軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

その絶望を抱いて死んで行け

「それでゾング? 次はどうするんだ?」

「……」

ドラゴンスレイヤーに捕らわれたフレアは助けに来ない。それを見て彼は必死に頭を使う。

答えの出ない問いに挑み……そして貴重な時を失った。

「時間切れだ」

「まぁっ! ぐぅえぇぇ」

深く腹に突き刺さったハーフレンの拳に胃の中の物をぶちまける。

吐しゃ物の中には血液が混じっていた。

「待っ……許し」

「聞こえんな」

「ぐぅあぁっ!」

もう一度同じ場所に拳を放ち、彼は相手を投げ捨てると辺りを見渡した。

石の上に転がる剣を掴んで、うつ伏せで血を吐くゾングの背を踏んだ。

「やられた分だけやり返そうとも思ったが……面倒臭いんでな」

「あぐりゅ」

強く強く骨すら砕くほど強く相手を踏み、ハーフレンは胴斬りを頭上に構えた。

「とりあえず死んでおけ」

振り下ろし頭を二つに割る。

「おっし! スッキリした」

剣を払って刃に着いた血糊を払い、彼は視線を弟夫婦に向ける。

何故か必死にフレアを隠そうとする弟の様子が気になった。

「何をしたアルグ?」

「あ~うん。ちょっとした事故かな? でも大丈夫。これは時間が解決してくれるから。うん」

「何をした?」

露骨に慌てる弟に急ぎ歩み寄ったハーフレンはそれを見た。

フレアの長い髪が、その髪先が焼けたようにチリチリになっていたのだ。

彼女が無事であれば兄として大概のことは許せるが、ただ髪の毛を異様に大切にしている彼女がこれを知ったら……流石に庇いようがない気もする。

「まあ後で必死に謝っておけ」

「あれ~? 助けに来たのにどうしてこうなるのかな?」

「日頃の行いだ。全く」

一発殴ってやりたくなったが、ハーフレンは我慢し弟の横を過ぎる。

視線の先には、竜司祭バルグドルグが居た。

「後はお前だけだ」

「おやおや……復讐したいと言うから手を貸したと言うのに、本当に人間は脆くて弱い」

「言ってろ。お前も人間だったはずだろうに」

「昔のことですよ。今は我が皇に選ばれた竜人です」

恍惚と笑い彼は祈るように天を仰ぎ見る。

「洞窟の中であれをするって末期な気がするわ」

「言ってやるな。本人は本気なんだからな」

「……」

天井を見上げたノイエはそこに何も無いことを確認し、アルグスタの腕を突いて『何?』と問う。

3人による皮肉の波状攻撃に……バルグドルグは額に青筋を浮かべた。

「我が皇を愚弄する行為は決して許さない!」

「むしろ自爆しただけじゃ?」

「偉大なる皇を感じられないお前らこそが悪いのです!」

「それってただの責任転換?」

「煩い男ですね!」

ネチネチとしたアルグスタのツッコミに激怒し、バルグドルグはその腕を左右に広げる。

「ここからは私が本気で相手をしましょう。

そこの王子は仲間に引き込みユニバンス王国を内から崩壊する手駒とします。その小娘は殺して皇への供物としましょう。で、お前は最も残忍な方法で殺してやる!」

真っすぐアルグスタを指さして彼は断言する。

「何故に僕だけ私怨気味なのか問いたいわ~」

「あそこまでからかっておいて……流石にその言葉は無いと思うぞ?」

「だってさ。馬鹿ってからかうと面白いじゃん。馬鹿だし」

「……殺す!」

激怒し背後から龍の首のような影を生み出した竜人が、アルグスタたちに向かいその攻撃を解き放つ。

心底やる気の無さそうな感じで、アルグスタは右手に持つ小石をばら撒いた。石が触れると影が消滅し……結局影は彼らの元へ届かない。

「今のが本気だと言ったら笑えるんですけど? プププ~」

「馬鹿な……何だその力は!」

「出来たら俺も知りたいぞアルグ?」

「だからただの祝福ですって」

軽く首を振ってアルグスタは前へと歩き出す。

反射的にバルグドルグは数歩後ろへと下がった。

「この手の馬鹿は自分だけが特別な力を持っていると勘違いして暴走する。で、それ以上の力を持った者が現れるなんて考えていないから……こんな逃げ場のない場所で待ち構える訳だ。

それはそれでこっちとしては大助かり。知ってることを全部話せ! ただしこれでもかと言うほど苦痛に塗れた死に方をして貰うけどな!」

らしく無いほど怒っている弟にハーフレンはチラッと彼の嫁を見る。

別段怪我を負っている様子も無いから……今回は違う理由でキレているのだろう。

「話すと思うか!」

「だったら死ね。これから昨日死んでなかったことを後悔する程の絶望をお前に与える。その絶望を抱いて死んで行け……雑魚が」

「ふっざっけっるっな~!」

怒りを体中から噴き出し、バルグドルグは叫ぶ。さながらドラゴンの咆哮のように。

「この私を殺すと言うだけでも不遜だと言うのに……許さんぞ人間!」

「吠えるだけなら犬でも出来る。さっさと来いよ」

「言われなくてもっ!」

また背後から影を生み出し竜人はアルグスタを襲う。しかしどの攻撃も決して彼には届かない。

欠伸交じりで指で石を弾くだけで、全ての攻撃を消滅させるアルグスタに竜人は恐怖した。

「嘘だ。あり得ない。こんな馬鹿なことがあるかっ!」

「頭を使えよ雑魚が」

「何だと!」

右手の親指に小石を乗せ、アルグスタはそれを竜人に向け弾く。

バルグドルグの右足に命中したそれは、彼の右足を抉って食らい尽した。

「うぎゃぁ~!」

「簡単なことだ。僕はお前より強い。で、僕のお嫁さんはもっと強い。これが自然の理なんだよ」

「ふざけるな~!」

追い詰められても尚竜人は吠えた。

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