軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

337、エリザベスと新しい魔法

三人でテクテク歩いて魔法学校の寮に到着。ソルダーヌちゃんは馬車で来たのだが、私が乗りたくないので帰してもらった。

姉上はアレクが部屋まで呼びに行ってくれるそうだが、少し実験したいことがあるので待ってもらった。

『魔力探査』

周囲の魔力をレーダーのように探知する魔法だ。これで姉上を検知できるかを確かめたいのだ。ただし、姉上の部屋は五階なので私も少し高度を上げないといけない。熟練しないと水平方向にしか探知できないんだもんな。

『隠形』『浮身』

だいたいの部屋の場所は聞いているが……

居た! 一人だけやたら大きい魔力。こんなに他と差があるのか……

さて、実験はここからだ。頭の中のレーダーに映ってる姉上の魔力に私の魔力を送り込む……できるか? ある意味ポケベルだな。

くっ、魔力がダダ漏れだ……難しいな……

おっ反応あり! なるほど、姉上の魔力が強いから魔法防御を突破出来なかったのか。

次の瞬間、水球が私目掛けて飛んで来た。自動防御が揺れる、結構魔力が高いやつだ。隠形を使っているのに……

そして姉上も飛んで来た。部屋の窓から飛び出してきたのだろう。

「カース! アンタねぇー! そんな気持ち悪い魔法どこで覚えたのよ! それに魔力を無駄遣いし過ぎ!」

「あはは、ごめんごめん。ちょっと実験してみたかっただけなんだよね。とりあえず降りようよ。」

そう言って私はサンダルを出す。私のオリジナル品、魔境で風呂に入るときなどに愛用している。

「いや、いいわ。部屋に戻って着替えて出て来るから。」

そりゃそうだ。この冬に部屋着では寒いしね。

五分も経たないうちに姉上は出て来た。

「アンタねぇー、せっかく面白い魔法を教えてあげようと思ってたの……げっ、辺境伯のお嬢様! あーアレックスちゃんのお友達なのね。はじめまして。カースの姉、エリザベス・ド・マーティンです。」

「お初にお目にかかります。辺境伯家四女、ソルダーヌでございます。この度はお詫びに参りました。」

「お詫び? どういうこと?」

「まあまあ大したことじゃないから近くでお茶でもしながら話そうよ。」

私達は魔法学校付近のカフェで姉上に事情を説明した。

「なるほどねぇー。大したことあるじゃない! 五男、六男はまともだと聞いてたけど噂なんて当てにならないのねぇー。でも分かったわ。私が何かすることもないけど。それよりカースよ! あんな気持ち悪い魔法使って!」

この後散々文句を言われたが、件の面白い魔法とやらを教えてもらった。偶然やることは同じだったのだが、魔力の無駄遣いをしなくていいのは助かる。『発信』と言う魔法だ。魔力探査に反応した相手に魔力を送りノックをするイメージだ。ただし、あらかじめ両者の魔力をお互いに確認しておかないと先程の私のように魔力で無理矢理補う羽目になる。マジでポケベルに近いな。それだけに応用が広がりそうだ。

それより私が気になるのは、先ほどの水球だ。

「それより姉上さー、さっきの水球だけど、こっちが見えてないのに撃ったよね? どうやったの?」

「ふっふっふー。恐れ入った? どうせカースだろうと思って強めに撃ったのに無傷なのは気に入らないけど。あれは『自動追尾』よ。私が考えたんだからね! 詠唱なんかないわよ。」

「すごーい! さすが姉上! カッコいい! 兄上もきっと惚れ直すよ!」

本当にすごい! ホーミングの魔法か。何てエゲツない……

「ふふふっ、そうでしょうそうでしょう。これで私と兄上の仲を邪魔するクソ虫どもを全滅させてやるのよ……」

あーあ、さっきまでアレクもソルダーヌちゃんも姉上を尊敬の目で見ていたのに。ドン引きだよ。

「ゴホン、まあそのうちカースにも教えてあげるわよ。魔力探査ができるなら簡単かもね?」

なるほど。レーダーを利用するのか。できそうだ。これと狙撃を組み合わせたら凄いことになりそうだ。よし、これでもう憂いはない。今度こそデートをしよう。