軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アプリコッティガー

翌日、さっそく私のガーデンは修羅場と化していた。

脈絡もなく? いいや、そんなことはない。だって私はつい昨日、枯れ果てた草原でボスを倒したのだ。

それはつまり、ジャガイヌたちと同じく――ボスもガーデンに襲来するということである。

「ガアアア!!」

「うっそでしょ!」

恐らくはボスを倒すことが来訪条件だったのだろう。

それなら、もう一度倒せば住民化するのかもしれない。

慌てて走ってくるワルフルたちをトラに向かわせ、私は拠点の近くに避難する。

私がビビっていることに気がついたのか、どこからともなくやってきたコフィジョンが私の肩に降りてきて頬を甘えるようにつついた。急な距離の詰めかたである。住民になったときも思ったけれど、さてはこの鳩私のことが大好きだな? しかしなぜだろう、なにか特別なことをしたわけでもないと思うけれど。

プレイヤーそのものに干渉してこようとするのは、それこそシーちゃんだけだと思っていたのに。

拠点前で座り込み、うちの子たちのバトル風景をただ見守る。へたに動くとトラに目をつけられるかもしれないからだ。そうであるなら、なるべく隠れて動かずに過ごすのが吉だろう。

ただ見ているだけで良さそうなら、スケッチも大迫力の状態でできることだし! うちの子たちの戦闘モーションみたいなのをひたすら近くで見られるとか最高では?

ただまあ、そのせいでちょっと大変なことになっているのだけれど。

私の前を陣取り防衛にあたるバタベアとミルックマ。そして心配して集まってきていると思わしきコフィジョンやオリウルなどの鳥系モンスター。

その陣形の外では大暴れするトラのせいで畑がすごいことになり、寝ていたキャロキャットの近くをドタドタ走り回ってついに起きて怒りだし、ジャガイヌやワルフルがそんなの知らねえとばかりに次々と追い立てていき……えっ。

「ろ、ローラビット〜!?」

なんか、トラの汚染で柵が壊されたと思ったら、通り過ぎざまにローラビットが一羽食われてしまった。最初の一匹以外はフリーになっているのでしょうがないけど、狙われるアイコンがパッと出たと思ったらすぐにロールケーキと化しておいしくいただかれてしまった……いや、そりゃあ捕食者系モンスターだもんねぇ。

そして、みんなが逃げ回っていたトラを倒すことに成功した。

ローラビット一羽は尊い犠牲でしたね……。

ワルフルたちだけで倒せたボスなのである。

そりゃあ、全員揃っている本拠地にやって来たとしても一方的にボコられるだけだ。なんか犠牲出てるけど! 出てるけど……!

そして、倒された途端にトラが光って卵になる。ちっちゃい木の芽が生えたみたいなトラ柄の可愛い卵である。テンカウントが終わって卵が孵ると、トラの背中に生えている枯れた杏の木は鮮やかに蘇り、わっさわっさと実った杏をもらおうと、いっせいに鳥たちが飛び立って歓迎しにいった。歓迎しにというか……杏をせびりにというか。

さっそくトラさんがこっちを向いて困惑の表情。ごめんね、私は助けられないぞ〜。

さて、そんなボストラさんのお名前は? っと。

――――――

No.017

名称【アプリコッティガー】

・ 分類:フルーツ

・ 原型食物:アプリコット

・ 原型生物:トラ

・ 危険度:D

・ レア度:R

・ 大きさ:3タイル(1×3)

・ 生息地域:枯れ果てた草原

・ 好物:肉類、水

・ 来訪条件:

鎮圧を成功させる。

・ 住民化条件:

鎮圧を成功させる。

枯れ果てた草原の表層探索100%。

ステーキをひとつ食べるorローラビットを一羽食べる。

・ 汚染タイル数: 4

・ 能力:

攻撃時、3タイル縦一列に命中する。

防衛時、参加モンスターの攻撃回数を1増やす。

探索時敵対モンスターを発見すると攻撃をする。

一日一回五個のアプリコットが収穫できる。

・ 備考:

騎乗不可。夜間の防衛回数に応じて疲労が蓄積。日中日向で寝ることで回復する。

・ 生態観察:

枯れ果てた草原の進行を阻むボス個体として確認される大型捕食者。

鎮圧を条件として行動が変化し、対話可能な個体へ移行する。

広範囲攻撃と攻撃回数補助により、防衛・探索の戦闘適性が高い。

背部の果樹から定期的に果実資源を供給するが、騎乗には対応しない。

夜間の防衛負荷が疲労に直結するため、休息行動を前提とした運用が望ましい。

――――――

ステーキでも良かった……だと!?

ろ、ローラビット……!!

まあいいか、仕方ないよね。うん。

私はある程度割り切って楽しめるのでローラビットについては、もはやしょうがないものとして認識しておこう。五羽もいるし。

ただ、騎乗不可かあ……もしかしたらと思ってたけど、やっぱり背中に木があるからかな。ちょっと残念だ。フィールド騎乗OK! って子に早く出会えるといいなあ。バタベアとかも抱えて移動してくれるけど、騎乗用のモンスターって感じではないからね。

アプリコッティガーを仲間にして一息ついたので、今度こそ朝作業をして空中都市に行かないとなあ〜。

「ホーウ、ホーウ!」

と思っていたらなにやら通知が来た。

そして私の視界に入ったのは、背中からなにかをパラパラと落としながらガーデン内に踏み入って来た肉食獣の姿。その目線の先には壊れたままの柵と……ローラビット。

もしかして、ローラビットの肉食モンスターを引き寄せる性質が悪さしてたりする?

恐らくハイエナだろうその姿を見つめながら、私は再びワルフルたちに「GO!」サインを出して撃退するために向かってもらうのだった。

あ、朝から忙しいね!?