軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

弱肉強食システム!?

初期配布の最後の一匹。

どう見てもあの五個目の卵はウーパールーパーの触覚みたいだったし、この子がそうなんじゃないだろうか?

ガーデンの外からゆっくりとのそのそやってきたウーパールーパーは、通常のウーパールーパーのイメージとは少し違うようだ。

茶色系というか、こんがり焼けたパリパリした生地みたいな背中をしている。水辺の生き物のわりには対極の存在に思えるけど。

「ぬー」

鳴き声までのんびりしている。

のそのそ、のそのそと歩いてきたウーパールーパーは真ん中の池までやってくると、躊躇いなく水の中に入った。

さて、池が条件のひとつだとすると……あとはなにかあるかな? 遊んでいるけど、卵になる気配はない。

池だけで住民になってくれるんだったら簡単だったけど、どうもそこまで上手くはいかないらしい。

図鑑情報を出して確認してみよう。

――――――

No.005

名称【???】

・ 分類:???

・ 原型食物:???

・ 原型生物:ウーパールーパー

・ 危険度:D

・ レア度:N

・ 大きさ:2タイル(2×1)

・ 生息地域:???

・ 好物:???

・ 来訪条件:

ガーデンの経過日数が三日以降。

1タイル分の汚染された水辺がある。

ワームースが三匹いる。

・ 住民化条件:

10タイル分の汚染された水辺がある。

所属する??? が二匹に達していない。

???

・ 汚染タイル数: 陸上/水辺いずれか3

・ 能力:???

・ 備考:???

・ 生態観察:???

――――――

三日目にならないと来ないって条件になっているあたり、この子がチュートリアルの最後になるようにしてあったんだろう。

……ん、ワームースが三匹揃ってるのが来訪条件? なにそれ。バタベアとミルックマとか、オリウルとエッグロウみたいに仲良しだからとか、セットになってるからとか?

考えていると、ウーパールーパーは池から上がってプルプルと体を震わせ、どこかに一直線に向かおうとしはじめた。

その向かう先を辿ってみると……。

「ワームースだ」

三匹のワームースは大体かたまって行動しているけど、そこにも三匹全員がいた。でも、よく見れば三匹のうち一匹の頭上に、なにやらウーパールーパーのデフォルメ顔アイコンみたいなものが浮かんでいる。

アイコンが浮かんでいるのは、最後に住民になったのでデフォルトのままのレモンムースの子だ。

お、おや?

なんか〜、嫌な予感がしてきたぞ?

不安に思ってシーちゃんを見上げてみると、しい、と唇に指を当てて頷いている。なにもしないほうがいいらしい。

いやでもこれ、絶対これって、さあ。

ウーパールーパーが三匹のもとに向かっているのに気がついたからなのだろうか、レモンムースの子以外が慌てて地面の中に潜ってその場から逃げて行った。

あの反応ってやっぱりさあ。

だけど、レモンムースの子はその場から動かない。まるでそれが運命であるかのように。

ハラハラしながら見守っていると、あと少しのところまでやってきたウーパールーパーが、棒立ちになっているワームースに突進する。

その途端、ワームースはガラスが割れたようなエフェクトと、瓶に入った黄色いレモンムースだけを残して消えていってしまった。

「わ、ワア……!」

思わずかたまってしまった。

悲鳴らしい悲鳴も口の中から出てこない。でも、心の中は「ひえ〜ぐろ〜!」の気持ちでいっぱいになっている。いやだって、そんな、そんなことある!?

だってこれって、このゲーム『弱肉強食システム』があるってことですよね!?

ウーパールーパーは残された瓶入りレモンムースを上から顔を突っ込み、ペロペロとすっかり食べ尽くしてしまった。

その途端光を帯びて卵になり、テンカウントが開始される。

わ、わあ……!

証明されてしまった。これで弱肉強食システムが住民化に関わることが……!

「ぬ〜!」

卵から孵って仲間になったウーパールーパーが、ペロリと口の周りを舐めている。

遠巻きにその様子を見ていたワームースたちは、震えながらワルフルたち犬ズに囲まれる位置の地面にまで移動しているようだった。

あれ、そういえばこのウーパールーパーって二匹まで住民になるんだっけ……?

と、とりあえず二匹目のほうにもロックかけとこうかな。そうしよう。

「ロックかけとけばいいんだよね……?」

「はい、ロックがかかっているモンスターは保護されていますので」

「そっかあ」

三匹目のワームースがまた住民になるのは早い。

だけど、私が二日一緒に過ごした末っ子ワームースはもういないのだ。

次にまた仲間になる三匹目については最初から割り切って考えられるけど、これ初見の衝撃半端なくない?

まさか、腐ったミルクの池以上にプレイヤーバイバイな要素がまだ出てくるとは、思わないじゃん! 思わないよね!?

――――――

No.005

名称【ウーパイルーパー】

・ 分類:スイーツ

・ 原型食物:パイ

・ 原型生物:ウーパールーパー

・ 危険度:D

・ レア度:N

・ 大きさ:2タイル(2×1)

・ 生息地域:???

・ 好物:ムース、??? 、???

・ 来訪条件: ガーデンの経過日数が三日以降。

1タイル分の汚染された水辺がある。

ワームースが三匹いる。

・ 住民化条件:

10タイル分の汚染された水辺がある。

所属するウーパイルーパーが二匹に達していない。

ワームースを一匹捕食する。

・ 汚染タイル数: 陸上/水辺いずれか3

・ 能力:

1時間につき、5タイル分の水辺を浄化する。

一時間につき、飲料水を2瓶生産する。

食べ物を一種食べることによってパイを1つ生産する。

食べ物を2種食べることによって特別なパイを1つ生産する。

・ 備考:

土壌を回復させても、その土の奥の奥から湧き出した水は僅かでも汚染されている。この汚染された水を住民化した後なら綺麗にすることができる。

ワームースを食べることで水質改善と飲料生産が二倍になる。

・ 生態観察:

ウーパイルーパーは、水質浄化と飲料生産を担う水辺適応型モンスターである。

汚染された水域を浄化しながら、水を加工して飲料やパイ状の生産物を生成する。

摂取する食材の種類によって、生産物の内容が変化する特性を持つ。

特定条件下では他のモンスターを捕食し、能力が増幅することが確認されている。

水資源の安定供給において重要な役割を果たす存在である。

――――――

ちょっと!! 図鑑が効率のためにまだ捕食させようとしてくるんですけど!! 私はやりません!!

……最後の最後にとんでもないチュートリアルを突っ込んできたなあ。

でも、これで初期配布の五匹はコンプリートだ。

大丈夫、私はやっていける。

ここまでやってるゲームは見たことがないし、逆に期待が高まったくらいだ。

……ただ、一匹目以降の愛着はあんまり持たないほうがいいなと反省はしました。