軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

304、カースとスティード

九月末。学校は相変わらず選択授業だ。

体育の時間にスティード君が。

「久しぶりに心眼の稽古に付き合ってくれない?」

夏休み以来やってないもんな。

「いいよ。やろうか。」

二人で校庭の隅に行き、目隠しをする。使うのはもちろんスライムソードだ。

夏休み中も何度かやった、二人とも目隠しバージョンだ。もちろん私が圧倒的に負け越している。と言うか勝ったことなどない。

しかし今日は違う。具体的には分からないが気合が違う、ように思う。

「じゃあ行くよ。」

スティード君の声がかかる。

「よし来い!」

今日の私は威勢だけはいい。

いきなり私の脳天に面あり一本。しかし私も胴に反撃。たぶん一本。

離れるスティード君。少しだけ気配が分かるようになってきた、気がする。

ここでがむしゃらに攻撃してはダメだ。心を落ち着けて気配を読まねば。

今日はなぜかスティード君の足音が聞こえる。私の右前にいるな? 私は先程から一歩も動いていない。気配を消しているつもりなのだ。

ゆっくりこちらに近寄っているようだ……

動いてなくても私の場所は分かってしまうのか……

ならば先制! 素早く、そしてコンパクトに打ち込む。当たった! 位置的には小手だろうか。

すぐに反撃が来る、突きを肩にくらった!

やはり当たった瞬間はこちらの位置を悟られてしまうな。まあいいや、無心でやろう。

『我が心既に空なり、空なるが故に、無』

なんてな。

こうして三十分ほど稽古をしたわけだが、私の感覚では引き分けだ。私も成長しているってことだな。

「カース君すごかったね。途中から気配が感じにくくて困ったよ。」

「いやー上手くいったのかな。今日は引き分けだよね。初めてだね!」

「すごく上達してたね! 僕も負けられないよ!」

実際には気配を探っているのか音を頼りにしているのか自分でも分からない。そもそも気配とは何かが分からない。

でもスティード君が言うならそうなのだろう。少し自信を持てそうだ。

無尽流に入門できればあれこれ教えてもらえるのだろう。楽しみだ。

前世の経験からすると一人で勉強するより誰かに教わった方が習得が早いもんな。

必殺技とか奥義とかあるんだろうか。

『無尽流奥義 心眼剣一の太刀 星流れ』

なんて、あるわけないか。

いや、しかし『必殺地獄突き』とか言いながら小手や足を狙うのはアリかも知れない。

左手一本で相手をしてやると言いながら蹴るパターンだ。私が食らわないように気をつけよっと。

嘘に決まってんじゃねーか。アホですかアンタときたもんだ。