軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45、村長の医術

カムイ達が落下した所には小さなクレーターができている。無茶しやがるなぁ……

そして土煙が晴れると、そこに見えたのは頭を地面に突き刺して逆さに屹立するカカザンだった。

さすがは山岳地帯でも恐れられている魔物、あれぐらいでは頭が潰れたりしてないってことか。では今のうちに蟠桃を捥ぐとしようかね。ぬっ、コーちゃんたら捥がずにダイレクトに食べちゃってるよ。仕方ないなぁ、残り九個だけ捥ぐとしよう。コーちゃん、食べていいのは一個だけだよ。「ピュピューイ」

よし、きっちり九個。カムイ、帰るぞ。怪我とかしてないか?

「ガウガウ」

細かい傷はたくさんあるが、概ね無事だよな。帰ったらまた風呂で洗ってやらないといけないな。

それから……『浮身』

カカザンを地面から抜いておいた。あのままだと窒息死だもんな。

おまけに『水操』

口の中にポーションを流し込んでおこう。あいつには管理人として頑張ってもらわないとな。

「キキ……」

おっ、起きたか。

「じゃあまたな。お前もがんばれよ。」

「キキ……」

何て言ってるんだろうな。今後とも蟠桃の安定供給のために元気でいて欲しいものだ。

回り道をして帰ろうとも思ったのだが、カムイをさっさと洗ってやりたいしね。まっすぐ帰ろう。それで今日はもうのんびりと過ごそうかな。せっかくフェルナンド先生にも会えたんだし。

フェアウェル村に戻ってみると、先生は不在だった。二人のエルフを連れて外に散歩に行ったそうだ。絶対ただの散歩じゃないよな。

「さあ、カムイ洗ってやるぞ。また無茶しやがって。」

村長宅裏に置いた湯船のお湯を『水操』でかける。

湯がいくら汚れてもキレイになる湯船だからって今のカムイは汚れすぎだもんな。さすがにいきなりドボンとはしたくない。

「ガウガウ」

「アレクは先に入ってていいよ。」

「ええ、お先に。」

さてと、カムイわしゃわしゃー。

「ガウッ」

ん? お前、前脚……折れてんのか? バカ、さっさと言えよ。骨折はポーションで治すと良くないんだぞ? 仕方ないなー。ちょっと待ってろ。

「アレクごめん、ちょっと待っててね。誰か呼んでくる。」

「分かったわ。早く帰ってきてね。」

ちなみにアレクは湯浴み着を着ている。外だしね。

「 村長(むらおさ) ぁー。いますかー?」

やはりここは本命、村長だよな。

「おお、どうした?」

家の中にいた。ラッキー。

「骨折って治せます?」

「もちろん治せるが。誰か怪我をしたのか?」

「いやー、カムイなんですけど、カカザンにやられたみたいです。勝つには勝ったんですけどね。」

「ほほう。カカザンに勝ったか。さすが狼殿、やるものだ。どれ、見せてもらおうか。」

「ありがとうございます。裏庭です。」

裏庭ではカムイが横になって待っていた。

「ガウガウ」

「狼殿や。診せてもらうぞ?」

「ガウ」

母上もそうだけど、やはり回復や治癒系の魔法を使えるってのは便利だよな。ただ魔法を使えばいいってだけでなく人体に関する知識も必要だろうけどさ。その点、母上なんか人体を知り尽くしてる感があるよな。何回か手伝ったことがあるけど、人体内部のどこに何があるとかちゃんと把握してたし。

「治ったぞ。おそらくカカザンに握られたのであろう。ただの骨折ではなく砕けておったわ。あやつは握力も並ではないからの。」

「そうでしたか。ありがとうございました。これはお礼ってほどでもありませんが、気持ちです。」

蟠桃を二個差し出す。先生やばあちゃんの分も要るからね。それにしても粉砕骨折ってやつか? いつの間にそんなことをされたんだ? 地面に叩き落とした時かな。あの時は比較的長時間密着してたし。

「これしきのことに過分だがの。ありがたくいただくとしよう。ではの、狼殿。」

「ガウガウ」

これで一安心。さて、私も風呂に入ろう。本日二回目だけど。

「いやぁカムイのやつ大変だったね。やっぱあの猿は手強いみたいだね。」

「そうね。私なら一瞬で喉を噛み切られてると思うわ。それなのにあの猿はすごかったわね。」

「ガウガウ」

次は圧勝してみせるって? がんばれよ。たった一年で勝てるようなっただけでも凄いよな。一年か……あっ! キアラが卒業だ! 卒業式は絶対見に行かなければ! よし、ダークエルフの村に行った後はクタナツに戻ろう。それから改めてヒイズルに行けばいい。そうしよう!