軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

22、領都の雑用

翌日、私はアレクを置いてセルジュ君とスティード君を王都に連れて行った。第一城門の東までだ。

「カース君、わざわざありがとう。馬車だと二週間はかかるのに助かったよ。」

「だよね。本当にありがとう。近衛学院に行っても頑張るから。また会おうね!」

セルジュ君は貴族学院、スティード君は近衛学院か。どちらもエリートコースだな。

「うん。また会おうね。お土産楽しみにしててよ。じゃあ元気でね!」

「またね!」

「カース君も無事でね!」

さあ領都に帰ろう。往復で二時間ってとこかな。アレクが待ってる。

「スティード君……僕らはすごい友達を持ったものだね。さっきのルート、ムリーマ山脈の上空だったよ。」

「そうだね。前回は安全のためか西回りだったけど、今回は直進だったね。」

「眼下にはオーガがうようよいたし、ワイバーンだって何匹か見えたよね。」

「うん。カース君たら気にもしてなかったね。僕らもあのレベルになりたいものだよね。」

「僕には無理だって。スティード君なら剣でどうにかなるかも。頑張ってね。」

「もー、セルジュ君はダメだなぁ。よし、行こうか。」

さて、領都に帰り着いた。さっそくだがリゼットのところに行こう。あいつったらせっかく結婚したのに相変わらずマイコレイジ商会に住んでるんだよな。仕事の鬼か。

「まあカース様! 人妻となった私に会いに来てくださったのですね! いけませんわ! 私にはダミアンという夫が!」

「小芝居はいいから。例の女達はどこにいる?」

「カース様のバカ……浮気しちゃいますよ?」

それは浮気とは言わん。まったく、懲りないやつだな。

「お土産楽しみにしてな。それにしてもよくそんな女達が集まったな。そんなに逃げたいってのか。」

「そうなのです。夫の暴力に耐えかねた女、理不尽な搾取に苦しむ女、働けば働くほど暮らしが苦しくなる女……後は普通の奴隷ですね。」

「オッケー。事情はどうでもいいけど行き先が魔境ってのは知らせてんだよな? 契約魔法かけるから内緒はよくないぞ。」

「もちろん説明済みですわ。どうぞ可愛がってやってください。」

「かわいがるのはリリスの役目かな。じゃあ頼むわ。」

「連れてきなさい。」

「はいっ!」

おお、役立たずの護衛ジャンヌか。まだクビになってなかったのか。

会長室に続々と入ってくる女達。若いのから四十前まで様々だ。

「じゃあとりあえずウチに行こうか。付いて来てもらうよ。じゃあなリゼット。ダミアンと幸せになることを祈ってるよ。」

「カース様のバカ……」

十五人もの女をゾロゾロ連れて歩くのは気分がよくない。どいつもこいつも暗い顔しやがって。

「待てやぁ……俺の女ぁどこに連れてく気よぉ?」

「俺の女? こいつらは俺が面倒見ることになってんだよ。文句があんなら腕尽くで来い。」

実際面倒見るのはリリスなんだけどね。

「ガキがぁ……大勢引き連れて調子ん乗ってっとブチ殺すぞ!」

この手の奴は群れていきがるのがパターンなんだが珍しく一人か。

「どの女が欲しいんだ?」

「欲しいじゃねーんだよ! 俺の女なんだからよ! さっさと寄越せや! 殺すぞ!」

「おーい、こいつの所に帰りたい女ー、いるか?」

当然ながら誰も反応しない。

「いないな。じゃあ帰れ。まだ文句があんのか?」

「うるせぇんだよ! おいライカ! 帰るぞ! さっさと来いや!」

誰に言ってんだ? 誰も反応しない。どいつもこいつも死んだような顔をしている。

「どいつだよ? お前相手にされてないな。つーかさ、俺が誰だか知らないのか?」

自分で言うのも恥ずかしいんだけどな。この服装で気付けって話だよな。

「あぁん? そんなハッタリが効くかぁ! そんな魔王スタイルで強くなったつもりかよ? ダサ坊がぁ! マジ殺すぞ!?」

あー面倒。

『狙撃』

両方の大腿部を撃ち抜いてみた。

「うがぁぁああ! て、てめぇやりやがったな……」

倒れ込む男。

「まだ俺が誰か分からないか? オメー俺に殺すって言ったな。つーわけで死ね。」

『狙撃』

両耳を吹っ飛ばしてみた。

「おっと、ズレたか。次は頭を撃ち抜くからな。」

「まっ、待てぇ! お前まさか!? 本物の!?」

「そうだよ。お前は魔王の女に手ぇ出そうとした上に、殺すって言ったな。だから死ね。」

「待ってぇ! た、助けっけてくれぇ! たの、頼むぅ! ううっ、ライカぁ……助けてくれぇ……」

それでも反応する女はいない。完全に愛想を尽かされてんのね。

それからこいつは有り金を全部奪って借金を負わせてやった。さすがに街中で殺人は良くないからね。バカな奴だけど命があるだけマシだよな。

それから辺境伯邸に立ち寄り、ダミアンと最後の挨拶。特筆するようなことはない。そのままゴーレムを引き取り自宅へと戻った。

さあ、いよいよ魔境への旅立ちだ。