軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

402、激戦

吸い込まれたと思ったらもう岩が閉じようとしている。両側から迫るのは刺々しい岩壁。そのぐらいで私が潰せるかよ。

『氷壁』

おまけに魔力庫から巨岩を出してやる。どんな魔物か知らんが私を食えるなんて思ってんじゃないぞ? しかし出口はすでに獰猛な牙のようなもので塞がれていた。万事休す……なわけない。

『徹甲弾』

そんな牙なんかぶち折ってやるよ! ちっ、水中だから普段の威力が出ない……

ならば『水鋸』

その牙を根元から切り落としてやるよ! ぬっ、わずかながら削れてはいるようだが……

あれじゃあ何時間かかるか分かったもんじゃない……こうしている間にも巨岩は砕けつつあり、氷壁がどうにか支えになっている。やばいな……ならば!

『風壁』

ここらの水圧がどんなものか知らんが辺り一帯の水を丸ごと押し除けてやるよ!

よし、成功! そして改めて……

『徹甲連弾』

くっそ、それでも折れないのかよ!

だったら路線変更だ! 口を開けないなら開けたくなるようにさせてやるよ! あっちが牙なら……喉はきっとそっちにあるんだろ! くらえ!

『火球』

魔力特盛だ! その口開けやがれ!

もちろん牙にも!

『徹甲連弾』

意地でも一本ぐらい折ってやる!

ごぽっ

ん? 何だ今の音は? 何かやばい!

『自動防御魔力全開』

ぐうあっ! 物凄い勢いで牙に叩きつけられた。喉の奥から鉄砲水のような激しい水流に襲われたのか。今の威力は……まるでドラゴンブレス。そうかよ……こいつかよ……

こいつがドラゴンダイブの滝の 主(ぬし) ってわけか。私はやる気などなかったってのに。お前がその気なら……殺ってやるよ!

『 水操(みなくり) 』

いくらドラゴンブレス並みの威力だろうが水は水だ。魔力でごり押しすればどうにでもなる! おらぁ逆流しろや! そして……

『氷塊連弾』

喉どころか胃の中にまで氷を詰め込んでやるよ! まだまだぁ!

『氷壁』

喉に蓋をして、おまけに口が開くようにどんどん大きくしてやるぜ! よし、口が開きかけている! しかし私は逃げん! その牙ぶち折るまでは!

『徹甲五十連弾』

頭が煮えそうなほどのごり押しだ。ここまでやって遂に一本だけ折れた。ゲットだぜ! そして『氷壁』ほーら口を開けやがれ。つっかえ棒のように氷壁を展開する。よし! 開いたぁー!

『水操』と『浮身』を併用して一気に水面まで躍り出る。ふぅー、空気が旨い。水中気でも呼吸に差し支えはないが、やはり自然の空気が一番だよな。

「カース! もう! 遅かったじゃない!」

アレク! こんな水面すれすれまで来て待っててくれたのか!? 心配させてしまったな。

「アレク! なるべく遠くに離れて! 主が出た!」

「何ですって!? 分かったわ! カースしっかりね!」

やはりアレクは物分かりがいい。すぐに遠くに飛んでいってしまった。さてと、ここからが本番だな。コーちゃんはどこに行ったんだ? しかしコーちゃんのことだからきっと無事だ。気にしない。

ぬおっ!?

マジか……ほんの一瞬だけ魔力の迸りを感じたかと思ったら、滝の水が全て天へと立ち昇り、滝壺の底が姿を現した。これほどの水を一瞬にして……やはりそこらのドラゴンとは比べ物にならないようだ……

残り魔力は半分。今のうちにあれを、魔王ポーションを飲んでおかねば。ネクタールがあればいいのだが、あれは領都の自宅に置きっぱなしだもんな。よし、残り魔力は七割程度まで回復した。さあ、どっからでも来やがれ!

ふむ、私が水底と呼んだそれこそが、主の皮膚だったな。この後に及んで余裕をかましているのか主は滝壺の底より、ゆっくりと体を起こし私を睨んでいる。歯抜けのくせに、いつかの虫歯ドラゴンよりさらに大きな口を開き……

「ガバババァァアガガガアアアァァァーーーー!」

氷の塊を撃ち込んできやがった。さっきの氷塊かよ。丈夫な胃をしてやがる。しかし弾速は私の氷塊弾よりずっと速い。だからって当たりはしない。陸上、いや空中戦なら私の独壇場だ。おら当ててみやがれ!

上空高く飛び上がった私に対して、主は私の頭並の太さもある高水圧ブレスを撃ってくる。もしかしてドラゴンのくせに飛べないのか? 見たところ水底と皮膚の境目すら見えない。まだ全身が起き上がったわけではないのか。どんだけ大きいんだよ。なら今のうちに……

『徹甲連弾』

しかも衝撃貫通付きだ。額にぶち込みまくってやる!

まだまだぁー! 倒れるまでずっとだ!

『徹甲連弾』

ブレスが止み、それ以上起き上がることもなくなった主。だが手は緩めない!

『徹甲連弾』

徐々に体が沈んでいく。滝の水は落下を再開しており、だんだんと主の体が滝壺に沈んでいく。

逃すかよ!

『浮身』

何百トンあるのか知らないが浮いてきやがれ。ぎろりと私を睨む赤く大きな双眸。皮膚はよく見るとエメラルドのようにきれいな色をしてやがる。ついさっきまで苔むした水底の岩そっくりだったくせに……

「ガバババァァアガガガアアアァァァーーーー!」

危なっ! 今のは? 衝撃波か? 広範囲すぎて避けることは不可能だったが、私の自動防御は破れない。ここから本気ってわけかよ……やはりドラゴンはしぶとい……

『徹甲連弾』

先ほどと寸分違わず同じポイントを撃ちまくる。とっくに脳みそぐちゃぐちゃになってそうなものだが……

「ゴバアアァァーーー!」

やばっ! 今度はウォーターカッターかよ! どうにか回避できたが、私の背後……広範囲に渡って岩山が崩れ落ちた……私の水鋸を軽く上回る威力か……

『超圧縮業火球』

主の足元に、いや足は見えないが、大爆発を起こしてやった。ついでに脳みそもシェイクされちまえ!

「ガゥバアァアアアァァーーー!」

ぐおおぅ! くっそ、痛いぞ! 私の自動防御どころかドラゴンのウエストコートまで貫かれてる! 左の脇腹に穴が……!

あれが主の本気かよ……噴煙に紛れて、水を一点に圧力をかけたのか……?

ごく細く撃ち出しやがった……私が見えてなかったくせに……

しかし、噴煙が晴れると主も口の周りがズタズタに千切れていた。なるほど、そうそう何回も使える攻撃じゃないってことだな。よく見ると口周りだけでなく、目や鼻先からも血が溢れている。こいつもギリギリかよ……

『徹甲連弾』

とにかくごり押しだ。こいつは絶対ごり押しで殺す! 額の一点以外狙ってやらん!

「ガゥバアァアアオォォォーーー!!」

ふん、そんな範囲の狭い攻撃なんか二度とくらうかよ。とどめだ死ね!

『紫弾』

貫通とはいかなかったが、額の奥深くまで到達して止まった。そして主の巨体が滝壺へと音を立てて崩れ落ちた。これはやっただろ……早く……魔王ポーションを飲まないと……