軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33、アレクサンドリーネとカムイ

カースの様子がおかしい。

さっきから一言も喋ってない。

ペースこそ落ちてないものの私やカムイをチラリとも見ずに登り続けている。

ついさっきまでは時折、私の頬や唇に口付けをしてくれていたのに。それすら忘れたかのように上しか見ていない。

「ガウガウ」

「カムイどうしたの?」

「ガウガウ」

私ではカムイの言うことが分からない。

「カース! カムイが何か言ってるわ! 聞いてあげて!」

『木登りは楽しいな』

「え? カース? 何を言ってるの?」

『リョーとタツを誘おう』

カースがおかしい……

何か意味が分からない言葉を喋っている。

「お願い! カース待って! カムイが危ないの!」

「ガウガウ」

ついにカムイが動かなくなってしまった。

「カムイ! 大丈夫なの!? カース待って! カムイが!」

『夏休みが終わらないといいな』

だめだ……カースが変な事しか喋らない。一体何を言っているの?

明らかにローランド王国語ではない。錯乱しているに違いない。

こんな時、魔法が使えるならば『覚醒』なんかが最適なのに。

カースは刺激が大事だと言っていた。つまり、今のカースには刺激が足りないってこと? ならばどうにかして刺激を与えるしかない。なのに、追いつけない。全くペースが変わってないわ……

ああっ、カムイがとうとう動きを止めてしまった。

「カース! 待って! カムイが!」

『木登りは楽しいな』

「カース! お願い! 待って! 止まって!」

『ウニやサザエを獲ろう』

「カース!」

「ピュピュイー!」

あっ! コーちゃんがカースの首に噛み付いた!?

「カース! しっかりして! 大丈夫なの!」

力を失くしたカースが落ちる……受け止めないと……

「カムイ!」

「ガウガウ」

ほっ……私達が受け止めるまでもなく、途中の枝に引っかかってカースは止まった。あれだけ私達を引っ張ってくれたカースでさえ……

カースだけに頼りっぱなしにしてはおけない。カースだって大変なんだから。こんな時こそ私達がしっかりしないと……

よし、やっとカースの所まで登れた。体に怪我はないようね。ひとまずカースが起きるのを待とう。カムイには悪いけどそこで休んでてもらうしかないわね。ごめんね、カムイ。