軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

414、ジーンとの夜

自宅の玄関前でばったり会ったのはベレンガリアさんとキアラだ。ちょうど帰ってきたところらしい。

「やあベレンガリアさん、ただいま。キアラも元気そうで何よりだよ。」

そこまで久々ってわけでもないけどね。

「あらカース君おかえりなさい。またきれいな女の子連れちゃって。アレックスちゃんに言っちゃうよ?」

「カー兄おかえりー! フランツ君に会いに行ったんだってねー。ありがとー!」

てことはキアラもあれから王都に行ったのか……冬休みだもんな……

「アレクにはまだ言ってないけどやましいことなんか何もないからね。キアラは次にフランツウッド王子に会ったら僕が魔法学院には行かないって言ってたって伝えておいてくれるか?」

「うん分かったー。フランツ君すっごく気にしてたよー。それよりお姉ちゃんだーれー?」

おっといかんな。

「キアラにベレンガリアさん。この子はジーン・ド・バックミロウ。クタナツの労役に参加したいって言うから連れてきた。」

「お初にお目にかかる。今はただのジーンです。完全にではないがほぼ勘当されたものでね。カース君にどこまでも付いていきたいと思っている。」

「へぇ? バックミロウ家なんだぁ。用心棒貴族とはね。私は元ダキテーヌ家のベレンガリアよ。とっくに勘当されて今はここのメイド。ところで、初めましてじゃないわ。領都一子供武闘会で会ってるわよ。」

「キアラ・マーティンです! カー兄の妹です! クタナツ学校四年です!」

うん。いつも元気な挨拶だ。キアラは偉いなぁ。よしよし、頭なでなで。

「えへへー。」

「それで昨日はいなかったみたいだけど、もしかして一家全員で労役行ってたの?」

「そうよ。とりあえず中に入りましょうよ。夕食の支度するから。食べながら話しましょ。」

ベレンガリアさんの言うことはもっともだ。玄関前だもんな。

ベレンガリアさんの料理はなかなか美味しい。やるもんだなぁ。

「さてと、簡単に説明するわね。私とキアラちゃんは冬休み後半だけ労役に行ってるわ。前半は王都ね。旦那様や奥様は冬休み前からね。マリーさんとオディロンもね。」

「キアラはなぜ行ってんの?」

「奥様のお考えよ。勲章を持ってる者こそこんな時は率先して参加しなさいって。さすが奥様だわ。カース君は? 勲章持ってるわよねぇ?」

「当然明日から行くよ。だからここに帰ってきたんだから。」

さっきジーンが労役に行く話をしたんだから分かってるだろうに。

「私がんばったよー!」

「さすがキアラ! 偉いぞー! よぉーしよしよーし!」

頭撫で撫でなでまくり。

「えへへー!」

そうなると明日からはちょうど私がキアラのポジションに入ればいいな。どうせ巨岩を動かす系の担当なんだろうから。

「それよりジーンちゃんはどこで寝てもらうの?」

「どこでもよくない? 客室ってないの?」

「ないわよ。そんなに広い家じゃないんだから。別にカース君の部屋でもいいんじゃない? 私の部屋でもいいけど。」

客室ないのかよ。それは知らなかった。確かに広くないけどさ。

「ぼ、僕はぜひカース君の部屋が!」

「ベレンガリアさんの部屋にしよう。頼むね。」

「いいけど、その場合私がカース君の隣で寝ることになるわよ?」

「ベレン姉ずるーい! 私もカー兄と寝るー!」

混沌としてきたな。

「とりあえず僕は風呂に入るよ。キアラ、洗ってやろうか?」

「うん行くー!」

「ぼ、僕も……」

「じゃあ私も!」

「ピュイピュイ」

だめだこりゃ。

結局私は外に出て露天風呂を楽しんだ。星がきれい。さっと外に出たので他のみんながどうなったか知らない。ふふふ、さすがに外で裸にはなれまい。あー、学校に行ってた頃を思い出すなあ。こうやって夜に外で一人風呂に入っては肛門魔法の練習をしたもんだ。あれはあれでいい訓練になったんだよな。おかげで全身どこからでも魔法を撃てるようになったんだから。それどころか自動防御を張ったまま撃ってるんだもんな。我ながら反則だよな。昔は自動防御に少し穴を開けてから撃ってたってのに。

ふー、上がったらさっさと寝よう。明日は日の出の開門とともにクタナツを出るからな。

ちなみに自室に戻ったら際どい服装、というか下着だけを身につけて顔を真っ赤にしたジーンがいたので『拘禁束縛』を使ってからベレンガリアさんの部屋に押し込んでおいた。

その後、私の部屋は丸ごと自動防御で覆い、消音をかけておいた。

すると、翌朝……寝坊した……

キアラはもう学校へ出かけた後だし、ベレンガリアさんとジーンは朝食を済ませた後だ。心なしかこの二人、仲良くなってないか? それはそれでいいことだ。

「おはよ。いやーよく寝てしまったよ。消音が効きすぎてしまったね。」

「起こそうとしたんだけどね。ドアは開かないし入れないし。一応何度かノックもしたんだけど。」

「おはようカース君。昨夜は中々得難い経験をさせてもらったよ。ベレンさんはすごいな。」

どんな経験をしたのかは聞くまい。さっさと食べて出かけないとな。だいたいの場所は聞いてるし。冬の日本海並みに荒れてる冬のノルド海でどうやって港湾工事をやってんだか。少し楽しみだな。

「よし、待たせたね。じゃあ行こうか。」

「ああ、僕もがんばるとも。」

「行ってらっしゃーい。旦那様と奥様によろしくね。」

さすがにベレンガリアさんは行けないよな。キアラの世話をしてもらわないとね。さーて、どうなることかな。