軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ええ。羨ましいぐらいに

結果としてうちの兄と元婚約者はとってもエロかったのです。

膝を抱いて今後について悩んでいると、トコトコと走って来たノイエが背後から抱き付いて来て甘えだす。

「アルグ様?」

「……そのまま甘えてて」

「はい」

甘えるノイエを撫で回し、猫でも愛でる気持ちで癒しを得る。

大丈夫。見て一発であれが出来るほどみんな熟練していないはずだ。

何よりあれは間違いだと、一部専門家の指導を受けてやるものだと説得しよう。うん。

「待たせたか?」

「良いんです」

「なに拗ねてるんだ?」

「……王都に戻ることを考えると本当に気が重くて」

「ああ。それは……済まなかったな」

「良いんです。ええ。勝手に来たんだし」

本当に気が重い。夜になるのがこんなにも……夜の前に襲われるとか無いよね?

怖い。ノイエと2人っきりになるのが怖い。

そっと馬鹿兄貴の上着を羽織ったフレアさんが、何とも言えない表情をして……頬が赤い。

生々しいさっきのことを思い出してその顔が見れません。

「あのアルグスタ様。今回は」

「良いよ。僕が救いたいと思って勝手に動いたことだから」

「ですが」

「良いって。何よりクレアが蒼い顔して泣きながら仕事をしているのを見るのは辛いしね。だったら大臣たちを敵に回して喧嘩する方が楽なの」

「……本当に申し訳ございませんでした」

「良いって」

深々と頭を下げて来る彼女の方がこれから先、大変なことになるのは間違いない。

馬鹿兄貴は救うことだけ考えてそっちの方が疎かだから困る訳です。

また王都に戻ってから厄介な仕事が……まあ最後までやりますけどね。

「さてと。とりあえず外の人たちと合流をして撤収の段取りをしないと」

「そうだな」

「って働け馬鹿兄貴!」

「今働いたばかりでっ」

黙って馬鹿兄貴の尻を蹴るフレアさんが可愛いな。

あんなに顔を真っ赤にして……何か憑き物が取れたようにも見える。

「アルグ。先行くぞ?」

「どうぞ。僕はこの中を一応確認してから行くんで」

「分かった」

彼女の手を引いて歩いて行く2人を見送り、僕はふと背後からノイエに抱きしめられた。

「ありがとう。馬鹿な弟子」

「先生からのお願いでしたから」

「危なっかし過ぎて見てられなかったけど」

「それでも最高に良い終わり方でしょ?」

「どうかしら? この後が大変よ?」

「その辺だってどうにかしますよ。ご安心ください」

「そう」

言って彼女が頬にキスしてくれた。あれ? ノイエに変わってる?

「何よ?」

「何でも」

「ノイエに変わったとか思ったでしょ?」

「全然全くこれっぽっち、イタタ」

背中を抓られた。軽い感じだから反射的に声を出しただけでそんなに痛くない。

「……私だって感謝ぐらいはするわ」

「ですよね」

「お礼ぐらいもするの」

「ですね」

「ボソッ(異性が気になることぐらい)……」

「聞こえませんが?」

「聞かせたくないだけよ」

ってまた背中を抓られた。

「流石に今回は色々と無茶をしたせいで、ノイエの中はグチャグチャよ」

「しばらくみんな出て来れないとか?」

「何を期待しての言葉かは知らないけど、あっちで出る順番を決めてるみたいだから諦めなさい」

「マジか~!」

僕の平和な夜はしばらく訪れそうにない。

何よりノイエの相手をしてから、プラスなので本当に辛いです。

「お手柔らかにって言っておいて」

「無理ね。みんなフレアのあんな姿を見て闘志に火が灯っているわ」

「消火願います」

「自分でなさい」

よしよしと先生が頭を撫でてくれた。

こう優しいお姉さんだと素直に甘えられて良いんだけどな。

まっ先生だし、今日ぐらいのレア時間だと思って満足しよう。

「そうそうセシリーンがちょっと……えっ?」

「ほい?」

突然声が切れた。

肩越しに見るとノイエに変わっていて、何故だか全力で甘えて来る。

ストップかけるのを忘れてたな。

「なに?」

「あ~うん」

ジッと見つめていたらノイエが僕の顔を見つめ返して来る。

本当に可愛くて綺麗なお嫁さんだ。色がゆっくりと黄色くなった。

「ミャンの~ところに~行くはず~だったのに~」

「シュシュか。先生は?」

「ん~? アイルローゼなら~あっちで~膝を抱えて~物凄い~表情で~落ち込んでるよ~」

「何があったの?」

あのアイルローゼがそんな絶望のどん底に落ちるような事態って何?

だってあの人は本当の意味で傍若無人を画に描いたような人でしょ?

「ん~。セシリーンが~フレアがね~」

「うん」

「妊娠してる~って言ったら~壊れた~」

「何だそんなことか。もっと酷いことかと、ちょっと待て?」

座り直して相手の肩を軽く揺さぶりつつジッとその目を見る。

「本当に?」

「だぞ~。あの耳を~疑うのか~だぞ~」

「疑いませんけどね」

超能力に等しい聴覚の持ち主だ。下手な収音マイクですら裸足で逃げ出す高性能。

「つまりフレアさんは、妊娠しているかもしれないのにさっきどこぞの馬鹿……父親かも知れない相手とあんなに激しく?」

「あ~。そっちは~詳しく~ないぞ~」

ヘラヘラと笑ってシュシュの色が消えてノイエと変わる。

何故かジッと見ている僕の様子に軽く頬を赤らめて目を閉じるから、キスして頭を撫でてあげた。

「ってこうしてられない」

「はい?」

「えっとあれだ。ここは……頼れる叔母さんが居るじゃないか! 急いで相談だ!」

「はい」

ノイエを引き連れ急いでスィークさんの元へと向かう。

結論。書類上の夫人に、妊娠のことを聞いてはいけない。

物凄く苛立った感じでフレアさんを連れ出し根掘り葉掘り聞き出したスィークさんから、何故か馬鹿兄貴共々『良かったでございますね。本当に。ええ。羨ましいぐらいに』と、あり得ないほどの殺気を浴びて祝辞を受けることとなった。

僕……関係無いんだけど?

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