軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

前回見た時と違うぞ~?

「ふぁ~」

「危ないぞ」

空高く伸びる尖塔を見上げたポーラがそのまま仰け反り倒れそうになる。

そっと肩を押さえて転倒を回避しつつ、僕は勝手に馬小屋に向かうナガトを見送った。

「すごいです」

「だね。この王都で一番高い建物だしね」

主には高貴なお方の幽閉や監禁などに使われる場所なんだけどね。

それを知らないポーラは純粋にその高さに圧倒されている。

「なら行こうか」

「はい」

「大丈夫。ここでは危ないことなんて」

「おにーちゃんです~」

突然横合いからジャンピング頭突きを食らった。

容赦がないぞ……このチビ姫。

「はっ! にいさまっ!」

突然のことで処理しきれなかったポーラが、慌てて僕に駆け寄る。

「だいじょうぶですか?」

「……平気。ちょっと油断してた」

ポーラが両手で頭突きされた場所に手を当ててくれるんたけど、ちょっと押し気味なのでズキズキする。でも優しさからの行為なので我慢だ。代わりにこの怒りをぶつける相手は決まっている。

「おいチビ姫?」

「ぬぉ~です~! 失敗したです~!」

陸揚げされた魚のように額を押さえてチビ姫がジタバタしている。何がしたかったんだ?

とりあえず相手を捕まえて脇に抱える。こちらの様子を伺っていた衛視たちがギョッとした表情を向けて来るが知らん。

「おにーちゃんが来ないからケーキが食べられなかったです~。食べさせろ~です~」

「良く分かった」

「流石おにーちゃ」

「煩悩よされっ!」

「ひぐっ! 待つです~! お尻は……ふな~です~!」

ペシペシと相手のお尻を叩いて久しぶりの再教育を果たす。

「うう……大きいおにーちゃんより酷いです~」

「あれと違って僕は繊細なのっ!」

「ほほう。面白いなアルグよ」

むんずと頭を掴まれ強制的にグリッと曲げられる。

って折れる。キャップじゃ無いから! 僕の頭は捻っても取れないからっ!

「戻って来た土産が孤児とかを含めて話を聞こうか?」

視線の先には筋肉王子が凶悪な顔をして立っていた。

流石のポーラもこの化け物は対象外らしく、ピュ~と逃げて柱の陰に隠れこっちの様子を伺っている。

ある意味でノイエ小隊に所属するセンスのような物を垣間見た気がするよ。

「あっちのが例の子供か?」

「ですね」

「まあ良い。さっさと来い」

「って頭がっ! そのまま引き摺るなっ!」

「うなぁ~です~! せめてスカートだけでも戻して欲しいです~!」

「報告を聞こうか?」

「……チビ姫が抱き付いて来たから」

「そちらでは無い」

呆れた様子でため息を吐く国王陛下から、正室に対しての苦情じゃ無いという言質は取った。

「この子が今回見つけたポーラです。はい挨拶」

「ポーラです」

突然連れて来られた場所に不安そうなポーラが怯えている。

相手が誰かを知ったら混乱しそうだから、ここは何も言わない方向で行こう。

怯えているポーラを見てお兄様が軽く笑う。

「私はアルグスタの上司だ」

「はい」

「にしても……幼いな」

見た目だけだとポーラは7歳とかで通りそうだしな。

「これでも12ですよ。ただ生活が良く無かったので成長の方が」

「そうか」

額に手を当てお兄様が息を吐く。執政者として思うことがあるのだろう。

「それでその子は?」

「はい。正確なことは後で確認しますが、自分と同様に祝福を得ています」

「そうか。その力は……言える物か?」

「ええ。ポーラ。力を使って欲しいんだ」

「はい」

また胸の前で掬うように両手を構え、ポーラが力を使う。

と……一気に室内の気温が下がり、ポーラの両手に雪が積もった。

「……雪を作る力か?」

「あれ~? 前回見た時と違うぞ~?」

あの時は氷の結晶を作り出したのに、何故に今回は雪?

「……あのときはおなかがすいていて」

恥ずかしそうに顔を紅くするポーラが俯いた。

納得だ。何より手の雪をどうにかせねば。

机の上に置かれている書類などを焼くために使う皿を借りてポーラの雪を全て移す。

「なるほどな。してアルグスタよ」

「はい」

「お前の部下とするということで良いのか?」

確認口調で問うてくる陛下に恭しく一礼をする。

「お許しがあればですが」

「構わん。そもそもあの場所に置いておく方が安全であろう?」

「あ~。それはちょっと」

「何だ?」

話の分かるお兄様だから良いか。

「ポーラは今まで読み書きもろくに習っていません。ですからしばらくは学ばせ、それからと考えて居ます」

「時間をかけると?」

「ええ。現状ノイエ小隊はどうにか回っていますしね。だったら期待の若手を確りと育成しといた方が後々助かります」

「なるほどな」

椅子に寄りかかり、陛下が数度頷いた。

「ならば今後はそのようにしていくと?」

「緊急を要する程人材不足に陥って無ければ」

「分かった。あの隊はお前に預けたものだ。お前の好きにするが良い」

「ありがとうございます」

一礼する僕に倣ってポーラも深々と頭を下げる。

この辺の空気を読む力って意外と大切なんだけど、やはり苦労をしてきた分だけ長けているのかもしれない。

「でしたら重ねてお願いが」

「分かっている。聖布と聖盆の使用を認める。必ず報告はするようにな」

「分かりました。国王陛下」

ビクッビクッと反応しているポーラはどうしたのだろうか? 何か震えだしたけど……トイレにでも行きたくなったのかな?

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