軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

97、休暇終了

翌日、ダミアン達はまだ用があるそうなので私達だけ領都に帰った。理由はもちろんのんびりと退廃的に過ごすためだ。ちなみにカムイは残った。適当に狩りでもするそうだ。

まあ、ムリーマ山脈には探せばドラゴンもいるしね。相手には不自由しないだろう。つーか、トンネル掘ってて太古のマジでヤバい魔物とか出てきたりしないよな? あぁ怖い怖い。

「アレク、今日は何しよっかー?」

「カースは何がしたいの?」

「分かってるくせに。」

「カースのバカ……まだお昼にもなってないのに……」

「じゃあまずは風呂かな。」

「お風呂より先に……」

〜〜削除しました〜〜

うーん、そろそろ三時のおやつってところかな。ローランド王国にそんな習慣ないけど。

「ねーアレク。夕食まで何も食べないのと、何か軽く甘い物でも食べるのならどっちがいい? あ、今から夕食でもいいよ。」

だって昼ごはん食べてないからね。

「あそこがいいわ……いつだったかエリザベスお姉さんと行ったお店。」

「あー! 焼肉ね。それはいいね! よし、すぐ行こう!」

「ピュイピュイ」

いつの間にコーちゃんが。コーちゃんも焼肉好きだもんね。

「ピュイピュイ」

え? 焼肉にはエールだって? コーちゃんも好きだねぇ。まだ夕方にもなってないけど私も飲もう。

そんなこんなであっという間に十日が過ぎた。楽しい時間はすぐ終わってしまうね。

現在我が家の応接室には非常に珍しい客が来ている。領都一子供武闘会で何度か対戦したアジャーニ選手だった。確かアジャスト商会の関係者なんだよな。

「名前だが、どうしたらいい?」

「名前? 何の話?」

「ふざけるな! あの時試合で私が負けたらネクタールの名を変えるという約束だっただろう!」

思い出した。私が名付けた水のように飲めるポーションがネクタールなもんだから、彼には改名してもらおうと思ったんだったな。あの時は結構いい勝負だったんだよな。なんせエルダーエボニーエントの木刀なんてものを持ってやがったんだから。あれは厄介だったなぁ。

「ああ、確かにその約束だったね。で、何て名前にしたの?」

「くっ! 私は敗者だ! だから! 勝者たるお前の名付けに従うべきと考えまだ改名しておらん! あの時はいつの間にかいなくなっていただろう!」

そうだっけ? さすがに覚えてないぞ。

「それは待たせて悪かったね。じゃあ新しい名前は……マクシーム、でどうかな?」

ネクタールっぽい響きで考えてみた。我ながらいいネーミングではないか?

「ほう……マクシーム……ふふ、 古(いにしえ) の剣豪マクシーム……いい名だ。気に入った! さすが魔王と呼ばれるだけある。邪魔したな!」

パッと来てパッと帰りやがった。では私も出かけようかね。マイコレイジ商会へと。

私が店先へ近づくと、それに気づいた店員が店内へと走った。うん、よく教育されてるね。

「魔王様! いらっしゃいませ! すぐ! 会長が参りますので!」

「ありがとう。慌てなくていいよ。」

リゼットは腕にカールスを抱いて、ゆっくりと現れた。普段はこっちで生活しているのか?

「カース様、わざわざお越しいただきましてありがとうございます。」

「構わんよ。じゃあ女を受け取ろうか。」

今さらだけど、マイコレイジ商会って建築とか資材の供給がメインの商売なのにどこから女を手配してんだろうね。リゼットの個人的な人脈とか?

「こちらでございます。」

応接室と呼ぶには広く、粗末な部屋に案内される。中には……八人か。結構いるもんだな。

「全員に確認しておくが、行き先はヘルデザ砂漠の北東部だ。先王様が拓かれている街から見て東にあたる。一度行ったら二度と帰れないわけではないが、戻るのには苦労するだろう。それでもいいんだな?」

誰も返事をしない。下を向いたままだ。

「問題ありませんわ。その辺りの話はきちんと伝えてございます。」

「分かった。どちらにしても返事をしてもらわないことには契約魔法がかけられないからな。一人ずつ別室に来てもらおうか。」

面倒だが、こんな時は一人ずつの方が話がしやすいだろう。

こうして全員に契約魔法をかけ終わった。たぶんだけど、ここら辺の娼館で働くよりだいぶ割がいいはずなんだよな。周囲の環境は悪いけど。その気になればひと財産築いてから帰ってくることも可能だろう。まあ、そんなことを考えるやつがわざわざあんな魔境のど真ん中にまで行くわけないけど。

最も若くて十二歳、最高齢は四十三歳……とにかく今いる場所を逃げ出したい女達か。十二歳なら孤児院に行けば比較的まともに暮らせるだろうに。色々と事情があるんだろうね。

それからは前回のようにゾロゾロと歩いて我が家まで。そこでアレクやコーちゃん、カムイと合流して街の外へ。

ちなみにカムイは昨夜帰ってきた。きちんと南の城門で待つことができるいい子だ。城門の騎士がわざわざ我が家にまで知らせてくれたのだ。首元にキラリと光るオリハルコンのバッヂが効いたのかな。

城門まではマーリンが見送りに来てくれた。次に会えるのはいつになるか。名残惜しいな。

「じゃあマーリン。行ってくるから。」

「元気でね。」

「ピュイピュイ」

「ガウガウ」

「はい。くれぐれも皆様もお元気で。お帰りする日をお待ちしておりますわ。」

では出発だ、まずはクタナツに寄ろう。