軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

何でメイド服なの?

「旦那様。奥様。お飲み物などはいかがでしょうか?」

「メイドの先輩。判定は?」

「いいとおもいます」

「ぬは~。この子は~とても~良い子~だよ~」

あっさりフワフワに戻ったメイド服姿のシュシュがポーラを抱き寄せ頬ずりをする。

頑張れポーラ。ノイエへの溺愛っぷりを見ると中の人たちの愛情表現は結構過激っぽい。

逃げ出そうとジタバタしているポーラは諦めを知ると良い。

どうにかシュシュの腕から逃れても封印魔法で拘束されて蓑虫になってまた抱きかかえられる。

「シュシュの封印魔法は本当に強力だな」

「褒めるな~」

「褒めてないし」

ポーラへの頬ずりを再開したシュシュは良い。

問題は沈黙したまま僕の腕に抱き付いているノイエだ。

普段ならお姉ちゃんと言って抱き付くシチュエーションなのに、彼女は王弟宅から静かなままだ。

とても静かに帰宅してそのまま僕に抱き付いている。

「ノイエはシュシュが苦手?」

「違う」

ならばどうして僕に抱き付く?

「ん~。ノイエ~」

「はい」

「どうして~私から~逃げるの~かな~」

ポーラをポイ捨てしてシュシュがフワフワとこっちに来る。

飽きやすい性格だから仕方ないがポーラも可哀想に。

「逃げてない」

「ん~?」

「大丈夫」

気のせいか若干ノイエが怯えている?

僕らの前に来たシュシュがフワフワと揺れる。

「なら~今回は~どんな~挑戦を~しようか~?」

「……」

ヒシッとノイエが僕の腕に増々抱き付く。

ん? 挑戦とは何事か? ああ。あれか。ならば確認すべきか。

「おねーちゃーん」

「……もうアルグちゃんたら。何かしら?」

色を青くしたノイエがホリーに変わる。

変われる場所に常に待機しているのか、ホリーの愛情がちょっと重い。

「ノイエがシュシュを怖がってるんだけど?」

「そんなのは~言いがかり~だよ~」

フワフワしながらシュシュが離れた。

「シュシュがノイエを豚小屋に放り込んだとか、鳥小屋に放り込んだとか、木の枝の上に乗せて放置したとかは本当?」

「ええ。本当よ」

「ありがとうお姉ちゃん」

頬にチュッとしたら、お返しでディープなキスを貰った。

ノイエに戻った彼女が近い僕の顔を見て軽くチュッとして来る。やはりホリーの愛が重い。

「そして思い出したよシュシュ」

「は~い~?」

スッと立ち上がりシュシュを捕まえて戻って来る。

「放せ~だぞ~」

「無駄な抵抗を止めなさい」

「何を~する~」

「変顔」

「ふぇ? にょは~!」

鼻をこうして口をこうして。

「ノイエ。耳を左右に引っ張って」

「はい」

「むが~」

ジタバタと抵抗を見せるシュシュの顔で遊び倒し開放する。

「夫婦で~酷い~ことを~された~ぞ~」

「大丈夫シュシュ」

「ふぇ?」

「まだ終わってない」

もう一度捕まえてペシペシとお尻を叩く。

「にゃ~ん。酷いぞ~」

「悪い子には躾が必要なのです」

「ふな~」

しばらく叩いたら満足した。

シュシュは両手でお尻を押さえベッドの上を転がる。

「これでノイエにした過去の行いを許してやろう」

「……」

「何かねシュシュ君?」

「むが~!」

奇声を発してシュシュが復活した。

「やりたい放題してくれて! 許さないんだから!」

「って!」

封印魔法で拘束された。本当に鮮やかだな。

「ノイエも助けてくれなかったし!」

「なふっ」

逃げ出そうとノイエも拘束されて床を転がる。

「小さい子は……まあ良い。解放してあげる」

ポーラの封印が解かれこっちを見た彼女は、何故か涙を浮かべて逃げ出した。

何その後ろ髪惹かれる思いで逃げ出し感じは? 助けようよ? 君のお兄ちゃんとお姉ちゃんがピンチだよ?

「もうっ! 本当に怒った!」

「おーい。シュシュ? 話し合おう?」

「交渉決裂だよ!」

プンスカ怒るメイド服なシュシュが、ノイエをベッドの上に引きずり上げた。次いで僕だ。

「何する気だ?」

「ふっふっふっ……。ノイエが本当に動じない女になったのか確認する」

「大丈夫」

やる気を見せるノイエにシュシュがクスクスと笑う。

「ふ~ん。ならこう」

「む」

ノイエの目にタオルが巻かれ視界を奪われる。で、彼女に目隠しして何をする気だ?

「次いで……こっちに」

「ちょっと待て」

ニコニコ笑いながらシュシュが両手をワキワキと動かす。

その様子に僕は全てを悟った。

「なはぁ~! 止めてシュシュ! そこはっ! そこはっ!」

「アルグ様っ! アルグ様っ!」

僕の声に反応してノイエがジタバタと暴れる。

ってそこは……脇を絶妙な加減でくすぐるな~!

「あはは~。ダメッ! 死んじゃうっ!」

「ならば次はここ」

「そっちはもっとダメ~!」

「アルグ様っ!」

足の裏~! 指の間とか無理~!

全力でくすぐられて息も絶え絶えになる僕を見下ろしシュシュが満足そうに頷く。

「どう? お姉ちゃんの凄さが分かった?」

「……はい」

先に降伏した僕に次いで、ノイエもまたシュシュの軍門に屈する。

夫婦そろってシュシュに負けてしまった。

「あ~楽しんだ」

封印が解かれると同時に僕がシュシュを捕まえ口を塞ぐ。

「もがっ?」

「油断したな? ノイエ。足の裏をくすぐってやれ」

「はい」

「もぉ、がぁ~!」

全力でくすぐるノイエの指先によりシュシュが腰から砕けてベッドに崩れ落ちる。

だが許さん。ノイエを泣かせた罪はとてつもなく重いのだ。

「そっちを……もうこの服を脱がして徹底的にくすぐってやれ」

「はい」

ご立腹なノイエも僕の言うことに従う。全裸になったシュシュを徹底的にくすぐり続けた。

「ん~」

目が覚めて気づく。どうしてこうなった?

左右を見るとノイエとシュシュが横になって眠っている。

昨夜はシュシュをくすぐったりくすぐられたり、途中裏切りがあったり裏切ったりと……色々していたはずだ。

まあ健全な男女がそんなことをしていれば起こりえる展開とも言える。

とりあえずシュシュには脱がしたメイド服を軽く着せてやり、ノイエは適当に……着替えが無い。仕方なく壁の伝声管でメイドさんに持って来て貰うよう頼むと、ベッドの上のシュシュが消え彼女が居た場所には宝玉が転がっていた。

あれだけ封印魔法を多発していたから時間より前に魔力が尽きたか。

「あれ~?」

クルンクルンと踊っていたレニーラは足を止めて首を傾げる。

ホリーが激怒しながら歩いて行ったのが気になり、彼女が居た場所に出向いて納得した。

シュシュが壁に張りつけになって居たのだ。

「何したの?」

「旦那君と仲良く」

「それでか~」

ホリーの怒りに納得した。

だが1つ納得できない部分がある。

「ねえシュシュ?」

「ん?」

「何でメイド服なの?」

「ん~。似合うから?」

「そっか~」

なら次に外に出たら自分は彼を誘惑する服を着ようと決め……レニーラはその場から離れた。

(c) 2020 甲斐八雲