軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

108、魔王と四天王

本日はパイロの日、つまり今日も休みなのでキアラに本を読んであげようと思う。だいぶ話も進んできているし。

「キアラー、勇者ムラサキ・イチローの冒険を読んであげるぞー。」

「わーい読んで読んでー。」

「よーし、じゃあ四天王のところからな。」

『四天王のリーダーである炎のハイブリッジは言いました。

「奴は四天王の中でも最弱」

嵐のパイマインも言いました。

「勇者ごときにやられるとは四天王の恥さらしよ」

氷のテラーも言いました。

「次は俺が行くぜぇ。最近暴れてないからよぉ」

これには炎のハイブリッジも困ってしまいました。

「待て、テラーよ。いくら四天王最弱とは言え泥のティサックがやられたのだ。お前一人で行かせるわけにはいかん。パイマインと行け。私も行きたいのだが魔王様から呼ばれているのでな」

氷のテラーは言いました。

「ふん、ついてくればいいさぁ。見てるだけになるだろうがなぁ」

嵐のパイマインは言いました。

「お前まで無様を晒さないといいがな」

こうして四天王のうち二人はロックメイーカの谷で勇者を待ち受けました。

しかし、勇者は一向に現れません。

氷のテラーは痺れを切らして言いました。

「こんな場所でのこのこ待っていられるかぁ! 俺は行くからなぁ!」

そうして嵐のパイマインを残し一人で勇者を探しに行ってしまいました。

それから随分時間が経ちましたが、氷のテラーは戻ってきません。嵐のパイマインは氷のテラーを探しに行きました。

するとそこでは氷のテラーが無残に殺されていました。

氷のテラーの指先には血で字を書こうとした後が見えました。しかしかすれて見えません。

嵐のパイマインは思いました。

「きっと勇者の仕業だ。ということは、次は……」

そう思っていると後ろから斬りつけられました。致命傷です。

薄れゆく意識の中で、嵐のパイマインが見た物は、派手な紫色の鎧を纏った黒髪の男でした。

そうです。勇者ムラサキです。

のこのこと自分を探しにきた氷のテラーを後ろから斬った勇者ムラサキは、氷のテラーの死体を囮にして他の四天王もやっつけようと考えたのです。

そして見事に四天王を二人もやっつけることができました。

残る四天王は一人。

勇者ムラサキの冒険はこれからだ。』

今日のキアラは中々寝なかった。

こんなに長く読むことになるとは。

でもこれからが面白い所なのだ。

さあ今からは自分の時間だ。

特訓をしよう。

金操(きんくり) と 風操(かざくり) で重量物を浮かせるのだ。

容積が一メイル四方の風呂を用意し、その中に水を溜める。見た感じニトン近くありそうだ。

一応循環阻害の首輪も外した、大した変わりはないが。

これをまずは丁寧に詠唱した金操で浮かせる。

浮くことは浮いたが……

わずか一メイルも浮かない。このまま風操を併用すると……

かなり楽になった。

同じ重さの物を浮かせるのにこんなに違うとは。しかし埃がひどく、目が開けにくい。

もっと高く上げよう。そしたら埃も散らなくなる。

そして十メイルまで上昇させ、そこでキープ。これ以上高くすると外から見えてしまうからな。

このまま魔力が切れるまで頑張ってみようと思ったが、風操しか使ってないのでしばらく切れないだろう。なのでこの風呂に 隠形(おんぎょう) を使ってみる。何か変化はあるのだろうか?

何も変化はない。第三者から見てもらわないと分からないな。

それにしても我ながら素晴らしい魔力だ。

あれだけもの重量を浮かせるだなんて。

これって対人戦なら相手が金属製の武器や防具を持ってたら一瞬で勝てるよな?

高く飛ばすなり、鎧を変形させるなり、自らの剣で突き刺させるなりどうにでもできそうだ。

そんな物騒なことはともかく、金操のみで楽々と浮かせることができるような魔力があれば空中露天風呂を堪能できるだろう。

現在の魔力ではまだ楽々とはいかないので、やめておく。まだまだ地道に修行をしよう。

私の冒険はこれからだ。