変なことが起こったそうで。」

「ド・マーティン夫人。ようこそのお運び畏れいる。まずは事情を聞いていただこう。」

確認の意味も込めて、私から事情を説明した。辺境伯邸での六男の蛮行からだ。

「そう。大変だったのね。よくアレックスちゃんを無事に連れ帰ったわね。えらいわ。それだけで充分よ。それでこそクタナツの男ね。」

「母上……」

母上に褒められると嬉しさが沁みるんだよな。少しウルっとしてしまう。

「カースは……大勢の騎士を相手に一歩も引かずに私を守ってくれたんです。ひたすら毅然と!」

「うふふ。よかったわね。それもある種の女の幸せよね。さて、アドリアン様。もし領都を丸焼きにしたくなったらお申し付け下さいね。カースがやりますわ。」

私がか。やれないことはないが……さすがに市民ごと丸焼きは……

はっ! そう言えば以前、毒を盛られたとしても死んだ方が負けだと聞いた。落とし前もつけずやられっぱなしだと貴族としては死んだも同然なんだな!

ならば私が行動するべきことは……

「騎士長! 今から行ってきます! 丸焼きにする気はありませんが、城門と周辺の城壁ぐらいは破壊してきます!」

「まあカースったら気が早いのね。でもクタナツ男はそうでないとね。どうかしらアドリアン様? ついでですからお代官様の書状でも届けさせたらどうですか?」

そういえばアレクパパはアドリアンって言うのか。ごっつい見た目と違ってカッコいい名前だよな。

「ふむ、妙案ですな。脱出から半日も経ってないうちにクタナツ代官に全てを知られたことを示す……迂闊に攻めてこれなくなるでしょうな。」

「私は反対よ。子供を巻き込むなんて! それから騎士長ではなくお義父さんと呼びなさい!」

アレクママが優しい、のだが今その話は……

「本音を言えば私も反対だ。しかしカース君の気持ちと今後のことを考えればやらない手はない。まずはお代官様にご報告申し上げ判断を仰ぐ。カース君、一緒に来てくれるか?」

「はい。行きましょう!」

「カース! 行ってもいいけどちゃんと帰って来るのよ!」

アレクがそう言って抱きついてきた。アレクパパの目が痛い気がする。

「ウォッホン! いいかね? 行くぞ!」

こうして私達は代官府、代官執務室へと移動した。