軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

119、危険海域

少し寝たら日没。再び私達の順番だ。

「ふぁぁ……少し眠いかな。」

「そうね。あんな時間に起こされたものね。」

ちなみにカムイとコーちゃんはまだ寝ている。

今日はいつもと違って『魔力探査』だけにしよう。さすがに昼間に魔力を使い過ぎたからな。少しは節約しておかねば。その分アレクに頑張ってもらおう。

アレクとイチャイチャしながらの夜番。浮身すら使ってないから実は酔いそうなんだよな。これはだめだな。少し浮いてた方がいい。まったく、これだから船は。

「アレクは船酔い大丈夫?」

「ええ、だいぶ慣れたわ。カースはまだまだみたいね。」

なんと。さすがアレク。慣れる人は三日で慣れるとは聞いたが……馬車にも酔う私だもんなぁ……

さて、そんな夜番だ。

『魔力探査』は水平方向にはかなり広く張れるのだが、上下への展開がしにくい。だから夜番のついでにそれを広げるトレーニングといこうではないか。

解毒に際してあれこれ頑張ったおかげで制御力はかなり上がった。ならばその制御力で魔力探査を無理矢理上下にも広げてやろうではないか。魔力を節約するつもりが嘘になってしまったな……

うーん、難しい。現在私の魔力探査は上下にそれぞれ十五メイルほど展開できている。これだって充分人並み外れてるんだけどね。

「ちょっとカース。魔力が漏れすぎよ。魔物が来ちゃうわ。」

「おっとごめんごめん。やめるね。」

いかんな。つい夢中になってしまったか。あれこれと試行錯誤していたら余計な魔力を込めてしまっていたか。これ系の魔法って魔力のゴリ押しが効きにくいんだよなぁ。ふぁーあ、眠くなっちゃったよ。

よし、ここは大人しく錬魔循環だな。甲板に座り込み、体内を流れる魔力を意識して……集中だ。基礎の修練はどの分野でも大事だしね。

結局座ったまま寝ていたらしく、ぼんやりと明るくなった頃アレクに起こしてもらった。何事もなくてよかったよかった。

そのまま朝食を済ませると、わたしは厨房へ向かう。アレクに不思議そうな顔をされたが説明は後だ。

うーん、厨房ってほど広くはないのか。台所って感じかな。

「おはよう。料理長いる?」

「なんやぁ? 冒険者がこんなとこに来んじゃねぇ!」

「まあそう言うなって。旨そうなもんを手に入れたからお裾分けだ。夕食にでも出してくれよ。」

そう言って私は昨日のシャコを四匹ほど出してやる。これだけあれば全員に行き渡るだろう。一匹は自分用にキープしておくのだが。

「こっ、これぁ!? ま、まさか 堅蝦蛄(カタエビケラ) か!? ど、どこでこんなもんを!?」

「ああ、昨日精霊の悪戯があっただろ? あそこの海底にいたぞ。」

頭を切ったからミソがないのが惜しいかな。まあ身だけでも旨そうだよな。

「な、なんて奴だぁ……はっ!? もしかしてお前か!? 渦巻く海を止めちまったとんでもねぇローランドもんってのぁ!?」

ああ、船長から聞いたのか。

「そうそう。そのついでに獲ってみたってわけさ。夕食、期待してるぜ。」

「あ、ああ……」

ふふふ、これで夕食の楽しみができた。アレクを驚かせてやれるな。

部屋に戻る前、冒険者達に『浄化』を頼まれたので快くかけてやった。もちろん例のあいつはタダだ。パープルヘイズのノエリアって言ったかな。

それにしてもヒイズルの貨幣は多彩だな。百ナラーは百円玉と似た硬貨だし、一万ナラーは木札。そして十万ナラーは小判か。混乱しないのかな? いや混乱はしないにしても、財布が嵩張りそうだよな。そろそろ私も新しい財布を買おうかなって時にさ。だいぶ前に盗られたっきり買ってないんだよな。

それより、そろそろ危険な海域に入るらしい。バンダルゴウとヒイズルの中間辺り。この辺りは波も高くなり、海流も早い上に大型の魔物も出やすいそうだ。せめて寝てる所を起こされなければいいのだが……

部屋を激しく叩かれて……起こされた……

寝入って二時間も経ってない……朝の日差しが眩しすぎる!

くそ……何が出やがったんだ?