軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

282、ゲットバック3

北に向かった私達はグリードグラス草原の東端に来ている。中央より東は開拓されていないので馬車では容易に通過できない場所だ。

しかし中央から以西は開拓が進んでいるため目立つ。逃亡ルートには選びにくいはず。

よって中央からやや東を通過するのでは、と判断してみた。

そしてグリードグラス草原東岸とヘルデザ砂漠南東岸の間で海から来るヤコビニ派と合流を狙う、そんな可能性に賭けてみた。

そのため東端から何度か往復する覚悟でしらみつぶしに探すのだが……

ゆっくり飛んで一往復するのにおよそ一時間。まだ何も見つからない。所詮私達のような子供の推論などこの程度か。普通に西に向かって騎士団に捕まってたりするのだろうか。それならそれでいいのだが。

「いなかったね。もう一往復してみようか。」

「そうね。それで見つからないのなら普通に西にでも逃げてると考えていいわね。」

アレクは『逃げてる』か。そりゃそうだ。

ん? グリードグラス草原の中東部、南からの馬車が来ている……豪華な馬車だ!

「あれかな!?」

「きっとそうね。カースの読みが的中ね。」

あまり素直には喜べないが、皆殺しにされる前でよかった、よな。

私達は隠形をしたまま馬車に後ろから近付き、いきなり屋根に銀ボードで着陸する。

突然屋根に何かが落ちて来たらそりゃあびっくりするだろう。御者をしていたサンドラパパがこちらを振り向く。

「こんにちは。妙な所で会いましたね。」

「こんにちは。お久しぶりですわ。おじ様。」

馬車の上からでも挨拶は欠かさない。

おじさんからの返事はない。夢だとでも思っているのか? ならば仕方ない、止まってもらおう。

『風操』

強力な向い風で立ち止まってもらおう。

さて馬車は止まったし、おじさんは御者席から転げ落ちた。

私達はドアを挟むように位置し、ゆっくりと開ける。馬車が急停車したので中はちょっとした惨事になっていた。 サンドラママと弟二人、そしてサンドラちゃんと見知らぬ執事服の男。ムリス家に執事はいなかったはず、こいつが元凶か!?

ひとまずそいつを拘束しておく。そしてサンドラちゃんの介抱をしなければ。

介抱というほどのことはしてないが状況は落ち着き、サンドラちゃんも目を覚ました。

「災難だったね。何事だったの?」

「助かったわ。いつもありがとう。絶対来てくれるって信じてたわ。」

「遅くなったかな? タティーシャ村にも行ってたもんでね。」

そこにアレクも合流する。

「無事でよかったわ。怪我はない?」

「うん、アレックスちゃんもありがとう。本当によく見つけてくれたわ。」

「その辺の話は後でするとして、あの男は何者?」

「借金の取立屋よ。父上が金貨五万枚の借金をしたんですって。」

それは聞き捨てならないな。やはり私以外にも金貸しはいるんだな。

しかし事情を聞くのも面倒だな。

「じゃあ僕が一足先にこいつをクタナツに連れて行くよ。騎士団に引き渡してから戻って来るね。」

目隠しをしてロープでグルグル巻きにして準備完了。飛んでる最中に暴れられたらすぐ落としてやろう。

「みんなは適当に休憩してて。コーちゃん、みんなを頼むね。」

ピュイピュイ言って返事をしてくれる。本当にかわいいなぁ。

こうして私は妙な男をクタナツへと連行するのだった。